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2026年9月18日

見積りが外れた日、誰も犯人を探しませんでした ── 社員十数名で20件超のプロジェクトを回すK.Platinumの「想定外」の巻き取り方

サイバーセキュリティについて話し合う人々のイラスト。盾、歯車、矢印のアイコンが描かれており、濃い青色の背景の上にある円形のプラットフォーム上で、保護と協力を表している。.

株式会社K.Platinum 清水洋太


プロジェクトが予定どおりに進まなくなったとき、あなたの職場では最初に何が起きるでしょうか。

原因を作った人を探すところから始まる現場は、正直に言えば珍しくありません。私自身、そういう空気の中で仕事をしていた時期があります。あの空気の一番つらいところは、遅れそうだと気づいた人が、気づいた瞬間に黙ってしまうことでした。報告が一日遅れるごとに、打てる手は確実に減っていきます。

弊社は社員十数名の会社です。人数が少ないぶん、一人のつまずきはそのままプロジェクト全体の遅れになります。だからこそ「想定外が起きたときにどう動くか」を、かなり真剣に決めてきました。この記事では、見積りが外れた日に私たちが実際に踏んでいる手順と、それが「入社して間もない人でも手を挙げられる環境」にどうつながっているのかを、具体的な場面までお話しします。

見積りは「外れる前提」で置いています ── 提案から入るITコンサルの宿命

弊社の主軸はITコンサルティングです。お客様のところへ提案活動から入り、業務整理・業務改善・システム化、そしてAIの導入まで一気通貫で担当します。

この「提案から入る」という入り方が、実は見積りを難しくします。要件がきれいに固まった状態で発注される仕事ではなく、「何が困っているのか」を一緒に言葉にするところから始まるからです。設立から2年で20件を超えるプロジェクトに関わってきましたが、最初に描いた線のまま最後まで走り切った案件は、正直そう多くありません。

現場に入って業務フローを一つずつ追いかけていくと、事前のヒアリングには一度も出てこなかった作業が見つかります。「この確認、実は毎回Excelを開いて手で照合しています」といった一言で、想定していた工数が変わる。これは誰かの見落としではなく、業務整理という仕事の性質そのものです。

そう考えると、見積りが外れることは事故ではなく、想定の範囲内の出来事になります。だから私たちは「外れないように精度を上げる」より先に、「外れたと分かった瞬間に、どれだけ早くテーブルに載せられるか」を大事にしています。犯人を探す会話は、この速度を確実に落とします。それが、探さない一番の理由です。

ずれに気づいた日の手順 ── その場でチャット、30分だけ集まる、原因究明は後日

実際にスケジュールがずれ始めたとき、私たちが最初にやるのは、状況をそのまま共有することです。

弊社は原則リモートワークで、勤務はコアタイムのないフルフレックスです。全員が同じ時間に画面の前にいるわけではないので、「今日の夕会で言おう」と溜め込むと半日が失われます。気づいた人がその場でチャットに書く。書き方が整っていなくても構いません。「ここ、たぶん間に合いません」の一行で十分です。

そのあと、必要なら30分だけ人を集めます。この場で話すのは三つだけです。何が起きているのか。お客様への影響はどこに出るのか。誰が何を引き取るのか。原因の深掘りは後日に回します。緊急時に原因究明から入ると、たいてい説明する人が一人で喋り続ける会になり、肝心の「どう巻き取るか」に時間が残らないからです。

引き取り方も、けっこう素直です。手が空いている人が拾う。難しい判断が必要なら、その領域を一番よく分かっている人が入る。役割の線引きで押し戻すことは、まずありません。十数名という規模だと、誰かが黙って抱えた瞬間にチーム全体が止まってしまうことを、全員が経験として知っているからだと思います。

そして、落ち着いてから改めて振り返りの時間を取ります。ここでようやく原因を掘りますが、話題にするのは「なぜその作業が事前に見えなかったのか」であって、誰が悪かったのかではありません。出てきた気づきは、次の案件のヒアリング項目に足していきます。ずれを一度きりの失敗で終わらせず、会社の型に変えていく作業です。

