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2026年10月12日

「なぜこの書き方なんですか」と聞かれた日から、レビューの書き方が変わった ── 受託の現場に立ちながら、三つのスクールで教えるという働き方

オフィスで、光る電球と頭上に上向きの矢印がある中、2人がコンピューターに向かって作業している。.

株式会社K.Platinum 清水洋太


「教えるのが上手い人は、コードを書くのも上手い」。私はずっと、順番が逆だと思っていました。書ける人が、余った時間で教える。教えることは、技術を持ち出す側の行為なのだと。

その順番が逆かもしれないと思い始めたのは、自分が受講生の前に立ってからです。

弊社の求人票には、事業内容として「ITコンサルティング」「プログラミングスクール」「自社サービス・システム開発」の三つが並んでいます。応募してくださる方のほとんどは、一つ目を見て来られます。二つ目については、面接で「スクールもやられているんですね」と一言触れられて終わることが多い。

ですが実際に入社した人が「思っていたより面白い」と言うのは、たいてい二つ目のほうです。今日はその話をします。読み終える頃には、弊社の求人票のあの一行が、少し違って見えるはずです。

三つのスクールを、専業講師ではなく現役エンジニアが教えている理由

弊社が運営しているスクールは三つあります。キャリアのコーディネートまで伴走するKtech、未経験から実践型のフリーランスを目指すKフリー、そして未経験者の育成と転職支援に振り切ったGutsBootcampです。対象も出口も違いますが、共通しているのは、教えているのが専業の講師ではなく、現役または元のITエンジニアだということです。

これは運営上、決して楽な選び方ではありません。専業の講師にカリキュラムを任せたほうが、スケジュールは安定します。それでも現役が教える形を崩していないのは、未経験からエンジニアになろうとする人がいちばん知りたいのが「現場では実際どうなのか」だからです。

教科書どおりに書けばテストは通る。けれど現場では、そのコードがレビューで指摘される。この二つの間にある距離を埋められるのは、今まさにその現場に立っている人だけです。受講生から出てくる質問も、だいたいそこに集中します。「動いてはいるんですが、これで合っているんでしょうか」という問いに、教科書は答えてくれません。

そして講師を務めているのは、多くの場合、受託の現場でプロジェクトを回しているメンバーです。平日はお客様の要件定義に同席し、別の時間はスクールで教える。弊社では、この二足のわらじがかなり自然なこととして存在しています。

「たぶん動きます」が言えなくなる

教える側に回って最初に起きるのは、受講生の成長ではなく、自分の変化です。

私自身もそうでしたが、エンジニアとして数年やっていると、手が先に動くようになります。この構造ならこう書く、この処理はこのライブラリに任せる。速いし、たいていは正しい。けれどその判断の大半は、言葉になっていません。

それが、初学者の前に立った瞬間に問われます。「なぜここでこの書き方を選ぶんですか」と聞かれて、「そういうものだから」とは言えない。その場で言葉を探すことになります。そして探しているうちに、自分がなんとなくで選んでいた箇所と、理由をもって選んでいた箇所がはっきり分かれてしまう。これはなかなか居心地の悪い体験です。少なくとも、受講生の前で「たぶん動きます」とは言えなくなります。

ただ、この居心地の悪さを一度通った人は、明らかにレビューのコメントが変わります。「ここはこう直してください」ではなく「この書き方だと後でこういう時に困るので、こちらを提案します」と書けるようになる。弊社はフルリモートで、コードレビューが事実上いちばん大きな学びの場になっている会社です。そこで書ける説明の質が上がることは、そのままチーム全体の速度になって返ってきます。

つまり、教えることは、こちらが持ち出すだけの行為ではありません。自分の技術を、他人に渡せる形に整え直す作業です。整え直された技術は、現場でも強い。

図版

現場の「いま」が、そのまま教材になる

受託と教育が同じ会社の中にあることの意味は、この循環にあります。

たとえば生成AIの扱いです。弊社では、設計の整理はChatGPT、実装はClaude Code、レビューはCopilotという三段構えのワークフローを組み、案件によっては従来の五倍から二十倍の速度で進む場面も出てきました。これは現場で試行錯誤して定着した、まだ新しいやり方です。

こうした知見は、放っておくと関わった数人の中に留まります。ところが「これを未経験の人にどう教えるか」を考え始めると、話が変わる。AIが出力したコードをそのまま受け入れてよいのはどういう時か、疑うべきなのはどういう時か、そもそも何を知っていればその判断ができるのか。教えるために言語化した瞬間、それはチーム全員が使える形になります。

弊社は設立から二年で二十件を超える開発プロジェクトに関わってきました。製造業のAI基盤、金融領域の大規模な認証基盤、業務システムの再構築。規模も業種もばらばらですが、そこで得た「うまくいかなかった理由」が教材側に流れ、教材を作る過程で整理された考え方がまた現場に戻ってくる。この往復があるかどうかで、十数名の会社が扱える仕事の幅はずいぶん変わります。

新しく入った方にも、この循環のどこかには早い段階で触れてもらうことになります。それは必ずしも「講師として教壇に立つ」という形ではありません。教材のレビュー、受講生からの質問への回答、勉強会での共有。入り口はいくつもあります。

受託の現場と教える側を往復してみたい、という方へ。カジュアル面談は選考ではないので、履歴書も志望動機の準備も要りません。
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社員十数名だから、手を挙げてから関わるまでが短い

もうひとつ、これは会社の規模の話です。

弊社は社員十数名、平均年齢は二十七歳台です。原則リモートワークで、コアタイムのないフルフレックス。完全週休二日制で、年間休日は百二十三日あります。この規模とこの働き方だと、「スクールのこの部分、少し関わってみたいです」と言ってから実際に関わるまでが、とにかく短い。稟議も部署間の調整もほとんど発生しません。

社内ではオンラインの勉強会やLT会を定期的に開いていて、そこで話したテーマがそのまま教材の一部になることもあります。二十代でリーダーを務めているメンバーも複数います。高専からのインターン受け入れにも取り組んでいて、教える相手は受講生だけではありません。

「未経験から入った人がいずれ教える側になる」という流れも、この規模だからこそ数年で一周します。かつて受講生として質問していた人が、数年後に同じ質問に答えている。そういう場面を何度か見てきました。

まとめ ── 受け取るだけの数年にしないために

エンジニアとして成長できる環境を探すとき、多くの方は「何を教えてもらえるか」を見ます。研修があるか、レビューしてもらえるか、新しい技術に触れられるか。もちろん大事な観点です。

ただ、私の実感として、技術がいちばん深く定着するのは、受け取った時ではなく、誰かに渡した時です。渡そうとして初めて、自分がどこを分かっていなかったかが分かる。弊社にスクール事業があることの本当の価値は、その機会が仕事の中に最初から組み込まれている点にあると思っています。

受託の現場で腕を磨きながら、教える側にも回ってみたい。一つの肩書きだけで数年を終わらせたくない。そう感じている方には、たぶん合う場所です。まずは話を聞いてみるところからで構いません。お待ちしています。


清水洋太(しみず・ようた)
株式会社K.Platinum所属。エンジニアが力を発揮できる環境づくりを大切にしている。


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