株式会社K.Platinum 代表取締役 沼田海斗
「東大博士で量子コンピュータを研究していた男と、沖縄高専卒でママチャリ日本一周した男。この2人が一緒に会社を作った。」
こう書くと、フィクションみたいに聞こえるかもしれない。でもこれは実話で、僕たちの会社——株式会社K.Platinumの創業ストーリーそのものです。
共同創業者の前蔵さんとは、バックグラウンドも性格も正反対。でも、1つだけ完全に一致していたことがある。それは「エンジニアや研究者が、正当に評価される場所を作りたい」という問題意識でした。
この記事では、なぜ正反対の2人が同じ方向を向けたのか、そしてそこから何が生まれたのかを書いてみます。
沼田海斗 — 現場叩き上げのエンジニア
僕のキャリアは、沖縄高専のメディア情報工学科からスタートしています。15歳からコードを書き始めて、卒業間際にはママチャリで日本一周。トヨタシステムズではPLとして大規模システム開発に携わり、その後スタートアップのITコンサルティングファームで上流工程を経験しました。
一言で言えば「手を動かす側の人間」です。
技術が好きで、自分で作りたいし、自分で壊して直したい。理論よりも実践。設計書よりもプロトタイプ。そういうタイプです。
ITコンサルの世界に入ってからは、上流の提案や戦略設計も手がけるようになりましたが、根っこにあるのは「動くものを作れる」という実務力。これが自分の一番の武器だと思っています。
前蔵さん — アカデミアの世界から来た研究者
前蔵さんは、僕とは全く違う世界の人です。
東京大学で博士号を取得し、量子コンピュータを研究していた。アカデミアのど真ん中にいた人間です。
研究の世界では、論文を書き、学会で発表し、成果を積み上げていく。でもそのプロセスの中で、前蔵さんが感じていたのは「研究者の能力が正当に評価されない」という構造的な問題でした。
どれだけ優れた研究をしていても、ポストの数は限られている。研究費の獲得競争に追われ、短期的な成果を求められる。博士号を持っていても、民間に出たら「研究しかやってないんでしょ?」と見られる。
「自分の能力を正当に評価してもらえる場所がない。」
アカデミアの側から、前蔵さんはそう感じていた。
交差点 — 同じ問題意識、真逆のアプローチ
僕がIT業界の現場で感じていたことと、前蔵さんがアカデミアで感じていたこと。言葉にすると、驚くほど似ていました。
僕の問題意識: IT業界の多重下請け構造の中で、実際に手を動かすエンジニアが正当に評価されない。中間マージンが何層も抜かれ、スキルに見合った報酬が届かない。
前蔵さんの問題意識: アカデミアの中で、研究者が正当に評価されない。高度な専門性を持っていても、それがキャリアや報酬に直結しない構造。
「エンジニアが正当に評価されない」と「研究者が正当に評価されない」。
業界は違っても、根っこの構造は同じだった。
そして、2人とも「評価されないなら、評価される場所を自分で作ろう」という結論に至っていた。アプローチは真逆でも、目指す先が同じだったから、出会った瞬間に意気投合した。
なぜ「正反対」が強みになるのか

正直に言うと、僕と前蔵さんの組み合わせは珍しいと思います。ITコンサル業界では、似たキャリアの人同士が組むことの方が圧倒的に多い。
でも、正反対だからこそ、足りないものを補い合える。
僕が得意なこと: クライアントとの交渉、プロジェクトマネジメント、実装の判断、営業、現場のハンドリング。「今日中にこれを形にしろ」と言われたら、手を動かして何とかする力。
前蔵さんが得意なこと: 論理的な構造設計、データに基づく意思決定、アカデミックなバックグラウンドを活かした技術選定、長期的なビジョン設計。「この問題の本質は何か」を突き詰める力。
この2つが合わさると、「目の前の課題を高速で解決しつつ、長期的な方向性も間違えない」という経営ができる。
ビジョナリーとプラグマティスト。理論と実践。研究と実装。この掛け算が、K.Platinumの強みの源泉になっています。
2人で作った会社が、今こうなっている
2023年3月、資本金10万円でK.Platinumを設立。社員は2人だけ。
そこから3期目の今、会社はこうなりました。
- 従業員17名(うち高専出身者8名)
- 資本金2,000万円
- 大手外資金融・製造業のDXプロジェクトを中心に、上流コンサルティングから開発まで一気通貫
- プログラミングスクール「ジゴカツ」の運営
- エンジニアの独立支援事業
「正反対の2人」で始めた会社に、今では多様なバックグラウンドのメンバーが集まっています。トヨタ出身、富士通出身、Amazon出身。大卒も高専卒も院卒もいる。共通しているのは「実力で正当に評価されたい」という意志だけ。
前蔵さんが持ち込んだ「能力を可視化する」という思想は、社内の評価制度にも反映されています。年功序列ではなく、スキルと実績に基づくフェアな評価。これはアカデミアの世界で「評価されない」痛みを知っている前蔵さんだからこそ設計できた仕組みだと思っています。
「同じ」じゃなくていい。「同じ方向」を向いていればいい

起業パートナーを探している人に、僕が伝えたいのは1つ。
似たタイプを探す必要はない。
大事なのは、スキルセットが同じことではなく、見ている方向が同じこと。解決したい課題が同じで、「やろう」と言ったときに本気で動ける人。それさえ揃っていれば、バックグラウンドが真逆であるほど、実は強い。
僕と前蔵さんのケースがまさにそうで、お互いの得意分野が完全に重ならないからこそ、意思決定でぶつかっても建設的な議論ができる。片方が見落としていることを、もう片方が必ず拾える。
東大博士×高専卒。研究者×エンジニア。理論×実践。
この組み合わせは、偶然のように見えて、実は必然だったのかもしれません。
K.Platinumが目指す先
僕たちの目標は、「エンジニアギルド」を作ること。
エンジニア一人ひとりが自分のスキルと市場価値を正しく把握し、最適な案件にマッチングされ、正当な報酬を受け取れる。会社という箱に依存するのではなく、個人の実力がそのままキャリアと収入に直結する世界。
これは前蔵さんが「研究者もそうあるべきだ」とずっと言っていたことでもあるし、僕が「エンジニアもそうあるべきだ」と思っていたことでもある。
K.Platinumは、その世界を実現するための実験場です。
正反対の2人が、同じゴールに向かって走っている。この記事を読んで「面白そうだな」と思ってくれた人がいたら、ぜひ一度話をしに来てください。
沼田海斗(ぬまた・かいと)
株式会社K.Platinum 代表取締役。沖縄工業高等専門学校メディア情報工学科卒。トヨタシステムズでPLを経験後、スタートアップITコンサルティングファームを経て、24歳でK.Platinumを設立。現在3期目、27歳。プロキックボクサーとしても活動中(3戦)。
K.Platinumでは一緒に働くエンジニアを募集しています。
「実力で正当に評価される環境」に興味がある方は、ぜひ[採用ページ]をご覧ください。

