「あなたの市場価値はいくらですか?」
この質問に、自信を持って答えられるエンジニアはどれくらいいるだろう。
年次でもなく、肩書きでもなく、「何ができるか」で自分の値段を語れる人。僕の体感では、10人中2人いればいい方だ。残りの8人は「なんとなく今の給料をもらっている」状態で、それが適正なのかどうかも分からないまま働いている。
K.Platinumを作ったとき、僕はこの状態をぶっ壊したかった。エンジニアの能力を「見える化」して、正当に評価される仕組みを作る。それが創業時からの執念みたいなものだ。
今回は、僕たちが実際にやっている「能力の可視化」について、具体的に話してみようと思う。
なぜ「能力の可視化」が必要だと思ったのか
僕は沖縄高専を卒業してトヨタシステムズでPLを経験し、その後スタートアップのITコンサルに移った。24歳でK.Platinumを立ち上げて、今3期目の27歳だ。
この短いキャリアの中で、ずっと引っかかっていたことがある。
エンジニアの評価が属人的すぎる。
上司との相性、声のデカさ、社内政治。技術力とは関係ないところで評価が決まる場面を何度も見てきた。逆に、めちゃくちゃ技術力があるのに「目立たないから」という理由で埋もれている人もいた。
特にSIやSESの現場だと、「何年やってるか」「どのプロジェクトにいたか」で値段が決まりがちだ。Java 10年やっていればシニア扱い——でも、その10年で何をやったかは誰も正確に把握していない。
これはエンジニア個人にとっても不幸だし、チームを組む側にとっても非効率だ。
じゃあどうすればいいのか。答えはシンプルで、「何ができるか」を仕組みでデータにすることだった。
guildboard——3軸で解き明かすエンジニアの「本当の実力」

K.Platinumでは、自社開発した「guildboard」というシステムで、メンバー全員の能力を一元管理している。
名前の由来は「ギルドの掲示板」。RPGのギルドみたいに、それぞれの冒険者(エンジニア)が何が得意で、どんなクエスト(案件)をクリアしてきたのかが一目で分かる場所だ。
具体的に可視化しているのは、大きく3つの軸だ。
1. テクニカルスキル
プログラミング言語、フレームワーク、クラウド、データベース、CI/CD——エンジニアの技術領域をカテゴリ分けして、各スキルのレベルを可視化している。
ポイントは「自己申告 + 実績ベース」のハイブリッドであること。自己申告だけだと「盛る」人が出てくるし、実績だけだとプライベートで学んでいるスキルが反映されない。両方を掛け合わせて、より実態に近いスキルマップを作っている。
2. プロジェクト経験
どんな規模の案件で、どんな役割を担い、どんな成果を出したか。案件が終わるたびに記録が蓄積されていく。
ここで大事なのは、「何をやったか」だけじゃなく「どうやったか」まで残すこと。同じ「要件定義」でも、10人月の案件と100人月の案件では全然違う。クライアントとの折衝を主導したのか、ドキュメントを書いただけなのかでも価値が変わる。そこまで粒度を細かくして記録している。
3. 成長トラッキング
半年前と今で何が変わったのか。どのスキルがどれくらい伸びたのか。成長の軌跡を時系列で追えるようにしている。
「去年はバックエンドしかできなかったけど、今年はインフラも一人で設計できるようになった」みたいな変化が、データとして見える。これがあると、本人もマネージャーも「次に何を伸ばすべきか」が明確になる。
可視化が変えた3つのこと
「データ化して何が変わるの?」と思うかもしれない。正直、僕も最初は半信半疑だった。でも実際に運用してみたら、想像以上に大きな変化が起きた。
変化1: 案件マッチングの精度が上がった
K.Platinumでは案件選択制を採用している。メンバーが自分でやりたい案件を選べる仕組みだ。
でも、選ぶためには「自分に何ができるか」と「案件に何が求められるか」の両方が明確じゃないとダメだ。guildboardでスキルが可視化されていることで、「この案件は自分のスキルセットに合っている」「ここが足りないから、まず別の案件で経験を積んでからチャレンジしよう」という判断が、本人の感覚だけじゃなくデータに基づいてできるようになった。
