高専卒→トヨタ→ITコンサル→24歳で起業。沼田海斗のキャリアの作り方
株式会社K.Platinum 代表取締役 沼田海斗
こんにちは。株式会社K.Platinum代表の沼田海斗です。
「高専を卒業したあと、どんなキャリアが待っているんだろう?」
この記事を読んでいるあなたがもし高専生なら、一度はそう思ったことがあるんじゃないでしょうか。僕もそうでした。沖縄高専のメディア情報工学科にいた頃、周りは大手メーカーへの推薦就職がほとんど。「いい会社に入れば安泰」という空気のなかで、自分のキャリアをどう作るかなんて、正直あまり考えていなかった。
でも結果的に、トヨタグループで大規模システムのPLを経験し、ITコンサルティングファームで上流工程を学び、24歳で自分の会社を立ち上げることになりました。
この記事では、僕のキャリアの選択とその裏側にあった考えを、できるだけリアルにお伝えします。「高専卒はこういうキャリアもあるんだ」と、選択肢のひとつとして参考になればうれしいです。
沖縄高専時代 — 「手を動かす力」が全ての原点
僕が進学したのは、沖縄工業高等専門学校のメディア情報工学科。15歳から5年間、プログラミングやネットワーク、データベースといった実践的な技術を叩き込まれる環境でした。
高専の最大の強みは「手を動かせること」だと思っています。大学のように理論から入るのではなく、まず作る。動かしてみる。壊れたら直す。このサイクルを5年間繰り返すと、「とりあえずやってみる」が体に染みつきます。これは後にエンジニアとしてもコンサルタントとしても、一番の武器になりました。
そして高専生活の最後に、僕はちょっと変わったことをしました。
ママチャリで日本一周。

卒業を間近に控えたタイミングで、ロードバイクでもクロスバイクでもなく、普通のママチャリにまたがって日本を一周しました。「なんでママチャリ?」とよく聞かれるんですが、単純にそれしか持っていなかったから(笑)。でも今思えば、これが僕のキャリア観の原点になっています。
高級な装備がなくても、走り始めれば目的地には着く。大事なのは「走り始めること」。これは後に起業するときにも、そのまま当てはまりました。
トヨタシステムズ — 大手で学んだ「仕組みの力」
高専卒業後、最初に入ったのはトヨタシステムズ。トヨタグループの生産・物流系システムを担当し、プロジェクトリーダーとして開発の上流から下流まで一通り経験しました。

大手で働いてよかったことは、たくさんあります。
まず、規模感。何千人が使うシステムの設計に関われる。自分が書いたコードが工場のラインを動かしている実感。これは大手でしか得られない経験です。そして品質管理の徹底。レビューの粒度、テストの設計、ドキュメントの精度。「ものづくりのトヨタ」の品質基準を肌で学べたのは、今の仕事にも確実に活きています。
一方で、感じた限界もありました。
年功序列と学歴フィルター。 どれだけ成果を出しても、評価が年次に紐づく場面がある。大卒・院卒の同期と比べて、高専卒というだけでスタートラインが違うこともありました。もちろんトヨタに限った話ではなく、日本の大手企業の構造的な問題です。
「もっと実力で勝負できる環境はないか?」
そう考え始めたのが、転職を意識したきっかけでした。
スタートアップITコンサル — 実力主義の世界で見つけた「光と影」
次に選んだのが、あるスタートアップのITコンサルティングファーム。創業間もない急成長ベンチャーで、大手コンサル出身者が集まる実力主義の環境でした。

ここでの経験は、僕のキャリアを大きく変えました。
まず、視座が上がった。 トヨタ時代は「どう作るか」がメインだったのが、コンサルでは「そもそも何を作るべきか」から考える。クライアントの経営課題を理解し、最適なIT戦略を提案する。エンジニアリングの上に「ビジネス」の視点が加わったことで、市場価値が一気に上がった実感がありました。
次に、年齢も学歴も関係ない評価制度。 入社年次ではなく、プロジェクトでの実績で昇進が決まる。高専卒だから不利ということは一切なく、純粋にパフォーマンスで評価される世界。これは心地よかった。
しかし、ITコンサル業界全体を見渡すと、構造的な問題が見えてきました。
多重下請け構造。 大手SIerが元請けとなり、2次請け・3次請けと仕事が流れていく。各層で中間マージンが抜かれ、実際に手を動かすエンジニアの取り分はどんどん小さくなる。僕が所属していたのは上流側でしたが、この構造の中にいる限り、エンジニア全体の市場価値向上には限界があると感じました。
「この構造自体を変えられないか?」
そこで学んだ「実力主義」と「コンサルティングスキル」を武器に、自分でその場を作ろう。そう決めたのが、起業の直接のきっかけです。
24歳、起業 — K.Platinumの誕生
2023年3月20日、株式会社K.Platinumを設立しました。24歳。資本金10万円。社員は自分1人。

「エンジニアが正当に評価され、正当に報酬を受け取れる場所を自分で作る。」
これがK.Platinumの出発点です。
心強かったのは、共同創業者の存在でした。東京大学で博士号を取得し、量子コンピュータを研究していた前蔵さん。アカデミアの世界で「研究者が正当に評価されない」という課題を感じていた彼と、IT業界で「エンジニアが正当に評価されない」という課題を感じていた僕。バックグラウンドは正反対でしたが、問題意識が同じだった。
そこから3期目、27歳の今。会社はこうなりました。
- 従業員数: 1名 → 17名
- 資本金: 10万円 → 2,000万円
- 高専出身者: 17人中8人(47%)
大手外資金融や製造業のDXプロジェクトを中心に、上流コンサルティングからシステム開発まで一気通貫で手がけています。さらにプログラミングスクール「ジゴカツ」の運営や、エンジニアの独立支援事業も立ち上げました。
「10万円のママチャリ起業」から3期目。まだまだ道半ばですが、走り始めたからこそ見えてきた景色があります。
高専生へ — キャリアは「どこに入るか」より「何ができるようになるか」
最後に、高専生の皆さんに伝えたいことがあります。
高専卒のキャリアは「大手推薦一択」ではありません。大事なのは、どの環境に身を置けば、自分のスキルと市場価値が最大化されるかを考え続けることです。
僕の場合は、こうでした。
- 高専 → 手を動かす力(技術の基礎体力)
- トヨタ → 大規模システムの品質管理とチームマネジメント
- ITコンサル → 上流コンサルティングとビジネス視点
- K.Platinum → 全部を統合して、自分の理想の環境を作る
各ステップで「次に何を身につけるか」を意識してきた結果、今があります。
K.Platinumでは今、17人中8人が高専出身です。高専プロコンへの協賛や高専カンファレンスの開催を通じて、高専コミュニティとの繋がりも広げています。
「高専卒でも、実力で勝負できる場所がある。」
その選択肢のひとつとして、K.Platinumを知ってもらえたらうれしいです。

沼田海斗(ぬまた・かいと)
株式会社K.Platinum 代表取締役。沖縄工業高等専門学校メディア情報工学科卒。トヨタシステムズでPLを経験後、スタートアップITコンサルティングファームを経て、24歳でK.Platinumを設立。現在3期目、27歳。プロキックボクサーとしても活動中(3戦)。高専卒業間際にママチャリで日本一周を達成。

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