「次の案件、〇〇製薬の運用保守ね」
前職で上司からそう言われたとき、僕は何も言えなかった。やりたいことも、伸ばしたいスキルも、全部無視。会社の都合だけで、自分のキャリアが決まっていく。
——この違和感が、K.Platinumの"案件選択制"を作った原点だ。
エンジニアのキャリアは「案件ガチャ」で決まっている?
ITエンジニアのキャリアって、良くも悪くも「どんな案件に入るか」で決まる。
クラウド移行の案件に入れば、AWSやAzureのスキルが身につく。AI系のプロジェクトに入れば、機械学習やデータパイプラインを経験できる。でも運用保守に3年いたら、その3年間で身につくのは「既存システムの仕様に詳しくなる」くらいだ。
問題は、多くの会社でこの「どの案件に入るか」がエンジニア本人の意志と関係なく決まること。いわゆる「案件ガチャ」だ。
上司が営業からもらった案件情報を見て、空いている人をアサインする。スキルマッチ? 本人の希望? 余裕があれば考慮されるかもしれないけど、現実は「空いてるから」「断りづらいクライアントだから」で決まることが少なくない。
僕自身、前職のスタートアップITコンサルでこれを経験している。やりたい案件があっても「今ここが足りないから」と別の案件に回された。会社の売上を考えれば合理的なのは分かる。でも、自分のキャリアを他人に握られている感覚は、半年、1年と続くうちにボディブローのように効いてくる。
だから、K.Platinumを立ち上げるときに決めた。エンジニアが自分で案件を選べる仕組みを作ろう、と。
K.Platinumの「案件選択制」— 具体的に何が違うのか

「案件選択制」と聞くと、「うちも選べますよ」と言う会社は多い。でも実態は「希望は聞くけど最終決定は会社」だったり、「選べるけど選択肢が1つしかない」だったりする。
K.Platinumの案件選択制は、もう少し踏み込んでいる。具体的にはこんな4ステップだ。
ステップ1:案件情報の全公開
営業が獲得した案件の情報を、エンジニア全員に共有する。クライアントの業界、プロジェクトの概要、求められるスキル、期間、働き方(リモート可否など)。エンジニアが判断するために必要な情報を出し惜しみしない。
ステップ2:エンジニアが手を挙げる
公開された案件に対して、興味のあるエンジニアが手を挙げる。逆に、興味がなければ手を挙げない。これが「選べる」の本質だ。
ステップ3:マッチング面談
手を挙げたエンジニアとプロジェクトの要件をすり合わせる。スキル的にフィットするか、本人の成長方向と合っているか。ここは会社としてもアドバイスはする。「このスキルを伸ばしたいなら、こっちの案件の方がいいかもね」——そんな会話が自然と生まれる。
ステップ4:最終確認 → アサイン確定
マッチングがOKなら、エンジニア本人の合意のもとでアサインが確定する。本人がNOと言ったら、その案件には入らない。
重要なのは、断る権利がある ということ。これが形骸化していないことが、制度として機能するかどうかの分かれ目になる。
なぜ「断る権利」が形骸化しないのか
「断れるって言っても、実際断ったら評価下がるんでしょ?」
この疑問は当然だと思う。多くの会社で「希望は聞く」が建前で終わるのは、断ったときに暗黙のペナルティがあるからだ。
K.Platinumでこれが機能する理由はシンプルで、会社の評価軸が"案件を受けたかどうか"ではないから だ。
僕たちが見ているのは、エンジニアとしてのアウトプットの質、クライアントへの貢献度、チームへの影響力。「この案件を断った」こと自体はマイナス評価にならない。むしろ「自分のキャリアを真剣に考えて判断した」と捉える。
逆に「何でもいいです」「どこでもいいです」の方が僕は心配になる。自分のキャリアに無関心なエンジニアは、伸びない。
もちろん、全員が同じ人気案件に殺到したら調整は必要だ。そのときは率直に話し合う。「こっちの案件も、実はこういうスキルが身につくよ」「今のキャリア方向を考えると、こっちの方が長期的にプラスじゃない?」——押し付けではなく、対話で解決する。17人だからこそ、一人ひとりと向き合える規模感がある。
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エンジニアにとっての3つのリアルなメリット

案件選択制で実際に何が変わるのか。
