こんにちは。K.Platinum代表の沼田です。
10月1日、今日は多くの会社で内定式が行われる日です。内定式を終えると、採用担当者としては、ひとつ大きな区切りがついた気持ちになります。「これで今年の採用は、ほぼ一段落だな」と。
僕も、これまではそんなふうに考えていた部分がありました。でも、昨日(2026年9月30日)にABABAが公開した調査を読んで、その見方を少し改めたくなりました。内定式の直前でも、就活を続けている学生が29.8%いる。しかも、企業側の61.5%も、10月以降の採用を続ける、または検討している。
内定式は「終わり」ではなく、「次の局面の始まり」になっているのかもしれません。今日は、この調査から読み取れることと、17人の会社にできることを考えてみます。
※本記事は2026年10月時点の情報にもとづいています。調査はABABAのプラットフォームに登録している学生809人(2026年9月10日〜14日)と、企業143社(9月9日〜14日)が対象です。全国の学生・企業の代表的なデータではない点をご了承ください。また、数字の中には大企業・中堅企業のものも含まれ、僕たちのような小さな会社にそのまま当てはまるとは限りません。
内定を持っていても、3割は就活を続けている
![続く就活と、続く採用][01_after.png]
まず、学生さんの側の数字です。
調査では、内定を持っている学生が88.6%いました。ほとんどの人が、すでに内定を持っている状態です。それでも、内定式の直前の時点で就活を続けている人が29.8%いました。約3人に1人です。
さらに、内定式に参加する予定の学生のうち、21.3%は「参加したあとも、辞退する可能性がある」と答えています。内定式に行くことと、そこに入社することが、イコールではなくなっているわけです。
また、内定を承諾したあとに他の企業へエントリーした人は29.6%で、前年より7.6ポイント増えていました。内定を受けたあとに、もう一度探し直す「就活リトライ」が、少しずつ当たり前になりつつあるようです。
僕は、これを「最近の学生は不誠実だ」とは受け取りません。むしろ逆です。人生の大きな選択ですから、決めたあとでも「本当にこれでいいのか」を確かめたくなるのは、自然なことだと思います。
企業側も、「10月以降」を前提にしている
一方で、企業側の数字も興味深いものでした。
企業の61.5%が、10月以降も採用を続ける、または続ける方向で検討しているそうです。また、大企業・中堅企業の69.9%が、内定式の前後に想定外の辞退を経験していました。
つまり、辞退が出ることも、10月以降に採用を続けることも、いまや「想定内の運用」になりつつあります。学生さんの側も、企業の側も、内定式を「ゴール」とは見なしていない。内定式後も続く就活と、続く採用が、同じ時期に並んで走っている状態です。
ここで、僕たち17人の会社が気をつけたいのは、大企業の数字をそのまま自分たちに重ねないことです。69.9%という辞退経験の割合は、母数も規模も違う会社の話です。僕たちにとって大切なのは、数字そのものより、「内定を出したあとの関わり方を、どう設計するか」だと思っています。
内定式のあとに、17人の会社ができる3つのこと(辞退対策より「関係づくり」)
![内定式後にできる3つのこと][02_cards.png]
では、内定式のあとに、何ができるのか。僕が考えているのは、次の3つです。
① 他社も見ていることを、責めない
「他にも受けているんですよね?」と聞くのは、ときに圧をかけているように聞こえます。でも、最初から「他の会社も見て、納得して決めてくださいね」と伝えておけば、学生さんは安心して本音を話せます。迷っていることを隠さなくていい関係のほうが、結果的に入社後のズレも小さくなると考えています。
② 迷ったときの連絡窓口を、はっきり決めておく
内定者の迷いは、誰にも言えないまま大きくなりがちです。だから、「迷ったら、いつでもここに連絡してください」という窓口を、1本だけ決めておきます。僕たちの規模なら、社長の僕か、現場のメンバーが直接答えられる形が現実的です。返信は遅くとも翌営業日、といった目安も伝えておきたいです。
③ 10月以降の枠を、隠さずに開いておく
