株式会社K.Platinum 清水洋太
「エンジニアとして働く」と聞いたとき、多くの方が思い浮かべるのは、お客様から依頼を受けて、決まった要件どおりにシステムをつくる仕事ではないでしょうか。もちろんそれは弊社の中心的な仕事のひとつですし、そこで培われる力はとても大きいものです。
ただ、K.Platinumにはもうひとつ、少し性格の違う仕事があります。自分たちで企画して、自分たちで技術を選んで、自分たちの名前で世に出す。自社プロダクトの開発です。
この記事では、①なぜ受託と自社プロダクトの両方を回しているのか ②「自分で決めた」経験がお客様と向き合う本業にどう還ってくるのか、この2つを順番に書きます。
なぜ受託と自社プロダクトの両方を回すのか ── PhotoMemorial・K.QUESTを自分たちで育てている理由
弊社のメイン事業は、ITコンサルティングです。お客様のビジネス課題に対して提案の段階から入り、業務の整理・改善からシステム化、そしてリリースまでを一気通貫で支援しています。一般的に、業務コンサルティング会社は戦略や提案までを担い、システム開発会社は決まった仕様をつくるところを担います。その間にある「なぜこの仕組みが必要なのか」と「どう動くものをつくるのか」を、同じチームでつなげているのが弊社の特徴です。
この仕事はとても面白いのですが、一方で「決めるのはお客様」という前提がどうしても存在します。予算があり、期日があり、社内の合意があって、その枠の中で最善を尽くす。プロとしては当然のことですが、エンジニアとしての筋力の一部は、それだけでは鍛えにくいのも事実です。
だから私たちは、自社プロダクトの開発も並行して続けています。たとえば結婚式場などで使っていただいている写真投影サービス「PhotoMemorial」は、参加者がその場で撮った写真をリアルタイムに会場のスクリーンへ映せるもので、アプリのインストールが不要な点と、映したくない写真を弾くモデレーション機能が現場で評価されています。ほかにも、社会人・エンジニア向けの学習研修ポータル「K.QUEST」、SNSアカウントの運用を効率化するツールがあり、これらを自分たちの手で育てています。
受託の仕事で身につく「確実に届ける力」と、自社プロダクトで身につく「そもそも何をつくるかを決める力」。この両方を持っているエンジニアは、市場でとても強い。私たちはそう考えています。
要件定義書がないところから始める ── 仕様を決めるのは自分たち
自社プロダクトの開発でいちばん最初にぶつかる壁は、技術的な難しさではありません。「何を、どこまでつくるか」が誰にも決まっていないことです。
要件定義書は存在しません。仕様を決める人は自分たちです。「この機能は本当に必要か」「初回リリースはどこまで削れるか」「そもそもこの課題を持っている人は実在するのか」。こうした問いに、コードを書き始める前に向き合うことになります。
最初は戸惑う方が多いです。受託の現場では「仕様が曖昧なまま進めるのは危険だ」と教わりますし、それは正しい。ただ自社プロダクトでは、曖昧さは誰かのミスではなく、単に「まだ誰も決めていない」というだけの状態です。決めるのは自分だと分かった瞬間から、仕事の景色が変わります。
実際に手を動かしていく中では、生成AIも積極的に使っています。設計や仕様の整理にChatGPT、実装にClaude Code、コードレビューにCopilot、という三段階のワークフローを標準化していて、第一弾を世に出すまでの期間は以前よりはっきり短くなりました。ただ、ここで大事なのは「AIが書いたコードをそのまま出すことはない」ということです。何をつくるかを決め、出てきたものが正しいかを判断するのは、あくまで人間の側の仕事です。むしろAIを使えば使うほど、判断する力の差がそのまま成果物の差になります。
技術の選び方も、受託とは少し勝手が違います。弊社の受託開発ではJavaを中心に、AWSやAzureといったクラウド基盤の上で堅牢な業務システムをつくることが多いのですが、自社プロダクトでは「まず小さく出して確かめる」ことを優先するため、TypeScriptやPythonを使って軽く立ち上げる場面もあります。どちらが優れているという話ではなく、目的が違えば最適な選択も変わる、というだけのことです。この「目的から技術を選ぶ」感覚は、一度自分で選んで失敗してみないと、なかなか身につきません。
そしてもうひとつ大事にしているのが、完璧を目指しすぎないことです。すべての機能を揃えてから出すのではなく、いちばん価値のある部分だけを先に世に出し、使ってくれた人の反応を見て次を決める。この進め方に慣れると、受託の現場でも「まず第一弾をこの範囲で出しましょう」という提案が自然にできるようになります。

