株式会社K.Platinum 清水洋太
「それは私の担当ではないので」。
このセリフを言った経験、あるいは言われて仕事が止まった経験は、おそらく一度や二度ではないと思います。弊社ではこのやりとりが、ほとんど発生しません。行儀よく我慢しているからではなく、工程と工程のあいだに担当の壁がそもそも無いからです。
求人票の職種欄には「アプリ開発エンジニア」と書いてあります。実際、入社して最初に触るのはコードですし、日々の中心にあるのも開発です。ただ、入ってしばらくすると、たいていの人が同じことを言います。「思っていたより、コードを書く前と後の話に関わるんですね」。
弊社は社員十数名の会社です。この規模でITコンサルティングを一気通貫でやっていると、工程を分断する余裕がありません。結果として、エンジニアが自然と開発の外側へ足を伸ばすことになります。この記事では、その「外側」が具体的にどの6領域なのか、越境がキャリアに何を残すのか、そして「何でも屋」にならないための線引きまでを書きます。「開発だけをやりたい」のか「開発を軸に広げたい」のか、応募を考えるときの判断材料になれば嬉しいです。
「担当外です」と言う必要が、そもそもない
世の中のIT支援は、ざっくり二つに分かれています。業務コンサルは戦略や業務の提案までを担当し、システム会社は決まった要件を開発する。あいだにある「じゃあ、それをどう作るのか」「作ったあと、現場は本当に回るのか」は、どちらの担当でもないまま宙に浮きがちです。
弊社が引き受けているのは、まさにその宙に浮く部分を含めた全部です。業務整理から入り、業務改善を設計し、システム化し、必要ならAIの導入まで持っていく。提案活動からリリース、その後の運用まで、社内で一続きに扱います。
一続きにしている以上、社内に工程の切れ目はありません。要件定義の資料を書いた人と、その画面を実装する人と、お客様に説明する人が、同じ小さなチームの中にいます。だから「それは自分の担当ではないので」という言葉が、そもそも必要になりません。言わなくていいのではなく、言う場面が発生しない、という感覚に近いです。
たとえば、実装中に「この項目、そもそも現場では使われていないのでは」と気づいたとします。壁のある体制なら、それは仕様を出した側に差し戻して終わりです。弊社では、気づいた人がそのまま業務の整理に戻って確認し、必要なら仕様ごと直します。差し戻しの往復が消えるぶん、遠回りに見えてこちらのほうが早く着地します。
これは十数名という規模だからこそ成立している面もあります。人数が増えれば役割は必ず細分化されますし、それ自体は悪いことではありません。ただ今の弊社は、一人が見渡せる範囲が広い。この時期にしか経験できない働き方だと思っています。
エンジニアが足を伸ばす"開発の外側" 6つの領域
抽象的な話だけだとイメージが湧かないと思うので、実際に関わっている領域を6つ、順に並べてみます。
提案の場に同席する。 提案支援や提案書・RFPの作成は、弊社のコンサルティングメニューの入口です。ここに開発を分かっている人間が入ると、実現できることとできないことの線が最初から引けます。持ち帰って「やっぱり無理でした」と言わずに済む。
お客様の業務を見に行く。 新しいシステムを入れる前に、まず今の業務がどう流れているかを整理します。ここで「作らない」という結論が出ることもあります。エンジニアがこの場にいると、どこを自動化すれば効くかの当たりが早いです。
開発プロセスそのものを整える。 弊社は生成AIを、下書き作成・コード生成・レビューという三段構えで日常業務に組み込んでいます。この手のワークフローは誰かが用意してくれるものではなく、使いながら現場で作っていくものです。
自社プロダクトに関わる。 結婚式場などで使われている写真投影サービスや、学習研修ポータルなど、自社で企画から運用まで持っているプロダクトがあります。受託とは違う筋肉が要る場所です。

育てる側に回る。 弊社はプログラミングスクールを3つ運営し、高専のプログラミングコンテストにも協賛しています。教材づくりや講師として関わる人もいます。
会社そのものの発信に関わる。 ブログやSNS、ポートフォリオ制作。この記事もその一部です。
全員が全部をやるわけではありません。ただ、やってみたいと言ったときに「それは別の部署の仕事だから」と止められることは、まずありません。
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越境がエンジニアのキャリアに残す4つのもの
正直なところ、開発だけに集中したい人にとっては、これは面倒に見えるかもしれません。それでも私たちがこの形を続けているのは、越境がエンジニアのキャリアにはっきり効くからです。
一つは、「作れる人」から「決められる人」になれること。 技術選定の理由を、性能や好みだけでなく、お客様の業務・予算・運用体制の言葉で説明できるようになります。これは要件が決まった状態から作り始める仕事だけを続けていると、なかなか身につきません。
もう一つは、課題の上流から入れること。 「このシステムを作ってください」ではなく「この状況をどうにかしたい」という段階から相談を受ける経験は、そのまま市場価値になります。設立から2年で20件を超える開発プロジェクトを経験してきましたが、そのほとんどは要件が固まりきる前の段階、つまり「そもそも何を作るべきか」を一緒に決めるところから始まりました。
三つめは、言葉にする力がつくこと。 お客様に説明する、提案書に落とす、社内の勉強会で共有する。技術を技術以外の人に伝える機会が多いので、自然と「なぜそうしたのか」を短く言えるようになります。転職活動でも、その先のどんな現場でも効いてくる力だと思っています。
そして、自分の仕事の効き目が見えること。 提案から運用まで一続きで関わると、自分が書いたコードが現場の何を変えたのかを最後まで見届けられます。これは意外と、日々のモチベーションに効きます。
それでも「何でも屋」にはしない ── 越境を支える"余白"の話
ここまで読んで「便利屋にされるのでは」と不安になった方もいるかもしれません。そこは意識して線を引いています。
軸はあくまで開発です。越境は手を挙げた人から始まるもので、割り振られるものではありません。興味のない領域に無理に引っ張ることはしていません。
そして、広げるためには余白が要ります。弊社はコアタイムなしのフルフレックスで、原則リモートワーク。完全週休2日制で年間休日は123日、残業もほとんどありません。副業も応相談で認めています。時間と体力に余裕があるから、目の前のタスク以外にも手が伸ばせる、という順番です。
学ぶ側の支えとしては、入社時研修から業務研修、ビジネススキル研修までを整備し、資格取得の支援もしています。オンラインの勉強会やLT会も定期的に開いています。「越境してこい」と放り出すのではなく、OJTで隣に人がいる状態を保つようにしています。
「これ、やってみたいです」と言える人へ
弊社の求人票に書いてある職種名は「アプリ開発エンジニア」です。でも実際にお渡ししているのは、開発を軸にしながら、その前後に自分で足を伸ばせる場所だと思っています。
十数名の会社なので、一人が見える範囲がとにかく広い。その代わり、待っていれば仕事が降ってくるわけでもありません。「これ、やってみたいです」と言える人にとっては、たぶん相当おもしろい環境です。
選考はオンラインで完結し、面接は2回。カジュアル面談も歓迎しています。まずは「実際どこまで関われるんですか?」を聞きに来ていただくところからで大丈夫です。お会いできるのを楽しみにしています。
清水洋太(しみず・ようた)
株式会社K.Platinum所属。エンジニアが力を発揮できる環境づくりを大切にしている。
K.Platinumでは一緒に働くエンジニアを募集しています。「実力で正当に評価される環境」に興味がある方は、ぜひ採用ページをご覧ください。