1. スキルの方向性を自分でコントロールできる
「次はクラウド案件に入りたい」「フロントエンドの経験を積みたい」「上流工程にチャレンジしたい」。こうしたキャリアの意志を、実際の案件選択に反映できる。3年後に「なんでこのスキルセットになったんだろう」と首をかしげることがなくなる。
2. 自分で選んだ案件は、当事者意識が段違いになる
「やらされている」ではなく「自分が選んだ」という感覚。これは地味に見えて、日々の仕事の質に直結する。月曜の朝に「今週も頑張ろう」と思えるか、「またあの案件か……」とため息が出るかは、パフォーマンスに大きな差を生む。
3. 市場価値を意識したキャリア設計ができる
案件情報が可視化されているので、「今どんなスキルに需要があるのか」が自然と見えてくる。「AI案件が増えてきたな」「Azureの引き合いが強いな」。こうした肌感覚が、自分のスキル投資の判断材料になる。フリーランスが当たり前にやっていることを、正社員でもできる環境だ。
会社側の覚悟 — 「選ばれる案件を取ってくる」責任
この制度には、会社側にもプレッシャーがかかる。
エンジニアが案件を選べるということは、魅力のない案件には誰も手を挙げないということだ。「誰でもいいからこの案件に入って」は通用しない。
つまり営業チームは、エンジニアが「やりたい」と思える案件を獲得しなければならない。技術的にチャレンジがある案件、クライアントの質が高い案件、リモートワークなどの働き方が柔軟な案件。
大変ではあるけれど、結果的に案件の質が底上げされる好循環が生まれる。安い単価で人を送り込むビジネスモデルでは成り立たない仕組みだからこそ、必然的に案件の質を追求することになる。
K.Platinumがこの制度を回せているのは、ITコンサルティングと受託開発という事業モデルだからでもある。上流から開発まで一貫して請けられるので、「この案件ではこういうスキルが活きる」「このフェーズではこういう経験が積める」と、案件の中身をきちんとエンジニアに説明できる。丸投げ構造では、こうはいかない。
よくある質問
Q. 全員が同じ案件を希望したらどうするの?
率直に言えば、完全にバッティングすることはそこまで多くない。17人のチームで、それぞれ技術スタックも志向も違うから、自然と分散する。仮にバッティングした場合は、スキルフィットと本人のキャリアプランを踏まえて対話で決める。じゃんけんで決めたりはしない。
Q. 断ったら次の案件が来るまで待機?
そういうケースはゼロではない。ただ、その待機期間を無駄にはしない。社内の受託開発案件やプログラミングスクール「ジゴカツ」のカリキュラム開発、自社プロダクトの改善など、社内で価値を生む仕事は常にある。外部案件だけがキャリアの場ではない。
Q. 正直、全部の案件が魅力的なわけないでしょ?
そのとおり。完璧な案件なんて存在しない。でも、「ここは妥協できるけど、ここは譲れない」を自分で判断できることが重要だ。100点の案件を待つのではなく、80点の案件の中で「自分にとっての20点」を見つけられるかどうか。その思考プロセス自体が、キャリアを自分の手で握るトレーニングになる。
自分のキャリアを自分で握る、という選択
「案件選択制」は、ただの福利厚生じゃない。
エンジニアが自分のキャリアに責任を持つための仕組みだ。選べるということは、選んだ結果に向き合うということでもある。「あの案件を選んでよかった」と思える経験を積むのも、「次はもっとこうしたい」と振り返るのも、全部自分の判断の結果だ。
僕は24歳で起業したとき、「エンジニアが自分のキャリアをコントロールできる会社を作りたい」と思った。案件選択制は、その思想を具体的な仕組みに落としたものだ。
3期目を迎えた今、17名のメンバーがそれぞれ自分の意志で案件を選び、スキルを磨いている。この仕組みが機能していることが、K.Platinumの一番の強みだと思っている。
沼田海斗(ぬまた・かいと)
株式会社K.Platinum 代表取締役。沖縄高専卒。トヨタシステムズでPLを経験後、スタートアップITコンサルを経て24歳で独立。「エンジニアが自分のキャリアを自分で決められる会社」を掲げてK.Platinumを設立。プロキックボクサーとしても3戦のリング経験を持つ。
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