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2026年10月12日

コアタイムのない会社は、一日のどこで揃うのか ── 全員が集まるのは1日30分、フルリモート企業のある平日

[アイキャッチ画像挿入箇所: 別々の場所で働く人たちの線が中央で一本に合流していく抽象イラスト]

株式会社K.Platinum 清水洋太


「フルリモートで、コアタイムもありません」

面接でこうお伝えすると、反応がきれいに二つに分かれます。うれしそうな顔をされる方と、少しだけ不安そうな顔をされる方です。後者の不安を聞いてみると、たいてい同じ答えが返ってきます。「誰がいつ働いているか分からない状態で、仕事は回るんですか」。

もっともな疑問だと思います。自由な働き方は、設計を間違えると「各自バラバラ」とほとんど同じ意味になってしまうからです。

先に結論だけ書いておきます。弊社が全員で顔を合わせる時間は、一日およそ30分だけです。残りの7時間半は、始業時刻も作業の順番も各自に任せています。それでも仕事が前に進むのは、時間を揃える代わりに揃えているものが二つあるからです。

そこで今回は制度の説明ではなく、弊社のある平日を朝から時間順に追ってみます。どこがバラバラで、どこを揃えているのか。入社後の一日を思い浮かべる材料になればうれしいです。

9時30分ごろ ── 始業のばらつきから、一日が始まる

弊社の標準勤務時間は9時30分から18時30分(実働8時間)ですが、フルフレックスでコアタイムはありません。朝8時に始めて夕方には切り上げる人もいれば、家の用事を済ませてから10時過ぎに席につく人もいます。原則リモートなので、一日の始まりを知らせるのは「出社」ではなく、各自が書き込む一行です。

朝いちばんにやることは決まっています。今日取りかかることを、チャットとタスク管理に書くこと。ここで効いてくるのは、書き方のちょっとした違いです。「昨日の続きをやります」ではなく、「どこまで終わって、いま何で止まっているか」を書く。前者は本人にしか意味が分かりませんが、後者は読んだ人がその場で助けに入れます。

フルリモートで働いていると、困っていることは黙っていれば誰にも見えません。裏を返せば、書きさえすれば距離は関係なくなります。朝の数行は上司への報告のためではなく、「今日、誰がどこで手を必要としているか」を全員が把握するために書いています。

入社したばかりの方にも、この一行だけは最初からお願いしています。うまく書けなくても構いません。詰まっていることを詰まっていると書ける人は、リモートの環境でいちばん伸びます。逆に、全部自分で抱えてから相談する癖のある方は、最初の一週間だけ少し窮屈に感じるかもしれません。それでも二週間もすれば、聞いたほうが早いという感覚に変わっていきます。

正午前の30分 ── 一日で唯一、全員の時間を使う

非同期が基本とはいえ、文字だけで進めるのがいつも効率的とは限りません。とくに決めごとは、往復が増えるほど遅くなります。そこで弊社は「決める話」だけを、短い同期の時間に集めています。

全員が集まるのは一日に30分ほど。議題は事前に書き出しておき、その場では判断だけをします。共有で終わる話は会議に持ち込まず、書いて済ませる。逆に、仕様の解釈が割れている、優先順位を誰かが決めないと先に進まない、といった話はその場で決め切ります。会議が短いのは、会議を減らしたからではなく、会議にしかできないことを選んだからです。

用事があって参加できない日もあります。その場合も、決まったことと決まらなかったことをテキストに残すので、あとから読めば追いつけます。「その場にいた人しか知らない決定」を作らない。コアタイムのない会社で働くうえで、これがいちばん大事にしているルールかもしれません。

[写真挿入箇所: 非同期のやりとりと短い同期ミーティングを対比した図版]

午後 ── 提案書を書いていた人が、そのまま設計に入る

弊社のメイン事業はITコンサルティングです。お客様のビジネス課題に対して提案の段階から入り、業務整理・業務改善からシステム化、その先のAI活用まで一気通貫でご支援しています。

そのため午後の予定は、日によってずいぶん表情が変わります。お客様との打ち合わせで「そもそも何を解決したいのか」を整理していた人が、その日の夕方には画面の構成を考えている、ということが普通に起こります。提案する人と作る人が分かれていないので、あいだに伝言のレイヤーがありません。

