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2026年7月9日

「情報漏洩が怖くて、AIを全社で止めていた」会社の2026 — 最大の壁だったセキュリティ懸念33.5%を、17人のITコンサルがローカルAIで解いた順序

K.Platinumが制作した、企業向けの安全なローカルAIソリューションを宣伝する日本の広告。イラストの男性と、AIの導入、セキュリティ、データ管理に関する図表が掲載されている。.

こんにちは。K.Platinum代表の沼田海斗です。

僕は24歳でこの会社を立ち上げて、今は3期目・27歳。社員は17人で、製造業・流通・金融の中堅企業を相手に、ITコンサル+受託開発+ジゴカツ(プログラミングスクール)の3本柱でやっています。

今日は、最近いちばん相談が増えている話を書きます。「AIを使いたいのに、社内で止まっている」会社の話です。

2026年の最新調査を見ると、生成AI活用の阻害要因のトップはセキュリティ懸念で33.5%。次いで活用アイデア不足が26.0%、情シスの理解・協力不足が22.4%。つまり、3社に1社は「情報漏洩が怖い」を理由に、AIの全社展開でブレーキを踏んでいるわけです。

「禁止しているわけじゃないけど、本格的には使えていない」。この宙ぶらりんが、いま中堅企業でいちばん多い状態だと感じています。


1. 「使うな」じゃなく「使えない」— 33.5%が止まる本当の理由

まず誤解されがちなのが、AIが止まっている会社は「経営がITに後ろ向きだから」ではない、ということです。むしろ逆で、真面目にリスクを考えているからこそ止まっているケースがほとんどです。

AIが止まる3つの理由

現場でヒアリングすると、止まる理由はだいたいこの3つに収れんします。

ひとつ目が、セキュリティ懸念(33.5%)。「クラウドのAIに社内データを入れたら、学習に使われるんじゃないか」「顧客情報や図面が外に出たらどうする」。特に金融・製造の中堅企業は、取引先との守秘義務があるので、ここが厳しい。情シスが「クラウドに出すのは無理」と一言いえば、それで全社展開は止まります。

ふたつ目が、活用アイデア不足(26.0%)。「AIがすごいのは分かったけど、うちの業務のどこに効くのか分からない」。これは導入の入口でつまずいているパターンです。

みっつ目が、情シスの理解・協力不足(22.4%)。守る立場の情シスからすると、得体の知れないものを社内に入れるのは怖い。承認を出せない。

ここで大事なのは、1番目の「セキュリティ懸念」を解かないと、2番目も3番目も永遠に溶けないということです。安全な土俵がないところに「アイデアを出せ」「情シス協力しろ」と言っても、誰も動けない。順番が大事なんです。


2. ローカルAI/オンプレが現実解になった2026

では、セキュリティ懸念をどう解くか。数年前なら「クラウドのAIを、規約をよく読んで、おそるおそる使う」しか選択肢がありませんでした。でも2026年は状況が変わっています。

ローカルAI(オンプレ型)が、現実的な選択肢になったんです。

理由は3つあります。

まず、モデルの小型化。少し前まで、賢いAIを動かすには巨大なGPUサーバーが必要でした。でも今は、小さく軽いモデル(SLM=小規模言語モデル)でも、業務に必要な精度が出るようになってきた。社内の一台のサーバーで動く規模に収まる。

次に、コストの現実化。GPUの選択肢が増えて、「自社の建物の中にAIを置く」初期投資が、中堅企業でも飲める水準に下りてきました。

そして、規制対応のニーズ。金融・医療・政府まわりは、そもそも「データを外に出せない」前提で動いている。ローカルAIなら、社内データが一歩も外に出ないので、この縛りをクリアできる。

要するに、「データを外に出さずに、社内でAIを回す」という、数年前は理想論だった構成が、2026年には普通に組めるようになった。セキュリティ懸念で止まっていた会社にとって、ここが解凍ポイントです。


3. 全部オンプレにしない — クラウドとオンプレの線引き

ただし、ここで一気にやりがちな失敗があります。「じゃあ全部オンプレにしよう」です。

これは、たいてい高くつきます。クラウドAIには、最新モデルがすぐ使える・運用をベンダーが見てくれる・スケールが速い、という強みがある。全部を社内に閉じると、その恩恵を全部捨てることになる。

僕らがやっているのは、「機密度」×「ユースケース」の2軸で線を引くことです。

クラウドとオンプレの線引き

考え方はシンプルです。

  • 機密度が高い × 社内業務(顧客データ、図面、契約、財務)→ オンプレ(ローカルAI)。ここはデータを一歩も外に出さない。
  • 機密度が低い × 汎用作業(議事録の要約、一般的な調べもの、メール下書き、コード補助)→ クラウドAIでいい。外に出ても困らない情報なら、最新の賢いモデルを使ったほうが速い。