図版

想定外を早く出せるチームは、経験の浅いメンバーに任せられます

「失敗しても責められない」という話は、聞こえはいいけれど、それだけだと何も生みません。私たちがこの動き方を続けている理由は、もっと実利的です。想定外を早く共有できるチームは、経験の浅いメンバーに仕事を任せやすいのです。

たとえば入社して間もないエンジニアに、業務フローのヒアリングをそのまま任せる場面があります。技術的な難易度は高くありませんが、お客様の言葉を正確に拾い、抜けている業務に気づく必要がある仕事です。当然、最初は見落とします。

このとき「見落としが後で発覚すると大ごとになる」チームでは、経験者が同席して代わりに聞いてしまいます。一方で、気づいた時点で言えば巻き取れるチームなら、まず本人にやってもらって、詰まったところを一緒に直せます。任せる側のリスクが下がるぶん、任される機会は増えます。

実際、「これ聞き漏らしたかもしれません」と後から相談が来ることがあります。そこで責める理由はどこにもありません。その日のうちに追加で確認すれば済む話ですし、何より、自分から言ってくれたおかげで一週間後の手戻りが消えています。

弊社では、開発だけでなく提案書づくりや要件定義、リリース後の運用改善まで、同じ人が続けて見ることが多くあります。関わる範囲が広いということは、それだけ「初めてやること」が多いということでもあります。想定外を前提にした動き方は、その広さを支えるための土台になっています。

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想定外そのものを減らす、4つの地味な習慣

もちろん「起きてから直す」だけでは仕事になりません。回数を減らすためにやっていることも、4つあります。

一つ目は、確認の単位を小さくすることです。数週間分をまとめて見せるのではなく、動くものを早めにお客様へ見ていただく。認識のずれは、早い段階なら会話一回で直ります。

二つ目は、業務整理の段階で「例外の処理」を必ず聞くことです。標準的な流れは資料に書いてありますが、工数を膨らませるのはたいてい例外側です。「月末だけ紙で回している」「特定の取引先だけ手順が違う」といった話は、こちらから聞かない限り出てきません。

三つ目は、生成AIの使いどころを揃えていることです。私たちは設計やドキュメントの整理、コードの生成、レビューを、それぞれ得意なツールに任せる形で進めています。手を動かす時間が圧縮されたぶん、確認と相談に時間を回せるようになりました。

四つ目は、勉強会やLT会で、うまくいかなかった話も普通に共有することです。誰かの想定外は、たいてい他の誰かの案件でも起こります。「うまくいった事例」より「詰まったところ」のほうが、聞いている側の役に立つ場面が多い、というのが正直な実感です。

どれも派手さのない習慣ですが、こういうものほど、続けているかどうかで差が出ます。仕組みとして決めておかないと、忙しい時期に真っ先に省略されてしまうからです。

まとめ ── 違いが出るのは、起きたあとの数時間です

想定外が起きない現場はありません。違いが出るのは、起きたあとの数時間の使い方です。

私たちは、その数時間を「誰のせいか」ではなく「どう前に進めるか」に使う会社でありたいと思っています。それは優しさというより、十数名で20件を超えるプロジェクトを動かしてきた結果としてたどり着いた、いちばん現実的なやり方でした。

完璧に段取りできる人を探しているわけではありません。うまくいっていないと分かったときに、それを早く言葉にできる人と一緒に働きたいと思っています。技術はあとから積み上がりますが、この動き方はチームでしか身につきません。

少しでも面白そうだと感じていただけたなら、ぜひ一度お話ししましょう。


清水洋太(しみず・ようた)
株式会社K.Platinum所属。エンジニアが力を発揮できる環境づくりを大切にしている。


K.Platinumでは一緒に働くエンジニアを募集しています。「実力で正当に評価される環境」に興味がある方は、ぜひ採用ページをご覧ください。

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