株式会社K.Platinum 清水洋太
「この会社、受託だけですか? それとも自社サービスもありますか?」
面接でよく聞かれる質問です。転職先を探すエンジニアにとって、この違いは働き方そのものを左右します。お客様の要望に応える仕事と、自分たちで「何を作るか」から決める仕事とでは、求められる筋肉が違うからです。
弊社の答えは「どちらもやっています」。しかも、片方がもう片方を強くしている、という手応えがあります。従業員十数名の会社で、受託の案件を回しながら自社プロダクトを3つ走らせている──この記事では、なぜ「頼まれていないもの」にわざわざ時間を使うのか、そこで得たものがお客様への提案とエンジニア自身のキャリアにどう返ってくるのかを、具体的な社内の様子とあわせてお話しします。
誰にも頼まれていない3つのプロダクトが、社内で動いている
弊社のメイン事業は、ITコンサルティングです。お客様のビジネス課題に対して提案から入り、業務整理・業務改善・システム化まで一気通貫で担当します。2023年3月の設立から2年で、20件を超える開発プロジェクトを経験してきました。
その一方で、社内には自社サービス・プロダクトを開発するラインがあります。たとえば結婚式場などで、その場で撮った写真をリアルタイムに会場のスクリーンへ投影するサービス「PhotoMemorial」。アプリのインストールが不要で、映したくない写真を弾くモデレーション機能まで備えています。ほかにも、社会人・エンジニア向けの学習研修ポータル「K.QUEST」、SNSアカウントの運用を効率化するツールなどが動いています。
これらは、誰かから発注されたものではありません。「こういうものがあったら困りごとが減るよね」というところから始まっています。
社内で企画が立ち上がるときの流れは、驚くほど素朴です。誰かが「この作業、毎回手でやっていて無駄では」と言い出す。周りが「たしかに」と反応する。翌週には簡単な画面のたたき台ができていて、そこから「これ、社外にも需要ありませんか」という話に転がっていく。そうやって形になったものが、いま実際に使われています。
受託の現場では、要件はお客様の中にあります。私たちの仕事は、それを引き出し、整理し、技術で形にすることです。これはこれで高度な仕事です。ただ、それだけを何年も続けていると、「そもそも何を作るべきか」を自分の責任で決める機会が、意外なほど少なくなります。
自社プロダクトの枠は、その機会を意図的に社内に残しておくためのものでもあります。
自社で踏んだ失敗が、翌月の提案書に効いてくる
自分たちのサービスを持つと、受託では見えにくい部分が一気に見えてきます。
たとえば「使われない機能」です。良かれと思って追加した設定項目が、ふたを開けてみるとほとんど触られない。この体験は、お客様に提案するときの姿勢を確実に変えます。要望をそのまま機能一覧に並べるのではなく、「その機能、本当に使いますか」「まず小さく出して反応を見ませんか」と一歩踏み込めるようになるからです。
運用の重さも同じです。自社サービスは、リリースした瞬間から自分たちが運用します。障害対応も、問い合わせも、地味なメンテナンスも全部返ってきます。だから設計の段階で「これは3年後に誰が面倒を見るのか」を考える癖がつきます。作って納めて終わり、にならない。

弊社は生成AIの活用にも積極的です。ドキュメント作成・コード生成・コードレビューをそれぞれ別のAIに担当させる三段階のワークフローを組み、案件によっては従来比で5〜20倍の生産性を出せています。こうした新しい進め方も、まず自社プロダクトで試して、うまくいった手順だけをお客様の案件に持ち込むという順番を取ることが多いです。
自社サービスは、失敗できる場所でもあります。お客様の本番環境でいきなり試すわけにはいかない技術も、自分たちのプロダクトでなら試せる。そこで得た知見が、翌月の提案書に効いてくる。この循環が、私たちのいちばんの強みだと思っています。
「何を作らないか」を決めた経験が、キャリアの武器になる
エンジニアとして長く働くことを考えたとき、「実装できる」だけでは物足りなくなる時期が必ず来ます。
自社プロダクトの開発では、企画の段階から関わることになります。誰の、どんな困りごとを解決するのか。どこまで作って、どこは作らないのか。この機能を今出すべきか、次の版に回すべきか。答えのない問いに対して、自分たちで線を引く経験ができます。
この経験は、受託の現場でもそのまま効きます。お客様から要望をいただいたときに、「言われたとおりに作る人」で止まらず、「なぜそれが必要なのかを一緒に考える人」になれるからです。弊社が提案からリリースまで一気通貫で担当できているのは、こうした思考のトレーニングを社内で回しているからでもあります。
もちろん、最初から全部を決められる人はいません。私たちも、先輩と一緒に議論しながら「この判断は何を根拠にしているのか」を言語化していく形で覚えてきました。原則リモートワークですが、オンラインの勉強会やLT会が定期的に開かれていて、そこで自社プロダクトの試行錯誤が共有されることも多いです。
「決めた結果が外れる」ことも当然あります。想定していた使われ方と実際がずれていた、あるいはタイミングが早すぎた。ただ、外れた理由をきちんと振り返れば、それは失敗ではなく判断の材料が一つ増えたということです。犯人探しをせず、次の判断の精度に変えていく。この空気があるから、若いメンバーも安心して「決める側」に手を挙げられるのだと思います。
弊社が扱う技術領域は、Javaを中心とした業務システムからクラウド、AI・機械学習、モバイルアプリまで幅広くあります。自社プロダクトはその中でも「まだ社内に事例がない技術」を試す入り口になりやすく、興味のある領域に自分から手を伸ばしやすい環境です。
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従業員十数名・平均年齢27.5歳。企画から運用までの距離が短い
こうした循環が回るのは、組織が小さいからでもあります。
弊社は従業員十数名、平均年齢は27.5歳。企画を考えた人と、設計する人と、コードを書く人と、リリース後に運用する人の距離がとても近い。というより、ほとんど重なっています。だから「使われていないらしい」という情報が、何段階もの伝言を経ずに開発側に届きます。
判断も速いです。「これ試してみたいです」と言ってから実際に手を動かし始めるまでの時間が短い。フルフレックス(コアタイムなし)で、原則リモート、完全週休2日制で年間休日123日、残業もほぼなく、副業も応相談。こうした働き方の身軽さとも地続きです。
そして、役割の線引きがゆるいぶん、担当外のことにも自然と手が伸びます。自社サービスなら、画面の見え方も、問い合わせ対応の文面も、告知の出し方も、気づいた人が拾っていく。「これは自分の仕事ではない」と言わずに済む範囲が広いことは、経験の幅にそのまま効いてきます。
大きな組織には大きな組織の良さがあります。ただ、20代のうちに「企画から運用まで通しで見る」経験を積みたいなら、距離の近さは大きな価値になるはずです。
まとめ:受託と自社、どちらの筋肉も使いたい方へ
「お客様の課題を解く力」と「何を作るかを決める力」。この二つは対立するものではなく、互いを強くするものだと私たちは考えています。
弊社では、ITコンサルティングの現場で鍛えた課題解決力を自社プロダクトに持ち込み、自社プロダクトで得た知見をお客様への提案に返す、という循環を大事にしています。受託だけでも、自社サービスだけでも得られない経験が、その往復の中にあります。
「言われたものを作るだけでは物足りない」「でも、お客様の本気の課題にも向き合いたい」。もしそんな気持ちを持っているなら、弊社の環境は面白いと思います。実力で正当に評価される場所で、企画から運用までの全部を見にきてください。お待ちしています。
清水洋太(しみず・ようた)
株式会社K.Platinum所属。エンジニアが力を発揮できる環境づくりを大切にしている。
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