「自分で決めた」経験が、お客様との会話を変える
自社プロダクトに関わった方が口をそろえて言うのは、「お客様との会話が変わった」ということです。
自分で機能を削る判断をしたことがある人は、お客様が「この機能も入れたい」と言ったとき、単に工数を見積もるだけで終わりません。「それは何のために必要ですか」「まず小さく出して反応を見る形にできませんか」と、自然に一歩踏み込んだ提案ができるようになります。自分がその判断で悩んだ経験があるからです。
リリース後の反応を自分の目で見ることも、大きな学びになります。受託の仕事だと、つくったシステムが実際にどう使われているかを知る機会は限られます。自社プロダクトなら、思ったところが使われていない、想定していなかった使い方をされている、といった現実がすぐに返ってきます。この「答え合わせ」を何度か経験すると、設計するときの目線が確実に変わります。
弊社が掲げているパーパスは「エンジニアを幸せにする」ことです。ここでいう幸せは、楽な仕事という意味ではありません。自分の判断で物事を動かせるようになり、それが正当に評価される。そういう状態をつくりたいと考えています。自社プロダクトの開発は、そのための実践の場でもあります。
「言われたものをつくる」だけでなく、「何をつくるか」から決める仕事に関わってみたい方へ。
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十数名・プロダクトごとに数名 ── 手を挙げた翌週には議論の輪の中にいる
もうひとつお伝えしておきたいのは、K.Platinumが十数名ほどの規模の会社だということです。
大きな組織では、自社プロダクトの企画に関われるのは限られた部署の限られた人だけ、ということも珍しくありません。弊社の場合、そもそもプロダクトごとの体制が数名です。「これをやってみたい」と手を挙げれば、翌週にはその議論の輪の中にいる、ということが普通に起こります。
平均年齢は20代後半で、20代でリーダーを務めているメンバーも複数います。年次で役割が決まる文化ではないので、経験が浅くても、良い問いを立てられる人・手を動かせる人には自然と話が集まっていきます。もちろん最初から一人で任せることはなく、OJTを中心に先輩がそばで見ながら進めますし、オンラインの勉強会やLT会でお互いの知見を共有する場も定期的に設けています。
働き方の面では、原則リモートワーク・フルフレックス(コアタイムなし)としています。標準の勤務時間は9時30分から18時30分ですが、集中したい時間帯は人それぞれなので、成果で見る形にしています。完全週休2日制で年間休日は123日、副業も相談のうえで可能です。自分でつくりたいものがある人にとって、時間の自由が利くことは想像以上に大きな条件になります。
まとめ ── 何をつくるかから考えられるエンジニアを増やしたい
- 受託と自社プロダクトの両方を回しているのは、「確実に届ける力」と「何をつくるかを決める力」を同じ人の中に育てたいから
- 自社プロダクトに要件定義書はなく、削る判断も技術選定も自分たちで決める。ChatGPT・Claude Code・Copilotの三段階ワークフローを使っても、決めるのは人間の側
- その経験は本業に還る。工数を見積もるだけでなく「それは何のために必要ですか」と踏み込めるようになる
- 十数名・プロダクトごとに数名の規模なので、手を挙げれば翌週には議論の輪の中にいる
自社プロダクトの開発は、決して華やかなだけの仕事ではありません。誰も正解を持っていない中で、小さな判断を積み重ねていく地道な作業の連続です。それでも、自分が「必要だ」と信じたものが形になり、誰かに使われる瞬間の手応えは、他ではなかなか得られません。
そして何より、その経験はお客様と向き合う本業の仕事にそのまま還ってきます。決められた仕様をつくるだけでなく、何をつくるべきかから一緒に考えられるエンジニア。私たちが増やしたいのは、そういう人です。
もし今、「言われたものをつくるだけの毎日に、少し物足りなさを感じている」という方がいたら、一度お話ししてみませんか。まだ転職を決めていない段階でも構いません。私たちがどんなものをつくっていて、あなたが何をつくりたいのか。その話ができるだけでも、きっと有意義な時間になるはずです。
清水洋太(しみず・ようた)
株式会社K.Platinum所属。エンジニアが力を発揮できる環境づくりを大切にしている。
K.Platinumでは一緒に働くエンジニアを募集しています。「実力で正当に評価される環境」に興味がある方は、ぜひ採用ページをご覧ください。

