株式会社K.Platinum 代表取締役 沼田海斗
ロードバイクでもクロスバイクでもなく、ママチャリ。
高専の卒業間際、僕は普通のママチャリにまたがって日本を一周しました。理由はシンプルで、それしか持っていなかったから。お金もない、装備もない、計画もふわっとしている。でも「行こう」と思ったから、走り始めた。
この経験が、今の僕のすべての原点になっています。
そして今、僕はエンジニアギルドを作ろうとしている。ママチャリで日本一周した男が、なぜITコンサル会社の社長をやっていて、なぜ「ギルド」なんて壮大なことを言い出したのか。順番に話します。
ママチャリ日本一周で学んだこと
沖縄高専のメディア情報工学科を5年間。プログラミング、ネットワーク、データベース。毎日手を動かして、技術を叩き込まれた日々でした。
その5年間の最後に、僕は日本一周に出ました。
ママチャリでの日本一周は、想像以上に過酷です。ロードバイクのように速く走れるわけでもなく、ギア比も限られている。坂道は地獄。雨の日は全身びしょ濡れ。パンクは日常茶飯事。
でも、走り続ければ目的地には着く。
これは当たり前のことなんですが、実際に体で経験すると、骨の髄まで染みるんです。高級な装備がなくても、完璧な準備がなくても、「走り始める」という決断さえすれば、どこにでも行ける。
旅の途中で出会った人たちからも、たくさんのことを学びました。見ず知らずの若者に食事を振る舞ってくれるおじさん、無料で泊めてくれた民宿の女将さん、一緒に走ろうと声をかけてくれた別の旅人。
1人でできることには限界がある。でも、人と繋がれば限界は広がる。
日本一周を終えたとき、僕の中にこの確信が生まれていました。そしてこれが、「ギルド」という構想の原体験になっています。
IT業界に入って見えた「構造の歪み」
高専卒業後、トヨタシステムズに入社しました。大規模システムのPLを経験し、品質管理とチームマネジメントを学んだ。その後、スタートアップのITコンサルティングファームに転職して、上流工程やビジネス戦略の世界に足を踏み入れました。
技術力もビジネス視点も身について、市場価値は上がった。自分個人としてはキャリアが順調に進んでいた。
でも、業界全体を見渡したとき、構造的な問題がはっきり見えてきました。
多重下請け構造。
日本のIT業界、特にSI・SES業界の大部分は、多重下請けで成り立っています。エンドクライアントが大手SIerに発注し、そこから2次請け、3次請け、4次請けと仕事が流れていく。各層で中間マージンが抜かれ、実際に手を動かすエンジニアの取り分はどんどん小さくなる。
スキルの高いエンジニアも、単価の安いエンジニアも、同じ「人月」で計算される世界。個人の能力が正当に評価されない。年功序列で単価が決まり、技術力ではなく「何年やっているか」で値付けされる。
「これ、ママチャリの旅で感じた"1人の限界"と構造が似ている。」
そう思いました。個人でどれだけスキルを磨いても、この構造の中にいる限り、エンジニア全体の市場価値は上がらない。構造自体を変えないといけない。
「CHANCE, CHANGE, CHALLENGE」— 行動指針の原点

K.Platinumの行動指針は「CHANCE, CHANGE, CHALLENGE」です。
これは会議室で考えた言葉じゃなくて、ママチャリの旅で体に刻まれた哲学です。
CHANCE(機会): チャンスは待っていても来ない。自分から動いて掴みに行く。ママチャリ日本一周も、誰かに勧められたわけじゃない。「行きたい」と思ったから行った。
CHANGE(変化): 現状維持は後退と同じ。変わり続けることでしか成長できない。旅の途中、予定通りに行かないことばかりだった。でも予定外の変化の中にこそ、最も大きな学びがあった。
CHALLENGE(挑戦): 完璧な準備なんていらない。ママチャリで十分。走り始めればいい。
この3つの言葉は、K.Platinumのメンバー全員に共有している価値観であり、採用基準でもあります。「今の自分に満足していない」「もっと上に行きたい」「でもどう動けばいいかわからない」。そういう人にとって、K.Platinumは最初の一歩を踏み出せる場所でありたい。
エンジニアギルド — K.Platinumが目指す世界
僕が作りたいのは、会社ではなく「ギルド」です。
ギルドというのは、中世ヨーロッパの職人組合が語源。同じ技術を持った職人たちが集まり、互いの権利を守り、技術を高め合い、適正な報酬を確保するための共同体。
今のIT業界に必要なのは、まさにこれだと思っています。
ENGINEER GUILD — K.PlatinumのVisionにこの言葉を掲げている理由は、エンジニア一人ひとりが「個」として強くなり、正当に評価される世界を作りたいから。
具体的にやっていることを挙げると:
スキルの可視化。 エンジニアの技術力を定量的に評価する仕組みを社内に導入しています。「何年やっているか」ではなく「何ができるか」で評価する。これは共同創業者の前蔵さん(東大博士)がアカデミアの評価システムの知見を活かして設計したものです。
案件選択制。 エンジニアが自分で案件を選べる。「この案件に入りたい」「この技術を伸ばしたい」という個人の意志を最優先する。会社都合のアサインではなく、エンジニアのキャリア戦略に基づくマッチング。
独立支援。 K.Platinumを「卒業」して独立するメンバーも応援する。会社に縛りつけるのではなく、一人前のエンジニアを輩出して、ギルドのネットワークを広げていく。
プログラミングスクール「ジゴカツ」。 未経験者がエンジニアとしてのキャリアをスタートできる教育事業。ギルドに入る前の「育成」の仕組み。
これらすべてが、「エンジニアギルド」を実現するためのパーツです。

ママチャリで走り始めた先に
3期目、27歳。従業員17名。まだ「ギルド」と呼べる規模ではないかもしれない。
でも、ママチャリ日本一周も最初はそうだった。初日は「本当にこれで日本一周できるのか?」と不安だらけだった。でも走り続けたら、着いた。
今も同じ感覚です。
装備は最小限。でも方向性は見えている。「エンジニアが正当に評価される世界」という目的地に向かって、今日も走っている。
K.Platinumは、その目的地に一緒に走ってくれる仲間を探しています。高専卒でも大卒でも院卒でも関係ない。「走り始めたい」と思った人が、最初の一歩を踏み出せる場所。
ママチャリで十分。走り始めよう。
沼田海斗(ぬまた・かいと)
株式会社K.Platinum 代表取締役。沖縄工業高等専門学校メディア情報工学科卒。トヨタシステムズでPLを経験後、スタートアップITコンサルティングファームを経て、24歳でK.Platinumを設立。現在3期目、27歳。高専卒業間際にママチャリで日本一周を達成。プロキックボクサーとしても活動中(3戦)。
K.Platinumでは一緒に走るエンジニアを募集しています。
「CHANCE, CHANGE, CHALLENGE」に共感する方は、ぜひ[採用ページ]をご覧ください。