この進め方は、正直に言えば楽ではありません。業務の話とシステムの話を同じ人が行き来するので、覚えることは確実に多くなります。ただ、「なぜこの仕様になったのか」を自分が知っている状態で手を動かせるのは、エンジニアとしてかなり気持ちのいい時間です。仕様の背景を知らないまま作ったものは、後から必ず作り直しになる。それを何度も経験してきたからこそ、この形にしています。

開発では生成AIも日常的に使っています。設計の下書き、コードの生成、レビューの一次チェックといった手数のかかる部分を任せる分、人は判断のほうに時間を寄せる。道具が変わっても、最後に「これでいきましょう」と言うのは人だという前提は変えていません。

未経験からの入社でも、この流れの中に最初から入ってもらいます。いきなり全部を任せることはありませんが、「どの会話から、この機能が生まれたのか」が見えるところに立ってもらう。それが結局、いちばん効く研修だと考えています。

ここまで読んで「実際のところ、一日どんな感じなんですか」ともう少し聞いてみたくなった方は、カジュアル面談からでも大丈夫です。選考ではないので、履歴書も志望動機の準備も要りません。

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15時ごろ ── 予定が崩れた日の、立て直し方

一日の計画は、けっこうな頻度で崩れます。お客様から急ぎの相談が入る、調べてみたら想定よりずっと深い問題だった、動くはずの環境が動かない。フルリモートで厄介なのは、この「崩れた」という事実が、本人の画面の中だけで起きるところです。

そこで午後のどこかで、朝に書いた一行を更新してもらっています。「これは今日中に終わりません」と書くのは気が重い作業ですが、15時に出てきた遅れは調整できて、19時に判明した遅れは調整できません。だから、遅れを早く出した人が責められる場面を作らない。ここは意識して守っています。

そして実際のところ、崩れた予定を一人で立て直せることはあまりなく、たいてい誰かが手を貸します。十数名という規模は、そのやりとりが全員の視界に入る大きさでもあります。誰が何に困っているかが見えるから、手を貸す側も「ちょうどそこ、知ってます」と言いやすい。リモートでも会話が生まれるのは、制度ではなくこの見え方のおかげだと思っています。

18時30分すぎ ── 残業がほとんどない、その内訳

弊社は残業がほとんどありません。完全週休2日制で、年間休日は123日です。ただこれは「仕事が少ないから」ではありません。見積もりの段階で無理をしない、抱え込む前に朝の一行で気づける、決めごとを溜めない。その積み重ねが、終業時刻のほうに現れているだけです。

空いた時間の使い道は人それぞれです。オンラインの勉強会やLT会に顔を出す人もいれば、資格の勉強に充てる人、副業に時間を使う人もいます(副業は応相談で可としています)。通勤がないぶん、その時間をまるごと自分の選択に回せるのは、フルリモートの分かりやすい利点だと思います。

就業環境についても、PCとモニターは会社から貸与・支給しています。服装は自由、健康診断は年1回。派手な制度ではありませんが、「働く場所を自分で決められる」という前提を、実際に成立させるための最低限は揃えているつもりです。

まとめ ── 揃えているのは、時間ではなく前提

一日を追ってみると、弊社が揃えているのは働く時間ではないことが分かります。揃えているのは、「今どうなっているか」を誰でも読める状態にしておくことと、「誰が決めるか」をはっきりさせておくこと。この二つだけです。

この二つさえ揃っていれば、始業が8時でも10時でも、住んでいる場所が東京でなくても、仕事はきちんと前に進みます。自由な働き方は、仕組みの上にしか成り立ちません。裏返せば、仕組みのほうを引き受ける気があるなら、働き方はかなり自由にできるということでもあります。

K.Platinumはまだ十数名の会社です。だからこそ、この仕組み自体を「もっとこうしたほうがいい」と言って一緒に作り替えていける段階にあります。自分の一日を、自分で設計したい。そう思える方には、面白い場所だと思います。


清水洋太(しみず・ようた)
株式会社K.Platinum所属。エンジニアが力を発揮できる環境づくりを大切にしている。


K.Platinumでは一緒に働くエンジニアを募集しています。「実力で正当に評価される環境」に興味がある方は、ぜひ採用ページをご覧ください。

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