株式会社K.Platinum 清水洋太
「勉強会、制度としてはあったんです。ただ、最後のほうは誰も来ていませんでした」
カジュアル面談で前職のお話を伺っていると、この手のエピソードをよく聞きます。始めた当初は熱量があったのに、半年もするとカレンダーに予定だけが残っている。エンジニアなら一度は見たことのある光景ではないでしょうか。
K.Platinumは全員がリモートで働く十数名の会社ですから、油断すれば同じ道をたどります。それでも社内の勉強会とLT会は続いています。この記事では、続けるために決めた4つのルールと、そこで実際に何が話されているのかを具体的にお伝えします。読み終えるころには、入社した方が毎回どんな時間を過ごすことになるのかが、だいたい見えてくるはずです。
続かない勉強会をやめる ── 私たちが決めた4つのルール
私たちが最初に話し合ったのは、テーマでも開催頻度でもなく「どうすればやめずに済むか」でした。形だけになってしまった勉強会を思い返すと、原因はたいてい似ています。準備が重い。目的が曖昧。発表者がいつも同じ人。そして、業務時間をはっきり圧迫している。
だから、やめる原因を先に潰す形で4つ決めました。
1. ひとりの持ち時間は15分に区切る。 30分の枠を取れば、人は30分ぶんの準備をしてしまいます。短いほうが話す側のハードルは下がり、聞く側も最後まで集中が持ちます。
2. 資料は作り込まない。 実務で使ったメモ、詰まったところのコードの断片、社内向けに書いた手順書。そのまま画面に映して構いません。むしろ、きれいなスライドを用意してきた人より「先週ハマったエラー画面をそのまま出す人」のほうが、質問がよく飛びます。
3. 参加率100%を目標にしない。 フルフレックスで働いていると、お客様との打ち合わせが重なる日もあります。全員が揃うことを開催条件にすると「出られないから発表もやめておきます」という縮小のループが始まる。だから、後から見られる状態にしておくことを優先しました。
4. 登壇を当番制にしない。 当番制にすると「自分の番だから何か探す」という後ろ向きの準備が始まり、内容が薄くなります。手を挙げた人が話す。話したいことが出てきた人が、そのタイミングで枠を取る。結果として話す顔ぶれは自然に入れ替わりますし、「今これを共有したい」という熱が乗った回になります。
地味なルールばかりです。それでも、続いている理由の大半はここにあると思っています。
話されるのは「昨日詰まったこと」── 生成AIの線引きから業務整理まで
内容は自由です。ただ、実際に人が集まるのは、決まって生々しい話のときです。
たとえば、生成AIの使い方。弊社では設計メモの整理から実装、コードレビューまで、複数のAIツールを段階的に組み合わせて開発を進めています。全体の型は共有されていても、どこまでAIに任せてどこから自分で書くかの線引きは、人によって、そして案件によって違う。「このプロンプトの出し方だと手戻りが減った」「この工程は結局、自分で書いたほうが速かった」──こうした話はマニュアルには書きにくく、雑談で流すには惜しい。だから15分の枠に載せます。
クラウドの構成をどう決めたか。Javaのフレームワーク周りでどこにハマったか。フロントの実装で悩んだ設計判断。テーマはそのときどきですが、共通しているのは、うまくいった話より「やってみて微妙だった話」のほうが盛り上がることです。失敗を普通に共有できるかどうかには、その会社の空気がそのまま出ます。
技術そのものではない回もあります。お客様の現場で紙とExcelに散らばっていた作業の流れをどう整理したか、という話。新しいシステムを入れる前に業務そのものを組み直すと、実装量が半分になることは珍しくありません。特定の言語の知識ではなく、聞いておかないと身につかない類の勘所です。担当していない案件の回でも、こういうときはメモを取る人が増えます。

発表する側の得 ── 説明できたことだけが、理解できたこと
「発表するほどのネタがない」と最初は皆が言います。それでも一度話してもらうと、多くの人が続けてくれます。理由はシンプルで、人に説明できたことは、自分が本当に理解できたことだからです。
これは弊社の仕事の性質とも噛み合っています。K.Platinumの中心はITコンサルティングで、お客様のビジネス課題に提案の段階から入り、業務の整理・改善からシステム化、リリースまでを一気通貫で担当します。つまり、技術の話を技術者以外にも伝わる言葉に翻訳する場面が、日常的にあるということです。社内LTは、その練習台としてかなり実戦的です。専門が違うメンバーが聞いている前提で話すと、自分の説明のどこが飛んでいるかがすぐ分かります。
聞く側の得は、自分が担当していない案件の勘所が見えることです。十数名の会社なので、隣で何が起きているかを知っていることが、そのまま自分の引き出しになります。数ヶ月後に「あのとき聞いた話、今の案件で使えるかもしれない」と言い出す人が出てくると、運営としては素直に嬉しいです。
もうひとつ、これは結果論ですが、社内で技術の話を筋道立てて説明した経験は、人を任される場面で効いてきます。弊社では20代でリードのポジションを担っているメンバーが何人もいます。彼ら彼女らに共通しているのは、自分が理解していることと、まだ分かっていないことの境界をはっきり言えることです。LTの場は、その境界を毎回すこしずつ更新していく作業でもあります。
こういう場で腕を磨きたい方へ。K.Platinumはエンジニアを募集しています。→ 働き方と評価の仕組みを見る
学ぶ時間は気合ではなく余白から ── 研修・資格支援・フルフレックス
こうした場を「気持ち」だけで支えるのは無理があります。仕組みも一緒に用意しています。
研修は、入社時研修・業務研修・ビジネススキル研修・開業研修のカテゴリで整備し、日々の業務ではOJTを中心に先輩がサポートします。資格取得の支援制度もあり、PCとモニターは会社から支給。働き方は原則リモートワーク、コアタイムなしのフルフレックスで、完全週休2日制・年間休日123日、残業もほとんどありません。
学ぶ時間は、気合ではなくスケジュールの余白から生まれます。定時後にへとへとの状態で勉強会に出ても、頭には入りません。だから「余白があること」自体を、会社としての前提条件だと考えています。
社内に閉じているわけでもありません。副業も応相談で可能ですし、社外のコミュニティやイベントに顔を出しているメンバーもいます。高専の学生さんが競うプログラミングコンテストへの協賛や、インターンの受け入れにも取り組んでいます。外で見聞きしたことが社内のLTに持ち込まれ、それがまた案件の中で使われる。この行き来があるうちは、学びが止まらないと思っています。
まとめ
社内勉強会やLT会は、あってもなくても、明日の売上が変わるものではありません。それでも私たちが手間をかけて続けているのは、ここで交わされる「うまくいかなかった話」が、数ヶ月後の提案や設計の質に確実に効いてくるからです。続けるコツは根性ではなく、15分に区切る・作り込まない・全員参加を求めない・当番制にしない、という「やめない設計」にありました。
K.Platinumは、まだ十数名の会社です。だからこそ、誰かが持ち帰ってきた学びが全員に届くまでの距離が短い。学んだことを共有すれば、それが翌週の誰かの仕事を助けます。実力で正当に評価される環境で、技術を磨きながら手を挙げ続けたい方には、面白い場所だと思います。
「発表するほどのネタなんてない」と今思った方こそ、たぶん向いています。まずは一度、話を聞かせてください。
清水洋太(しみず・ようた)
株式会社K.Platinum所属。エンジニアが力を発揮できる環境づくりを大切にしている。
K.Platinumでは一緒に働くエンジニアを募集しています。「実力で正当に評価される環境」に興味がある方は、ぜひ採用ページをご覧ください。

