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2026年10月22日

高専57件が国のAIリテラシー教育認定を取得 — 履歴書の「プログラム修了」を、採用する側は読めているか

スーツ姿の男性が、金色の表彰バッジの隣にあるノートパソコンを驚いた様子で見つめている。その上部には57件という日本語の数字が書かれている。.

高専57件が「AIリテラシー教育」の国の認定を受けている — その認定を、採用する側は読めているか

こんにちは。K.Platinum代表の沼田です。

うちは17人の会社で、8人が高専卒です。僕自身も沖縄高専の出身なので、高専生の採用については、他社よりは少し詳しいつもりでいました。

その「つもり」が、少し崩れる資料を読みました。文部科学省が持っている『数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度』という制度です。内閣府・文部科学省・経済産業省が共同で運営している認定制度で、2026年8月28日に令和8年度の結果が発表されています。

※本記事は2026年9月時点の情報にもとづいています。件数・校数の対応関係を含む詳細は、必ず文部科学省の公式ページでご確認ください。


履歴書の「AI教育プログラム修了」は、国の認定制度だった

最近、学生の履歴書やエントリーシートに、聞き慣れない一文が増えてきました。「数理・データサイエンス・AI教育プログラム(リテラシーレベル)修了」というような書き方です。

僕は最初、これを個々の大学が独自に作っている講座名だと思っていました。調べてみると、そうではありませんでした。国が3つの府省で共同運営している認定制度で、大学・高専が実施する教育プログラムを、国の基準に沿っているかどうかで認定する仕組みです。

つまり、学生が書いている「修了」は、その学校が独自に名付けた講座ではなく、国のお墨付きがついたプログラムだった、ということです。


国の認定は、2段階でできている

![2段階の認定][01_ninshiki.png]

この制度、認定は1段階ではありません。「リテラシーレベル」と「応用基礎レベル」の2段階に分かれています。さらに「リテラシーレベルプラス」という上位区分もありますが、これは2026年度から新規の選定を行っていないようです。

令和8年度は、新規のリテラシーレベルが47件(新規46・継続1)、応用基礎レベルが40件、応用基礎プラスが2件(富山大学工学部・熊本大学情報融合学環)選ばれています。

そして、2026年8月時点の総認定数を見ると、リテラシーレベルが655件。その内訳は、国立大学76・公立大学57・私立大学394・短期大学71・そして高専57件でした。


655件のうち、高専57件を読む

655件という大きな数字の中に、高専57件が入っています。国立高専は全国に51校ですから、単純に件数だけを見れば、高専でAI教育の認定を受けているプログラムが、国立高専51校に対して57件という、決して小さくない規模で存在していることになります。

ここで、僕は自分の理解の甘さに気づきました。「高専は現場の技術に強い」というイメージだけで見ていて、AI教育の認定を国から受けている学校がこれだけあることを、正直、知らずにいました。

ただし、件数と校数の対応関係は、この資料だけでは断定できません。1つの高専が複数の学科でプログラムを持っている場合もあり得るからです。「高専57件=高専57校」と単純化してはいけない、というのは、自分に向けての注意でもあります。


リテラシーレベルと応用基礎レベルの違いを、採用側の言葉に直す

「リテラシーレベル」と「応用基礎レベル」、名前だけだとどちらが上か分かりにくいので、採用する側の言葉に直してみます。

リテラシーレベルは、すべての学生が身につけるべき基礎的な内容という位置づけです。応用基礎レベルは、その上に乗る、より実践的な内容だと理解しています。

面接で「AI教育プログラムを修了しました」と聞いたとき、それがリテラシーレベルなのか応用基礎レベルなのかを区別せずに聞いていると、応用基礎まで修めた学生を、基礎レベルの学生と同じ扱いで評価してしまうかもしれません。これは、履歴書の一文の重みを、こちらが正しく読めていない、ということです。


面接で「AI使えますか」の質問をやめた理由

読む・区別する・聞き方を変える

うちは以前、面接で「AIは使えますか」という質問をしていました。今は、この質問をやめています。

理由は単純です。「使えます」と答える人がほぼ全員になってしまい、質問として機能しなくなったからです。以前、別の記事でも書きましたが、全員が「AI使えます」と書いてくる時代に、この一問で人を見分けることはできません。

今回の認定制度を知って、質問の代わりにできることが1つ増えました。応募者が出身校の名前を教えてくれたら、その学校がどのレベルの認定を持っているかは、公開情報として確認できます。これは、応募者に自己申告させるのではなく、公開されている情報を、こちらが先に読んでおくという話です。

もちろん、認定の有無だけで、その学生個人のスキルを判断することはできません。認定は学校のプログラムに対するものであり、個人の到達度は別に確認する必要があります。ただ、少なくとも「この学校は、どのレベルまでのAI教育を、国の基準で整備しているか」を知った上で面接に入るのと、知らずに入るのとでは、聞くべき質問が変わってくると思っています。

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学校は認定を取りに行っている。企業は公開情報を「読みに行って」いるか

655件という数字を見て、思ったことがあります。学校側は、国の基準に沿ったプログラムを整備し、認定という形でそれを外に示しています。これは、決して簡単な作業ではないはずです。

一方、うちのような採用する側の会社は、その公開情報をどれだけ「取りに行って」いるでしょうか。履歴書に書かれた一文を鵜呑みにするのではなく、その一文の背景にある制度を読みに行く。これは、専任の採用担当が1人もいないうちの体制でも、認定校一覧を1回開くだけでできることです。

学校が発信している情報を、こちらが受け取る側の努力を怠っていた。今回、この制度を知って、まず自分たちがやるべきことは、面接の質問を増やすことではなく、公開されている情報を先に読むことだと気づきました。

うちは沖縄高専出身の社員が8人いますが、彼らの出身学科がこの認定制度でどう位置づけられているかを、恥ずかしながら今回初めて確認しました。すでに社内にいる社員の出身校について、あとから調べる余裕すらなかったのが正直なところです。これから採用する側として、あとから調べるのではなく、先に調べておく。ただそれだけの違いですが、聞く順番が変われば、面接で聞く質問の質も変わるはずだと思っています。


出典
文部科学省『数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度』
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/suuri_datascience_ai/00001.htm
認定・選定校一覧
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/suuri_datascience_ai/mext_00005.html

註記
本記事中の認定件数(令和8年度新規リテラシー47件・応用基礎40件・応用基礎プラス2件、2026年8月時点の総認定数リテラシー655件〈国立大76・公立大57・私立大394・短大71・高専57〉、認定校数リテラシー653校・応用基礎288校)は、文部科学省の公表情報にもとづく報道(ReseEd・2026年9月8日)を参照したものであり、確度は中です。件数と校数の対応関係、個別校の認定内容については、必ず文部科学省の公式ページで原典をご確認ください。「高専57件を件数のまま読み、校数と混同しない」「認定の有無だけで個人のスキルを判断できない」といった記述は本記事の前提であり、注意点として明記しています。「学校は認定を取りに行っている、企業は何を取りに行っているか」といった読み解きは筆者の解釈であり、文部科学省が示した見解ではありません。自社に関する記述は既に公開している範囲(17人・8人が高専出身・沖縄高専出身の代表)にとどめています。


沼田海斗
株式会社K.Platinum代表。沖縄高専出身。17人の会社で、高専出身のエンジニアとともにサービスづくりに取り組んでいる。


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