結果として、アサイン後のミスマッチが格段に減った。「思ってたのと違う」が起きにくくなる。これはメンバーにとってもクライアントにとっても幸せな話だ。
変化2: 成長の実感が持てるようになった
エンジニアって、毎日コードを書いたり設計したりしていると、自分がどれくらい成長しているか分かりにくい。気づいたら1年経っていて、「あれ、俺は何が変わったんだっけ」となりがちだ。
guildboardを見れば、半年前のスキルマップと今のスキルマップを並べて比較できる。「AWS、半年前はレベル2だったけど今はレベル4になってる」みたいに、成長が数字で見える。
これがモチベーションに直結する。ゲームの経験値バーが上がるのと同じ感覚だ。見える化するだけで、人はもっと頑張れる。
変化3: 報酬の納得感が上がった
これは経営者として一番大きい変化だった。
給料やアサインの根拠が「上司の好み」じゃなく「データ」になると、メンバーからの不満が圧倒的に減る。「なんであの人の方が給料高いの?」という疑問に対して、「この人はこのスキルとこの実績があるから」とデータで説明できる。
完全に機械的に決まるわけじゃない。最後は人間が判断する。でも、その判断のベースにデータがあるかないかで、納得感がまるで違う。
「自分のスキルをデータで把握して、正当に評価される環境で働きたい」——そんなエンジニアと一緒に仕事をしたい。詳しくは採用ページを見てみてほしい。
「評価」じゃなく「成長支援」である理由

ここで一つ、はっきり言っておきたいことがある。
guildboardは「評価ツール」じゃない。「成長支援ツール」だ。
この違いは大きい。評価ツールは「お前はここがダメだ」と突きつけるもの。成長支援ツールは「お前はここが伸びしろだ」と示すものだ。
僕がやりたいのは、エンジニア一人ひとりが「自分は今どこにいて、次にどこに行きたいか」を自分で考えられる環境を作ること。上から押し付けるキャリアパスじゃなく、データを見ながら自分で設計するキャリアパス。
K.Platinumには「WORKER 3.0」というビジョンがある。エンジニアが一つの会社に縛られず、自分の能力と意志で働く場所を選べる世界だ。能力の可視化は、その世界を実現するための土台になる。
自分のスキルがデータとして可視化されていれば、「転職するか」「フリーランスになるか」「今の会社で新しいチャレンジをするか」の判断も、感覚ではなくファクトに基づいてできる。
そう聞くと「社員の流出を促進するんじゃないか」と思う人もいるかもしれない。でも、僕はそうは思わない。自分の能力を正しく評価してくれる場所から、人はわざわざ離れない。離れるのは、「ここにいても正しく見てもらえない」と感じたときだ。
実力で勝負できる世界を作る
「エンジニアの能力を可視化する」——言葉にすると簡単だけど、実際にやってみると奥が深い。
スキルを数値化することの限界もあるし、定性的な「センス」や「コミュニケーション力」をどう扱うかという課題もある。guildboardはまだ発展途上で、僕たちも日々改善を続けている。
でも、方向性は間違っていないと確信している。年次や学歴じゃなく、「何ができるか」で評価される世界。それを17人の小さな会社から実証していく。
K.Platinumは3期目のまだ若い会社だ。資本金10万円で始めて、今は17名のメンバーがいる。そのうち8人が高専出身。学歴フィルターじゃなく、実力で仲間を集めてきた結果だ。
「自分の力が正当に評価される環境で働きたい」「スキルアップの方向性を明確にしたい」——そう感じているエンジニアがいたら、僕たちの「能力の可視化」の仕組みを一度体験してみてほしい。
筆者プロフィール
沼田海斗(ぬまた・かいと)
株式会社K.Platinum 代表取締役。沖縄高専メディア情報工学科卒。トヨタシステムズでPLを経験後、スタートアップのITコンサルを経て24歳で独立。ITコンサルティング・受託開発・プログラミングスクール「ジゴカツ」を運営。プロキックボクサー(3戦)としても活動中。高専卒業間際にママチャリで日本一周を達成した行動派。
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