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2026年9月16日

「わからない」の中身が、4回変わる ── 未経験からエンジニアになった人の、最初の1年に起きること

2人が、アイコンや歯車、時計、そして「2011」や「FIT 2022」と表示されたデジタルスクリーンが配置された、スタイリッシュな3Dの階段と交流している。これらは進歩と成果を象徴している。.

株式会社K.Platinum 清水洋太


「未経験からでも、本当に大丈夫でしょうか」

採用の面談で、いちばん多くいただく質問かもしれません。求人票に書いてあるのは入社時点の条件ばかりで、その先の1年で自分がどう変わっていくのかは、外からは驚くほど見えにくいものです。給与や休日は数字で比べられるのに、成長だけは比べようがありません。

この記事では、K.Platinumで未経験・異業種からエンジニアになった方の「最初の1年」を、1ヶ月目・3ヶ月目・半年・1年という4つの節目で追いかけてみます。先に結論を書いてしまうと、伸びていく人に共通していたのは、才能でも吸収の速さでもありませんでした。「わからない」の中身が、4回にわたって変わっていくこと。ただそれだけです。

そして最初の1ヶ月で求められるのは、コードを書く力ではありません。まったく別の力です。

1ヶ月目:「何がわからないかが、わからない」を、そのまま出せるか

入社してすぐの頃は、会話に出てくる用語の半分がわからない、という状態が普通です。設計の話をされても、どこから質問すればいいのかがわからない。「わからないことを質問してくださいね」と言われても、そもそも問いの形にならないのです。

ここで私たちが最初のスキルとして扱っているのが、「わからないを、わからないまま出すこと」でした。「〇〇がわかりません」と言えなくていい。「すみません、いま何の話をしているのかがわかっていません」で十分です。

K.Platinumは原則リモートワークです。オフィスであれば、表情や手の止まり方で周りが気づけたことが、画面の向こうでは何ひとつ伝わりません。黙って調べ続けている30分は、誰にも見えないのです。

だから入社直後の目標は「コードが書けるようになること」ではなく、詰まったときに、30分以内に誰かへ届く状態をつくることに置いています。OJTの先輩がついて画面共有で一緒に手を動かし、「15分調べてわからなければ聞く」といった目安も共有します。聞かずに粘ることが評価される会社ではありません。

最初の1ヶ月で身につけてほしいことの優先順位も、あらかじめ伝えています。1に開発環境とチームの進め方、2に「担当するシステムが何のために存在しているのか」の理解、3に技術。この順番が逆になると、手は動いても手戻りが増えてしまうからです。

社員は十数名、平均年齢は27.5歳。数年前に自分も同じ場所で固まっていた、という人が多い会社です。初歩的な質問を笑う空気は、ここにはありません。むしろ「その質問、実は自分も曖昧だった」と話が広がることのほうが多いくらいです。

3ヶ月目:手は動くようになった。次に来るのは「なぜ、そう作るのか」

3ヶ月ほど経つと、任されたタスクを自分で終わらせられるようになります。ここで多くの人が、二つ目の壁にぶつかります。「動くものは作れる。でも、なぜこの作りにしたのかを説明できない」という壁です。

弊社の開発はJavaを中心に、AWSやAzureといったクラウド上で動くシステムを扱うことが多くあります。レビューで必ず聞かれるのは「なぜこの実装を選んだのか」。動くかどうかは前提であって、評価されるのはその手前の判断です。

そしていま、この壁は少し前より高くなっています。私たちは、ChatGPTで要件や設計の整理を行い、Claude Codeでコードを生成し、Copilotでレビューする、という三段階のワークフローを日常的に使っています。生産性は大きく上がりましたが、裏を返せば「書けること」自体の価値は下がり、「出てきたものを読んで、採否を判断できること」の価値が上がったということです。

生成されたコードは、たいてい動きます。動くけれど、このシステムの前提には合っていない──それを見抜けるかどうか。ここが分かれ目になります。

だからレビューは、間違いを指摘する場というより、判断を声に出して練習する場に近い時間です。「その書き方でも動きますが、半年後に仕様が変わったらどうなりますか」「AIはこう出してきましたが、それでいいと判断した理由は何ですか」。そう聞かれて考え込む時間こそが、いちばん力になります。

