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2026年10月24日

9月18日まで、国が意見を募集している — 自分たちが埋めているタグの話だと気づいた

スーツ姿の男性が、画面から色とりどりの小さなアイコンが飛び出すのを見て驚いた表情を浮かべており、その上には9月18日までという文字が表示されている。.

こんにちは。K.Platinum代表の沼田です。

パブリックコメント、というものがあります。国が制度をつくるときに、案の段階で「意見ありませんか」と広く募集する手続きです。

正直に書くと、僕はこれをずっと自分に関係のないものだと思っていました。業界団体とか、法務部のある大企業とか、そういう人たちが出すものだろう、と。17人の会社の社長が意見を出したところで、という感覚です。

その認識が、先月変わりました。

総務省が8月19日に出した意見募集を読んだら、うちが毎日やっている作業の話が書いてあったからです。

※本記事は2026年9月時点の情報にもとづいています。制度の適用や法的な判断については、必ず原典と専門家の確認をお願いします。


何の意見募集なのか

総務省の報道発表を、原典のとおりに引きます。

『利用者情報ワーキンググループ第2次報告書(案)(利用者情報に係る外部送信規律の在り方に係る検討について)についての意見募集』(2026年8月19日)。

所管は総務省 総合通信基盤局 電気通信事業部 利用者環境課。

意見募集期間は、2026年8月20日(木)から9月18日(金)必着。

このワーキンググループは、電気通信事業とプラットフォームサービス等に係る利用者情報の更なる保護等に向けて、多角的な観点から集中的に検討してきたものだと発表に書かれています。募集の結果を踏まえて、第2次報告書を決定する予定とのことです。e-Govのパブリック・コメント欄にも掲載されています。

ここまでだと、まだ他人事に読めます。僕もそう読みかけました。

引っかかったのは、資料の構成のほうでした。

別紙1の報告書案には、「ウェブサイト等における利用者情報の外部送信に係る法令上の事項及び望ましい対応等(考え方)(案)」が別添として含まれています。

外部送信。ウェブサイト。

——これ、タグの話じゃないか、と思いました。


読んでみたら、自分たちが毎日埋めているものの話だった

外部送信、と書かれると硬いのですが、実装の言葉に置き換えると急に身近になります。

僕らが受託でウェブサイトやアプリを作るとき、ほぼ必ず何かを埋め込みます。

  • アクセス解析のタグ
  • 広告の計測タグ
  • SNSのシェアボタンや埋め込み
  • タグマネージャー(上の3つをまとめて管理するもの)

これらは、閲覧している人の端末から、その会社以外のどこかへ情報を送ります。 それが「外部送信」です。

つまり、この意見募集で議論されているのは、僕らが要件定義の最後の30分で「解析入れときますね」と言って埋めている、あのタグの扱いなんです。

自分の仕事が制度の議論に載っていることに、このとき初めて気づきました。技術記事は毎日読んでいるのに、自分の手が触っている領域のルールがどこで決まっているかは、一度も見に行ったことがなかった。


ややこしいのは、責任の所在と知識の所在がズレていること

責任と知識が、ずれている

ここからが、この記事でいちばん書きたかったことです。

規律がかかるのは、サイトを運営している事業者です。 受託して作った会社ではありません。ここは間違えてはいけないところです。

でも、実務ではこうなっています。

  • どのタグが、何を、どこへ送っているかをいちばん知っているのは、埋めた僕ら
  • 説明する責任を負うのは、運営している発注元

責任の所在と、知識の所在がズレている。

このズレは、うちも何度か経験しています。納品して半年後に「このサイト、どこに何を送ってるんですか」と聞かれて、当時の担当が調べ直す、みたいなことが起きる。悪意があるわけではなくて、タグは要件定義書の主役ではないので、記録が薄いんです。

そして、タグは運用が始まってからも増えます。マーケティング担当が広告を出すたびに1個増える。誰かが「計測したい」と言うたびに1個増える。作った時点の一覧は、半年で古くなります。

この構造がある以上、「うちは受託だから関係ない」とは言いにくいなと思いました。法的な責任の話ではなく、知っている側が黙っていていいのかという話として。


「考え方(案)」という別添が付く意味

もう1つ、資料の形で注目したのが、別添が「考え方(案)」という名前になっていることです。

条文だけでは、実装に落ちません。「適正に取り扱うこと」と書かれても、タグマネージャーの設定画面の前に座った人は何をすればいいか分からない。

「望ましい対応等(考え方)」という形式の資料が付くと、発注する側と受託する側が、同じ資料を見て話せるようになります。

これ、最近いくつかの領域で同じことが起きているなと思っていて、以前にも書いたことがあります。国が仕様や契約のひな形、あるいは方針を先に文書にすると、それが発注者と受託者の共通言語になる。どちらかが「一般的にはこうです」と主張し合う会話が減ります。

