こんにちは。K.Platinum代表の沼田です。
採用の話をしていると、よく聞くひと言があります。「なかなか、いい人が来なくて」。僕自身も、そう思ったことが一度もないと言えば嘘になります。
でも先日、マイナビが2026年9月28日に公開した「中途採用実態調査2026年版」を読んで、この言葉の見え方が少し変わりました。中途採用の課題として挙がった項目の1位は「求職者の質が低い」(34.4%)、2位は「早期離職」(33.0%)、3位は「応募者数の確保」(31.1%)。上位3つが、ほぼ横並びなのです。
この3つは、別々の悩みなのでしょうか。それとも、同じ根っこから出ているのでしょうか。今日は、この数字を手がかりに、17人の会社として「質を嘆く前にできること」を考えてみます。
※本記事は2026年10月時点の情報にもとづいています。調査は2026年7月10日〜15日に、中途採用を担当する企業の担当者1,600件から回答を得たものです。大企業・中堅企業を含む数字で、僕たちのような少人数の会社にそのまま当てはまるとは限りません。
中途採用の課題は「質」「早期離職」「応募者数」の3つが横並びだった

まず、調査の数字を整理します。
中途採用の課題として挙がったのは、次の3つでした。「求職者の質が低い」が34.4%、「早期離職」が33.0%、「応募者数の確保」が31.1%です。
ほかにも気になる数字がありました。「正社員が不足している」と答えた企業は43.5%。管理職の採用を実施した企業は54.8%で、2021年の38.1%から大きく増えています。今後の中途採用について「積極的」と答えた企業は54.6%。そして、採用した人材の質に「満足している」企業は51.8%で、過去最高だそうです。
つまり、半数以上の企業が採用に前向きで、採れた人の質に満足している企業も過去最高の水準にある。一方で、「質が低い」と感じている企業も3分の1あり、「応募が集まらない」と感じている企業も3分の1ある。同じ市場の中で、うまくいっている会社と、そうでない会社が分かれつつある、という見え方もできそうです。
「質が低い」と「応募者が集まらない」は、求人情報の伝わり方という同じ問題かもしれない
僕が気になったのは、1位の「質が低い」と3位の「応募者が集まらない」が、実は同じ問題の表と裏ではないか、ということです。
たとえば、こう考えてみます。求人票には「幅広い業務」「成長できる環境」「やる気のある方歓迎」と書いてある。これだと、読む人は、自分に合う仕事かどうかが分かりません。そこで、とりあえず応募する人と、「自分には関係なさそう」と見送る人に分かれます。応募の数は減り、応募してきた人の中には、仕事の中身を想像できていない人も混ざる。結果として、「集まらない」と「質が低い」が同時に起きる。
もちろん、これは僕の仮説です。調査が、この因果関係を示しているわけではありません。それでも、「質を嘆く」ときに、自分たちが応募前に何を渡していたかを振り返る価値はあると思います。応募者の質は、応募者だけでなく、「応募者に渡した情報の質」にも左右されるのではないか、という見方です。
早期離職33.0%も、入口の説明と地続きかもしれない
2位の「早期離職」も、似た構造だと考えています。
入社してから、「聞いていた仕事と違った」と感じて、辞めてしまう。これは、入社前に渡された情報と、実際の仕事とのズレから生まれることが多いです。これも、先ほどと同じく調査が因果関係を示しているわけではありませんが、入口でどれだけ具体的に説明できていたかは、早期離職にも影響するのではないかと思います。
期待が先行して、現実との差が出てしまう。そのズレを小さくするには、応募する前の段階で、良いことも大変なことも含めて、先に見せておくのが近道ではないでしょうか。
17人の会社が、応募前に渡している3つの情報(案件・判断基準・代表の言葉)

では、僕たちは何を渡しているのか。いま意識しているのは、次の3つです。
① 案件の中身を、守秘義務の範囲で具体的に書く
ITコンサルの仕事は、外から見えにくい仕事です。だからこそ、「どんな業界の、どんな課題に対して、どういう関わり方をしているのか」を、社名を出さずに具体的に書くようにしています。「ITコンサルティング全般」と書くより、「現場の業務フローを整理して、どこにAIを入れるかを一緒に決める」と書いたほうが、仕事の輪郭が見えます。
② 判断の基準を、見せる
僕たちの会社では、案件を進めるときに「何を優先して、何を捨てるか」を判断する場面が頻繁にあります。その判断の基準や、考え方の癖を、ブログや面談で先に見せておく。入社後に「この会社は、こういう考え方で動くのか」と驚くことは、きっと減るはずです。
③ 面談では、代表の僕が直接話す
小さな会社の強みのひとつは、代表と直接話せることです。応募する前の面談の段階で、僕が会社の方向性や、うまくいっていないことも含めて、率直に話す。完璧な会社に見せるのではなく、いまの等身大を伝えるほうが、結果的に合う人に来てもらえるはずです。
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「質が低い」と言う前に、応募者に何を渡せていたかを問い直す
ここまで書いてきたことは、「企業が悪い」と言いたいわけではありません。採用担当の方は、限られた時間と人手の中で、本当にがんばっていると思います。
ただ、「質が低い」という言葉を使う前に、一度だけ立ち止まって、次の問いを自分に投げてみたいのです。「その人は、うちの仕事の中身を、応募前にどれくらい想像できていたのだろうか」と。もし、想像できる材料が少なかったのなら、それは応募者の質というより、僕たちが渡せていなかった情報の問題かもしれません。
もちろん、どれだけ情報を出しても、合わない人は合いません。それは、悪いことではなく、お互いのためだと思います。大切なのは、「合わない人を、応募の前に気づいてもらえること」と、「合う人に、応募したいと思ってもらえること」の両方を、情報の出し方で作っていくことだと考えています。
数字を読むときに、気をつけたいこと
最後に、この調査の数字を読むときの注意点です。
今回の調査は、1,600件の企業担当者の回答で、大企業・中堅企業も含まれています。僕たちのような17人の会社と、数千人規模の会社では、採用の悩みの種類も、動かせる施策も違います。また、この調査は「企業側がどう感じているか」を聞いたもので、実際に応募者の質が低いのかどうかを、客観的に測ったものではありません。
だから僕は、この数字を「うちも同じはずだ」とは読まず、「世の中の採用担当者は、いま、こういうところで悩んでいるのだな」と読むようにしています。そのうえで、自分たちが応募前に何を渡せているかを、見直すきっかけにしたいと思っています。
まとめ
中途採用の課題の上位3つは、「求職者の質が低い」34.4%、「早期離職」33.0%、「応募者数の確保」31.1%。ほぼ横並びでした。
この3つは、別々の悩みではなく、「応募前に、仕事の中身がどれだけ伝わっているか」という同じ入口でつながっているのかもしれない。これは、あくまで僕の仮説ですが、そう考えると、できることが少し見えてきます。案件の中身、判断の基準、そして代表の言葉。17人の会社でも、今日から始められることです。
質を嘆く前に、まず、渡せる情報を渡す。その積み重ねが、合う人との出会いを増やしていくのだと考えています。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
出典: マイナビ「中途採用実態調査2026年版」(2026年9月28日) https://career-research.mynavi.jp/reserch/20260928_115646/
沼田海斗(ぬまた・かいと)
株式会社K.Platinum代表。製造・金融業界でのキャリアを経て、K.Platinumを設立。エンジニアが実力で正当に評価される環境づくりに取り組んでいる。
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