「内定式が終わったので、今年の募集は終了です」と閉じてしまうと、リトライを考えている学生さんと出会う機会がなくなります。僕たちのような小さな会社こそ、必要な人とであれば、10月以降も話をする余地を残しておきたいと考えています。もちろん、無理に枠を埋めるつもりはありません。出会いの門を閉じすぎない、というだけの話です。
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高専生や、これから進路を決める人にも
この調査は、高専生に限ったものではありません。ただ、高専の学生さんの場合は、就職か進学か、という選択も同時に動く時期だと思います。内定を持ったままでも、進学や別の道を考え直すことが、決して不自然ではありません。
僕たちも、高専の学生さんと出会うことがあります。そのときは、「就職を決めること」より「納得して選べること」を大切にしたいです。内定式は、通過点のひとつ。そのあとの数か月で気持ちが変わることがあっても、それは悪いことではありません。
「辞退されたくない」より、「選び直されても後悔しない」を目指す
3つの対策を書きましたが、その土台にある考え方も、少し書いておきます。
採用をやっていると、どうしても「辞退されたくない」という気持ちが先に立ちます。内定を出した人が、他の会社に行ってしまうのは、正直に言ってつらいです。時間もかけましたし、一緒に働く姿を想像してもいました。
でも、辞退を防ぐことだけを目的にすると、連絡の頻度を増やしたり、入社の意思を何度も確認したりと、学生さんにとって重たい関わり方になりがちです。それは、本来の目的とずれていると思います。僕が目指したいのは、「選び直されても、お互いに後悔しない状態」です。
たとえば、内定を出したあとの最初の連絡で、「いま気になっていることがあれば、何でも聞いてください。他の会社と比べて迷っていることがあれば、それも歓迎です」と伝える。それだけでも、学生さんの受け取り方は変わるはずです。迷いを隠さなくていいと分かれば、聞きたいことを聞いてもらえて、僕たちも正直に答えられます。
その結果、他の会社を選ぶことになったとしても、それは「ご縁がなかった」というだけで、悪い結末ではありません。逆に、迷った末にうちを選んでもらえたなら、その決断はいちばん強い入社理由になると思います。
数字を読むときに、気をつけたいこと
最後に、この調査の数字を読むときの注意点を、改めて整理しておきます。
今回の調査は、ABABAに登録している学生と企業が対象です。全国の学生・企業を代表するデータではありません。また、「大企業・中堅企業の69.9%が想定外の辞退を経験した」という数字は、規模の大きな会社の話です。僕たちのような少人数の会社では、1人の辞退が与える影響の大きさも、そもそもの辞退の出方も違います。
だから僕は、数字を「うちもこうなるはずだ」と読むのではなく、「世の中の空気が、こう動いている」と読むことにしています。内定式がゴールではない。その空気を知っておくだけで、10月以降の動き方は変わってくるはずです。
まとめ
内定式が終わっても、就活は続いています。学生さんの約3割が就活を続け、企業の6割は採用を続ける。ABABAの調査からは、そんな「内定式後も動き続ける」状況が見えました。
僕たちにできるのは、辞退を恐れて囲い込むことではなく、迷いを話してもらえる関係をつくっておくことだと思います。責めない、窓口を決める、門を閉じすぎない。この3つなら、17人の会社でも今日から始められます。
内定式が終わったあとの数か月こそが、本当の意味で「お互いを知る時間」なのかもしれません。そんなふうに思いながら、この記事を書きました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
出典: ABABA「2027卒 内定式に関する調査」(2026年9月30日) https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000147.000068609.html
沼田海斗(ぬまた・かいと)
株式会社K.Platinum代表。17人のチームで、エンジニアが力を発揮できる環境づくりと採用に向き合っている。
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