3ヶ月目のテーマは、この一段を越えることです。「動いたのでOKです」から、「この方式を選びました。理由は3つあります」へ。レビューの場で自分の判断を言葉にできるようになった人は、そこから一気に伸びていきます。

図版

半年:「作る前」の会話に、少しずつ混ざれるようになる

弊社のメイン事業は、ITコンサルティングです。お客様のビジネス課題に対して提案の段階から入り、業務整理 → 業務改善 → システム化 → AI導入まで、一気通貫で伴走します。開発だけを切り出して請け負う会社ではありません。

半年ほど経った頃から、お客様の業務をヒアリングする場に同席してもらうことが増えます。そこで交わされているのは、技術の話ではありません。「この作業は、そもそも毎日必要ですか」「この転記、誰が何のために見ていますか」といった、作る前の会話です。

最初は議事メモを書くところから始める人がほとんどです。書こうとすると、自分がどこを理解できていないかが、驚くほどはっきり見えてきます。

聞いていくと、当初の「この画面がほしい」という要望が、実は別の部署の確認作業を減らしたいという話だった、と判明することがあります。新しいシステムを入れるより先に、業務の順番を変えるだけで解決してしまうことも実際にあります。

その判断の場に立ち会うと、多くの人が同じ感想を口にします。「エンジニアの仕事って、作ることだけじゃないんですね」と。ここを知っているエンジニアは、その後の設計の精度が明らかに変わります。何を作らないかを決められるからです。

設立から2年で20件を超えるプロジェクトを経験してきましたが、社員は十数名です。手が足りていない領域は常にあり、「やってみたい」と言った翌週から関わっているということが、普通に起こります。順番待ちの列がない、という言い方のほうが正確かもしれません。

エンジニア募集中|「作る前」の会話から関われる開発環境と、フルリモート・フルフレックスの働き方を詳しく見る → K.Platinum 採用ページ

1年:質問する側から、答える側へ

1年経つと、新しく入った方から質問される側になります。かつて自分が固まっていた場所で、今度は誰かの30分を短くする側に回る。この立場の変化が、実はいちばん大きな成長の実感になるようです。

「1年前の自分に何を伝えたいですか」と聞くと、多くの人が同じことを言います。「もっと早く、わからないと言えばよかった」と。1ヶ月目にいちばん大事だと言われたことが、1年経ってようやく腹落ちする。どうやら、そういう順番のようです。

その先の広がり方は、一つではありません。技術をさらに深める人、提案や業務整理まで領域を広げる人、スクール事業で教える側に回る人、自社プロダクトの開発に手を挙げる人。K.Platinumにはエンジニアが正当に評価される会社にしたいという一貫した考え方があり、進む方向は本人の意思と実力で決まっていきます。年次で自動的に決まるものは、ここにはほとんどありません。

学ぶ時間を確保しやすいことも、地味ですが効いています。フルフレックス(コアタイムなし)、原則リモート、年間休日123日、残業はほぼありません。研修制度と資格取得支援があり、オンラインの勉強会やLT会も定期的に開かれています。夜と週末をすべて差し出さないと成長できない環境では、1年は続きません。


まとめ:1年後、迷いは「別の問い」に変わっている

未経験からの1年は、劇的なものではありません。わからないことを口に出せるようになり、選んだ理由を語れるようになり、作る前の会話に混ざれるようになる。その積み重ねです。

大切なのは、その1年を「見てくれている人がいる環境」で過ごせるかどうかだと思っています。十数名という規模は、一人ひとりの詰まりどころが見える大きさです。そして、誰かの成長がそのまま会社の成長になる大きさでもあります。

いま「自分にできるだろうか」と迷っている方へ。その迷いは、1年後には別の問いに変わっています。その変化を、私たちは何度も見てきました。次は、あなたの番かもしれません。


清水洋太(しみず・ようた)
株式会社K.Platinum所属。エンジニアが力を発揮できる環境づくりを大切にしている。


K.Platinumでは一緒に働くエンジニアを募集しています。「実力で正当に評価される環境」に興味がある方は、ぜひ採用ページをご覧ください。

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