こんにちは。K.Platinum代表の沼田です。
新しく入った人が1年目を乗り切ってくれると、正直ほっとします。「もう大丈夫かな」と思う気持ちが、どこかに出てしまうこともあります。
でも先日、エン株式会社が2026年9月24日に公開した「2年目の定着課題」の分析を読んで、その安心は少し早いのかもしれない、と考えさせられました。1年目に「続けたい」という気持ちが高かった人のうち、41.4%が2年目で失速していた、というのです。
今日は、この数字を手がかりに、「2年目に何が起きているのか」と「上司にできること」を、17人の会社の目線で考えてみます。
※本記事は2026年10月時点の情報にもとづいています。調査はエン株式会社の定着支援ツール「HR OnBoard」を使っている企業のデータで、入社1年目の社員22,000名、入社2年目の社員16,000名を分析したものです。業種は幅広く、僕たちのような少人数のITコンサルティング会社にそのまま当てはまるとは限りません。
「1年目を乗り切れば安心」は、数字で崩れる

まず、調査の数字を整理します。
1年目が終わる時点で、「この会社で続けたい」という意欲が高かった人は、2年目の離職率が15.2%でした。一方、意欲が中くらい・低かった人の離職率は27.1%で、約1.8倍です。ここまでは想像のつく話です。
おもしろいのは、その先でした。1年目に意欲が高かった人でも、2年目に入ると41.4%が失速している。つまり、「1年目に前向きだったから、2年目も大丈夫」とは言えないわけです。
逆の動きもあります。1年目の意欲が中・低だった人のうち、36.9%は2年目に調子を取り戻していました。意欲は、固定された性格ではなく、1年のうちに上がったり下がったりするものだと分かります。
さらに、2年目のコンディションで見ると、調子が悪い人の離職率は24.8%、調子が良い人は14.4%で、約1.7倍の差がありました。入社時の印象より、「いま、どんな状態か」のほうが、離職と近いところにあるのかもしれません。
2年目の失速は、能力ではなく「関係」から来ているかもしれない
調査の分析では、失速の主な背景として、「感謝されない」「会話がない」「必要とされている感じがしない」といった、承認や関係性の薄れが挙げられていました。
これを読んで、僕は少し納得しました。1年目は、新しいことだらけで、周りもよく声をかけます。教える側も、教わる側も、毎日のように会話があります。ところが2年目になると、「もう一人前」という前提で、声をかける回数が減る。仕事は任されるけれど、見てもらえている感覚は薄れる。そのギャップが、静かに効いてくるのではないか、と思います。
これは調査が直接示している因果ではなく、僕の読み方です。それでも、「2年目こそ、会話が減りやすい」という点は、小さな会社でも起こりうる話だと感じます。
回復した36.9%には、「上司の具体的な関与」があった

では、調子を取り戻した人には何があったのか。分析では、回復の鍵として「上司の具体的な関与」が挙げられていました。具体的には、次の3つです。
1つ目は、目標を示してもらうこと。2つ目は、成長につながるフィードバックをもらうこと。3つ目は、改善に向けた助言をもらうことです。
ポイントは、「具体的」というところだと思います。「頑張っているね」という励ましだけでなく、「次はここを目指そう」「ここが良くなった」「ここは、こうするともっと良い」という、中身のある言葉。それが、本人にとっての「必要とされている感じ」や「成長している実感」につながるのではないか、と考えます。
17人の会社で、2年目の人に僕たちが意識していること
ここからは、僕たちの会社で大切にしたいと思っていることです。数字で効果を示せるものではなく、あくまで考え方として読んでください。
① 「任せる」と「見ている」を、セットにする
2年目の人に仕事を任せるのは、信頼の表れです。ただ、任せっぱなしにすると、本人は「放っておかれている」と感じるかもしれません。任せる範囲を広げるときこそ、進み具合を気にかけていることを、言葉で伝えるようにしたいと思っています。
② 感謝を、具体的に言葉にする
ITコンサルの仕事は、成果が見えるまでに時間がかかります。だからこそ、「あの資料のこの部分が、お客様の判断を助けた」のように、何が良かったかを具体的に伝える。短い言葉でも、「見られている」という感覚は変わるはずです。
③ 少人数だから、距離を詰めやすい
大きな会社では、上司と部下の間に何層もあるかもしれません。僕たちは、社長の僕が直接話せる距離にいます。この強みを、1年目だけでなく、2年目以降も使い続けたい。定期的に、目標や仕事の手応えを話す場を作ることが、いちばんの近道だと考えています。
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「元気かどうか」より、「何が足りないか」を聞く
もうひとつ、読みながら考えたことがあります。2年目の人に「最近どう?」と聞いても、たいていは「大丈夫です」と返ってくる、ということです。「大丈夫です」という返事は、本当に大丈夫なときにも、そうでないときにも出てくる言葉です。
だから、聞き方を少し変えたいと思っています。「元気?」ではなく、「いま、誰かに感謝された仕事はあった?」「最近、会話が足りないと感じる相手はいる?」のように、調査で挙がっていた「感謝」「会話」「必要とされている感覚」に、ひとつずつ触れる問いです。答えづらさが減り、本人も自分の状態を言葉にしやすくなるのではないか、と考えています。
もちろん、これも仮説です。ただ、数字を知ったあとで何もしないより、小さな問いをひとつ変えてみるほうが、ずっと前に進めると思っています。
採用の話としても、つながっている
この話は、定着だけでなく、採用にもつながると考えています。入社後2年目までを見据えて、「入ってからの1年目、2年目に、どんな会話があるのか」を応募前に伝えられると、期待と現実のズレが小さくなるはずです。以前、このブログで、入社前に「自分に合いそう」と思っていた人ほど早く辞めていた、という調査を取り上げました。入口の説明と、入社後の関わり。この両方がそろって、初めて「続けたい」が続いていくのだと思います。
数字を読むときに、気をつけたいこと
最後に、この調査を読むときの注意点です。
まず、これは定着支援ツールを使っている企業のデータで、業種も規模も幅があります。17人のITコンサル会社の実態を、そのまま映しているわけではありません。また、「失速」や「回復」は、ツール上のコンディション指標にもとづくもので、実際の離職を直接示したものではありません。
だから僕は、この数字を「うちでも41.4%が失速する」とは読みません。「2年目は、会話と承認が減りやすい時期らしい。うちでも起きていないか、確かめてみよう」と読むようにしています。
まとめ
1年目に意欲が高かった人でも、41.4%は2年目に失速していました。一方で、意欲が中・低だった人の36.9%は、2年目に調子を取り戻していました。その鍵として挙げられていたのは、上司の具体的な関与です。
「1年目を乗り切ったから安心」ではなく、「2年目こそ、声をかける」。小さな会社だからこそ、そのひと言を届けやすいと思っています。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
沼田海斗
株式会社K.Platinum代表。
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出典: エン株式会社「2年目の定着課題に関する分析」(2026年9月24日) https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001277.000000725.html

