「学校から人を採りたい。でも、求人票を出しても、小さな会社の名前は学生に届かない」。そんな悩みを抱えている会社は、少なくないはずです。
こんにちは。K.Platinum代表の沼田です。僕は高専の出身で、「学校を通じて人と出会う」という採用には、昔から関心があります。
先日、帝国データバンクが2026年9月25日に公開した「2027年度の高卒採用に関する企業の動向調査」を読みました。高校生の採用を予定している会社は、全体の24.4%、およそ4社に1社。ただ、会社の規模別に見ると、小規模企業は11.2%にとどまっていました。僕たちのような17人の会社は、この11.2%の側にいます。
今日は、この数字を手がかりに、「学校から人を採るとき、小さな会社には何が壁になるのか」を考えてみます。
※本記事は2026年10月時点の情報にもとづいています。調査は2026年8月18日〜31日に実施され、全国2万2,060社のうち1万560社が回答したものです。これは高卒(高校卒業者)の採用に関する調査で、高専(高等専門学校)に絞った数字ではありません。 高専の話は、あくまで僕自身の経験からの連想として書きます。
4社に1社は採る。でも、規模で大きく分かれる

調査によると、2027年度に高卒採用を予定している企業は24.4%でした。規模別では、大企業が42.7%、中小企業が21.2%、小規模企業が11.2%です。大企業と小規模企業のあいだには、4倍近い開きがあります。
業種でも差があり、製造業が36.4%、建設業が35.0%と高い一方で、不動産業は6.7%でした。
採用する理由で最も多かったのは「若手人材の確保」で85.2%。次いで「人手不足の解消」が52.5%、「将来の中核人材の確保」が50.2%でした。人手不足の中で、「若い人を迎えたい」という気持ちは、会社の規模に関係なく強いのだと思います。
それなのに、小規模企業では予定している割合が低い。この差は、何から来るのでしょうか。調査の「課題」の項目に、そのヒントがありました。
課題の1位は「応募者不足」、2位は「認知度不足」
高卒採用の課題として挙がった項目を見てみます。1位は「応募者の不足」で36.4%。2位は「企業の認知度不足」で31.1%でした。以下、「教育・育成の負担」が24.6%、「早期離職」が20.3%と続きます。
この1位と2位は、実は同じ話の表と裏かもしれません。会社が知られていなければ、応募は来にくい。応募が来ないから、採用の実績が積めず、さらに知られない。小さな会社ほど、この循環に入りやすいのだろうと思います。
高専の出身者として、僕はこの感覚に覚えがあります。学校の中には、毎年たくさんの求人が届きます。その中で、名前を聞いたことのない小さな会社が、学生の目に留まるのは簡単ではありません。毎年届く求人票の山の中から、先生が1社ずつ丁寧に紹介する時間も限られています。求人票の情報だけでは、「どんな人が、どんな仕事を、どんな雰囲気でしているのか」が分からないからです。
認知度不足は、仕事の中身・働き方・人の顔を「書いて届ける」ことで埋める

認知度不足は、広告を出せば解決する、という種類の話ではないと考えています。小さな会社にできるのは、「中身が分かる情報」を、地道に書いて届けることです。僕たちが意識しているのは、次の3つです。
① 仕事の中身を、学生の言葉で書く
ITコンサルティングという言葉だけでは、高校生や高専生には伝わりません。「お客様の困りごとを聞いて、どこにITやAIを使うかを一緒に決める仕事」のように、具体的な動きが想像できる言葉で書きます。
② 働き方を、隠さず見せる
僕たちは、全員がリモートで働く会社です。それが合う人もいれば、合わない人もいます。だからこそ、先に見せておく。学校の先生も、学生も、「入ってみたら思っていたのと違った」を、いちばん心配しているはずです。
③ 相談できる人の顔を、出す
小さな会社の強みは、代表の僕と直接話せることです。学校の先生や学生が、「この会社には、話を聞いてくれる人がいる」と思えるように、顔と名前を出して発信を続けたいと思っています。
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学校との関係づくり(18.1%が課題)は、採用シーズンの前から始まっている
課題の中には、「高校や教員との関係構築」(18.1%)という項目もありました。学校経由の採用は、求人票を出して終わりではなく、学校の先生との信頼関係が土台になる、ということだと思います。
先生は、学生の進路を一緒に考える立場です。「この会社なら、安心して送り出せる」と思ってもらうには、会社の考え方や、人の育て方を、普段から知ってもらう必要があります。それは、採用シーズンになってから急に始められることではありません。
僕たちにできるのは、ブログや発信で、会社の考え方や働き方を、継続して出し続けることです。すぐに応募につながらなくても、いつか学校の先生や学生が、検索や口コミで僕たちの記事に出会ったとき、「ここは、中身が見える会社だ」と感じてもらえるように。知られるための努力は、地味ですが、小さな会社が自分で積み上げられる数少ない資産だと考えています。
教育負担(24.6%)と早期離職(20.3%)は、入口の情報発信で軽くできるか
課題には、「教育・育成の負担」(24.6%)や「早期離職」(20.3%)も入っていました。人数が少ない会社では、ひとりを育てる負担が、全体に大きく響きます。だから、「採りたいけれど、育てきれるだろうか」と迷う気持ちも、よく分かります。
僕は、この迷いこそが、「知られる努力」とつながっていると思っています。入口でしっかり情報を出し、合う人に来てもらえれば、入社後のズレが減り、育てる負担も、離職の不安も、少しずつ軽くなるはずだからです。これは調査が示している因果ではなく、僕の仮説です。
数字を読むときに、気をつけたいこと
最後に、この数字の読み方です。
まず、これは高校卒業者の採用の調査で、高専の採用とは別のものです。高専は5年間の学びを経て、専門性を身につけて卒業する学校で、採用の考え方や時期も、高校とは違う部分があります。ですから、この調査の数字を、高専の採用の実態として読むことはできません。
また、「小規模企業」には、17人の会社だけでなく、もっと小さな会社も含まれています。僕たちの実態が、この11.2%と同じだとは限りません。
だから僕は、この数字を「うちも同じ」とは読まず、「学校から人を採りたい小さな会社が、共通してぶつかる壁は何か」を教えてくれる材料として読むようにしています。
まとめ
高卒採用を予定している会社は24.4%、およそ4社に1社。ただ、小規模企業では11.2%でした。課題の上位は「応募者の不足」(36.4%)と「企業の認知度不足」(31.1%)です。
学校から人を採るとき、小さな会社の最大の壁は、「知られていないこと」なのかもしれません。広告ではなく、仕事の中身、働き方、相談できる人の顔。この3つを、書いて届け続けること。17人の会社でも、今日から始められると思っています。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
沼田海斗
株式会社K.Platinum代表。高専の出身。全員リモートの17人の会社で、エンジニアが実力で正当に評価される環境づくりに取り組んでいる。
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出典: 帝国データバンク「2027年度の高卒採用に関する企業の動向調査」(2026年9月25日) https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001447.000043465.html