この線引きを最初にやると、「全部怖いから止める」でも「全部クラウドで楽する」でもない、現実的な真ん中に着地できます。守るべきものは社内に閉じ、守る必要のないものはクラウドの利便性を取る。ハイブリッドが、2026年の中堅企業の正解だと思っています。


4. 17人ITコンサルが踏んだ導入順序

では、実際にどう入れるか。僕らが中堅企業でローカルAIを立ち上げるときの順序を書きます。ここはツール選びより前の話が9割です。

ステップ1:データの棚卸し

まず、「社内にどんなデータがあって、それぞれ外に出していいのか」を洗い出します。AIの話はまだしません。顧客情報、図面、仕様書、契約書、議事録……。これを台帳にする。地味ですが、ここが全工程の土台です。

ステップ2:機密度で分類する

棚卸ししたデータを、「外に出してはいけない/出ても困らない」で仕分けます。ここで情シスを巻き込むのがコツです。情シスに「分類のルールを一緒に作ってもらう」と、22.4%の協力不足が一気に味方に変わる。守る人を最初から設計に入れるんです。

ステップ3:オンプレ対象を選ぶ

「機密度が高く、AIで効きそうな業務」を1つ選びます。製造業なら図面・仕様書の社内検索、金融ならコンプラ文書の照合、みたいに。最初から全業務をやらない。1本だけ

ステップ4:小さくPoCを回す

選んだ1業務に、ローカルAIを当てて小さく試します。ここで精度・速度・現場の使い勝手を見る。「本番に乗せられるか」をこの段階で見極めます。

ステップ5:運用ルールを敷く

PoCで手応えがあったら、本番に乗せると同時に運用ルールを敷きます。誰が使えるか、ログをどう残すか、精度が落ちたとき誰が直すか。AIは入れてからが本番なので、運用設計まで描いて初めて完成です。

この順序のポイントは、「ツールを選ぶ」が真ん中ではなく、前後の「分類」と「運用」が主役だということ。ここを飛ばして製品から入ると、たいてい止まります。

K.Platinumでは、この「守りながらAIを実装する」仕事を一緒に進めるエンジニアを募集しています。 製造・流通・金融の現場で、ローカルAIを設計から運用まで持っていく仕事です。詳しくはエンジニア募集の詳細をご覧ください。


5. 「アイデア不足」「情シス」は、安全な土俵を作って初めて溶ける

最後に、最初の3つの壁に話を戻します。

セキュリティ懸念(33.5%)を、ローカルAIとハイブリッド構成で解く。すると不思議なことに、残りの2つも溶け始めます。

安全な土俵ができると、現場が「これなら試していい」と動き出す。試すから、活用アイデア(26.0%の壁)が現場から出てくる。情シスも、自分たちが分類ルールを作った設計なら、協力(22.4%の壁)を出せる。

逆に言えば、いちばん硬い「情報漏洩が怖い」を放置したまま、アイデア募集や情シス説得をやっても空回りします。順番は、安全な土俵が先。これが、AIで止まっている会社をいちばん速く動かす道だ、というのが3期目までの僕らの結論です。

まとめます。

  • AIが止まる最大の理由はセキュリティ懸念(33.5%)。真面目な会社ほど止まる
  • 2026年はローカルAI(オンプレ)が現実解になった(小型化・コスト・規制対応)
  • 全部オンプレにしない。「機密度×ユースケース」でクラウドと線引きする
  • 順序は「棚卸し→分類→対象選定→PoC→運用ルール」。ツール選びは真ん中じゃない
  • 安全な土俵を先に作れば、アイデア不足も情シス問題も後から溶ける

採用観点 — 「守り」と「実装」を両方わかる人

最後に採用の話を。

この仕事を回せる人は、純粋なAIエンジニアでも、純粋なセキュリティ担当でもありません。「どこまでなら外に出していいか」を業務の文脈で判断しながら、AIを実装まで持っていける人です。

僕らが採りたいのは、こんな人。

  • 製造業/流通/金融のどれかの業務と、その「守るべきもの」がわかる人
  • ローカルLLM・クラウドAI・データ基盤のどれかを実装まで持っていける人
  • 情シスや経営の「怖い」を、現実的な設計に翻訳できる人

3つ全部は揃っていなくて大丈夫。2つあって残り1つを伸ばす気がある人なら、「セキュリティで止まっている会社を動かす」という、これから確実に需要が伸びる最前線に立てます。

会社の構造上、面接は最初から代表の僕が出ます。AIの「攻め」と「守り」をどう両立させるか。そういう話を一緒にできる人と会いたいです。

沼田海斗(ぬまた・かいと)
株式会社K.Platinum代表。24歳で起業し、現在3期目・27歳。ITコンサル、受託開発、ジゴカツ(プログラミングスクール)の3本柱で、製造・流通・金融の中堅企業を支援している。エンジニアが「守り」と「実装」の両方で力を発揮できる環境づくりを大切にしている。


K.Platinumでは一緒に働くエンジニアを募集しています。採用情報はこちらから。ご質問・カジュアル面談のお問い合わせもお気軽にどうぞ。

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