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2026年11月5日

ITエンジニアの81.1%が「AIのほうが良い判断をする場面がある」と答えた。それでも障害対応を任せていいと言う人は6.5% — 僕が「最後のハンコ」は人間に残したいと考える理由

ビジネススーツ姿のアニメ風の女性が、デスクで書類にハンコを押している。その横には、コンピューターのモニターに脳の図やグラフが表示されている。彼女の上には、最後のハンコという日本語の文字が書かれている。.

こんにちは。K.Platinum代表の沼田です。

先日、ITエンジニア260人にAIへの意識を聞いた調査を読みました。サーバーワークスが公表したもので、@ITにも転載されています。

数字を見て、手が止まりました。「AIのほうが優れた判断をする場面がある」と答えた人が、81.1%もいたからです。ところが、同じ人たちに「障害対応をAIに完全に任せてもいいか」と聞くと、「いい」と答えたのは6.5%しかいません。

判断は認めるのに、任せない。この矛盾に見える数字の差が、僕たちの仕事のいちばん大事なところを突いている気がして、今日はこの話を書きます。後半では、採用で僕がどんな人に会いたいと思っているかにも触れます。

※本記事は調査の公表内容にもとづいています。母数は260人で、すべてのエンジニアの意見ではありません。また、K.Platinumの社内ルールを紹介する記事ではなく、あくまで僕個人の考えです。


81.1%が「AIのほうが良い判断をする場面がある」と答えた

調査の概要から整理します。

対象は、企業に勤める20歳以上のITエンジニア260人で、実施は2026年6月29日から7月5日です。

「AIが人間より優れた判断をする場面があるか」という問いに、「多くある」が31.9%、「一部ある」が49.2%でした。合わせて81.1%です。

つまり、現場のエンジニアの大半は、AIの判断力をすでに認めています。「AIなんて使えない」という空気は、少なくともこの調査にはありません。

勤務先でAIを導入している人は52.7%で、2030年にはAIが業務を自律的に実行するようになると予想した人は73.1%でした。AIが仕事の中に入ってくることは、多くの人が前提にしているわけです。


それでも、完全に任せていい業務は少ない

判断は認める、でも任せない

ここからが、この調査のいちばん面白いところです。

AIに「完全に自律して」任せてもいいと答えた割合は、業務によって大きく違いました。

低いほうでは、障害対応が6.5%、本番環境へのデプロイが8.8%です。高いほうは、技術調査・情報収集が27.3%、ログ分析が25.4%でした。

高いほうの業務を見ると、「間違えても、やり直しがきく」ものが並んでいます。調べ物の結果が違っていたら、もう一度調べればいい。ログ分析も、見立てが外れたら別の見方をすればいい。

低いほうは逆です。障害対応で判断を誤れば、サービスが止まり続けるかもしれません。本番デプロイを誤れば、お客様の画面が壊れます。


AIの精度より「間違えたとき誰が責任を持つか」が、任せる線を決めている

この結果を見て、僕は「AIの腕前」と「任せるかどうか」は、別の軸なのだと思いました。

任せるかどうかを決めているのは、判断の精度だけではありません。「間違えたとき、誰が責任を持つのか」という点が、大きく関わっているのではないでしょうか。

AIがどれだけ良い判断をしても、障害が起きたときにお客様に頭を下げるのは、AIではなく人間です。だから、責任が残る業務ほど、「最後は自分の目で見たい」という気持ちが強くなる。これは自然な感覚だと思います。

僕は、業務を見るときの問いを、次の3つに整理しています。

責任が残る業務を見る3つの問い

ひとつめは「間違えたとき、誰が説明するのか」。ふたつめは「間違えても、元に戻せるのか」。みっつめは「なぜその判断をしたのか、後から説明できるのか」です。

この3つのどれかが重い業務ほど、AIの出した結論に、人間が「最後のハンコ」を押す形が合うのだと思います。


受託開発の現場で、人が「最後のハンコ」を押す3つの場面

僕たちは、お客様の課題をITで解決する仕事をしています。受託の現場でいうと、「最後のハンコ」を押す場面は、思ったより多いです。

たとえば、お客様に出す見積もりや提案の最終確認。リリース前の最終チェック。トラブルが起きたときの、お客様への説明。この3つは、AIが下書きや見立てを出してくれる時代になっても、最後に人間の目と言葉が必要な場面だと考えています。

もちろん、下ごしらえの部分は、AIにどんどん手伝ってもらえます。調査、下書き、ログの見立て、テストコードのたたき台。ここは調査結果の27.3%や25.4%という数字が示すとおり、任せやすい領域です。

ただ、「これで出していいです」と言う一言だけは、人間が持っていたい。僕はそう考えています。

AIが速くなればなるほど、この一言の重みは増します。出てくるものが多くて速いぶん、確認する人の目が甘くなると、間違いも速く広がるからです。


エンジニア採用で見たいのは、AIを使える人より「最後の責任を持てる人」

この調査を読んで、採用の目線も少し変わりました。

「AIを使える」エンジニアは、これからどんどん増えます。調査でも、勤務先でAIエージェントを導入している人はすでに52.7%でした。使えること自体は、差になりにくくなっていくでしょう。

そのとき大事になるのは、AIが出した答えを前にして、「これは出していい」「これは待とう」と判断できる人だと思います。技術の知識と、お客様の状況への想像力と、責任を引き受ける覚悟。この組み合わせです。

もし面談でお話しするとしたら、「AIにどこまで任せて、どこから自分で見ますか」と聞いてみたいと思っています。正解を求めているわけではなく、その人の線の引き方に、仕事への向き合い方が出ると思うからです。

「AIにどこまで任せて、どこから自分で見るか」を一緒に考えられるエンジニアを募集しています。
詳しい仕事内容や条件は、エンジニア募集の詳細を見るからご確認ください。


まとめ

サーバーワークスの調査では、AIに優れた判断をする場面があると答えたエンジニアが81.1%でした。一方、障害対応を完全に任せていいと答えた人は6.5%、本番デプロイは8.8%にとどまりました。

判断は認める。でも、責任が残る場面の最後のハンコは、人間が持つ。このバランスが、いまの現場の感覚なのだと思います。

調査は260人が対象なので、これが全体の答えとは言えません。それでも、自分の仕事のどこに「最後のハンコ」が必要なのかを、一度棚卸ししてみる価値はあると感じています。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


沼田海斗
株式会社K.Platinum代表。お客様の課題をITで解決する受託開発の現場で、エンジニアが力を発揮できる環境づくりに取り組んでいる。


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