うちのような小さい受託会社にとっては、これはむしろありがたい変化です。説得のコストが下がるので。「うちの経験上こうしたほうがいい」より、「この資料にこう書いてあります」のほうが、圧倒的に速い。


明日からできること3つ

まず、3つ

制度が決まるのを待つ必要はなくて、いま時点でやれることがあります。うちが9月に着手したのは3つです。

① 埋めているタグを一覧化する

自社サイトでも、保守で預かっているサイトでもいいので、いま何が入っているかを1枚にする。ブラウザの開発者ツールで通信先を見れば、だいたい分かります。うちの場合、自社サイトで想定していなかったものが1つ出てきました。過去のキャンペーンで入れて、外し忘れていたやつです。

② 契約書に「タグの追加は誰が判断するか」が書いてあるか読み直す

これ、たいてい書いてありません。うちも書いていませんでした。運用フェーズでタグを足すとき、誰が承認するのか。発注元のマーケ担当の一言で入るのか、こちらが確認するのか。書いていないと、事故が起きたときにどちらも責任を持っていない状態になります。

③ 要件定義に「解析ツールを入れますか」を1問足す

たった1問です。でもこの1問があると、そのプロジェクトで外部送信が発生するかどうかが、最初の打ち合わせの議事録に残る。後から掘り返す作業がなくなります。

3つとも、費用はゼロです。かかるのは各1時間くらいでした。

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意見を出す、という選択肢が無料で置いてある

最後に、この記事を書こうと思った本当の理由を書きます。

パブリックコメントは、誰でも無料で出せます。

意見提出用紙が公開されていて、フォーマットに沿って書いて出すだけです。法人でも個人でも出せる。資格も推薦も要りません。

そして、17人の会社の現場の話は、制度をつくる側にはたぶん届いていません。

大きい会社には法務部があって、業界団体があって、意見を出す経路が整っています。うちみたいな規模の受託会社が「実際にタグを埋めているのはこちらで、でも一覧を持っているのはこちらだけで、契約書には何も書いていない」という状況を伝える経路は、標準では存在しない。

その経路が、9月18日まで無料で開いています。

出すかどうかは、正直まだ社内で相談中です。うちの現場の話が制度の役に立つかどうかは分からないし、出したら通るというものでもない。ただ、「関係ない」と思って読みもしないのと、読んだうえで出さないと決めるのとは、まったく別のことだと思いました。

少なくとも僕は、これからは自分の仕事が載っている意見募集は読むことにします。

締切は9月18日(金)必着です。この記事を読んで「うちも埋めてるな」と思った方は、原典のリンクだけでも開いてみてください。


沼田海斗(ぬまた・かいと)
株式会社K.Platinum代表。受託開発の現場で、要件定義から運用までの「誰が何を決めるか」を整えることを大切にしている。


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出典
総務省『「利用者情報ワーキンググループ第2次報告書(案)(利用者情報に係る外部送信規律の在り方に係る検討について)」についての意見募集』(報道発表 2026年8月19日)
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban18_01000293.html
別紙1 報告書案 https://www.soumu.go.jp/main_content/001087524.pdf
別紙2 意見募集要領 https://www.soumu.go.jp/main_content/001087522.pdf
意見提出用紙 https://www.soumu.go.jp/main_content/001087525.pdf
ワーキンググループ配布資料 https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/ICT_services/index.html
所管:総務省 総合通信基盤局 電気通信事業部 利用者環境課

註記
本文中の意見募集期間(2026年8月20日〜9月18日必着)、別紙1の報告書案に「ウェブサイト等における利用者情報の外部送信に係る法令上の事項及び望ましい対応等(考え方)(案)」が別添として含まれること、ワーキンググループの検討経緯、意見募集の結果を踏まえて第2次報告書を決定する予定であること、e-Govのパブリック・コメント欄にも掲載されていることは、いずれも上記の報道発表に記載されている内容です。「責任の所在と知識の所在がズレている」「考え方(案)という別添が発注者と受託者の共通言語になる」といった読み解きは筆者の解釈であり、総務省が示した見解ではありません。 本記事は制度の内容を要約・紹介するものであって、個別のウェブサイトやアプリに対する法令の適用可否を判断するものではありません。外部送信規律の適用範囲や自社サイトの対応の要否については、必ず原典と、弁護士等の専門家にご確認ください。 報告書案の本文(別紙1PDF)の逐条的な内容には本記事では踏み込んでおらず、引用は報道発表ページ本体に記載された範囲にとどめています。ワーキンググループの構成員の氏名・所属については、取得したページの文字コードの都合で確実な確認ができなかったため、本記事には記載していません。自社に関する記述は既に公開している範囲(17人・3期目)にとどめ、顧客名・案件名・社員個人を特定できる情報は含んでいません。

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