株式会社K.Platinum 清水洋太
生成AIを使えば開発が速くなる——そう聞くことは増えましたが、「具体的にどれくらい速くなるのか」まで数字で答えられる会社は、まだそれほど多くありません。弊社では、お客様との要件整理から開発、コードレビューまでの一連の流れに生成AIを組み込んでおり、従来比で5倍から20倍という生産性の数字が実際に出ています。幅に開きがあるのは、案件の性質やチームの慣れによって効果の出方が違うからです。今日は、この数字がどのようにして生まれているのか、現場での具体的な使い方を通してお伝えしたいと思います。
3つの生成AIを、工程ごとに使い分ける
弊社の開発フローには、大きく分けて3つの生成AIが登場します。要件や仕様を整理する段階でChatGPT、実際にコードを書く段階でClaude Code、書き上がったコードを見直す段階でCopilotです。最初からこの組み合わせに決めていたわけではありません。
きっかけは、ある案件で感じたちょっとした違和感でした。お客様との打ち合わせで出た要望を議事録として清書するのに、思いのほか時間がかかっている。コードを書く手は動いているのに、レビュー待ちで作業が止まっている時間が長い。工程を分解してみると、それぞれの段階に「詰まりやすい場所」があることが見えてきました。
そこで、詰まりやすい場所にピンポイントで生成AIを当てはめていったところ、気づけば要件整理という入口から、レビューという出口まで、一気通貫で生成AIが関わる流れができあがっていました。狙って設計したというより、現場の試行錯誤の積み重ねで、自然とこの形にたどり着いたというのが正直なところです。導入した当初は、工程ごとに違うツールを使い分けることに戸惑うメンバーもいましたが、数週間もすると「このタイミングでこれを使う」という感覚が自然と身についていきました。
ここで大事にしているのは、1つの生成AIにすべてを任せようとしないことです。ChatGPTに設計まで書かせようとすると内容が中途半端になりますし、逆にClaude Codeにレビューの判断まで求めても、客観性という点では物足りません。工程ごとに、それぞれが得意なところだけを任せる。回り道に見えて、これがいちばん早い道でした。ツールを増やすたびに「本当に必要か」を問い直し、効果が薄いと分かればあっさりやめる、という判断もセットで行っています。
実際の現場では、こう回っている
実際の流れを、もう少し具体的に書いてみます。まず、お客様との打ち合わせで出てきた要望や課題を、ChatGPTを使って整理された仕様のたたき台にします。箇条書きのままだった要望が、抜け漏れをチェックする項目つきの文章になって返ってくるので、エンジニアは清書に時間を使わず、最初から設計の議論に集中できます。以前は打ち合わせの翌日にようやく議事録が回ってくることもありましたが、今はその場に近い感覚で仕様のたたき台を確認できるようになりました。
次に、その仕様をもとにClaude Codeでコードを組み立てていきます。ゼロから手探りで書くのではなく、仕様書を読み込ませたうえで実装を進めてもらう形です。ある若手のメンバーは「最初は半信半疑だったけれど、実装と一緒に単体テストのひな形まで出てくるので、書いてから確かめるのではなく、書く前に確かめる癖がついた」と話していました。任せきりにするのではなく、出てきたコードの意図を自分の言葉で説明できるかどうかを、常に確認するようにしています。
最後に、Copilotでコードレビューをもう一段挟みます。人がレビューする前に、命名の揺れや重複した処理、うっかりした見落としをAIに拾わせておく。そうすることで、人同士のレビューでは、設計の妥当性やお客様の業務要件との整合性など、AIには判断しづらい部分にじっくり時間を使えるようになりました。レビューにかかる往復の回数自体が、以前より目に見えて減っています。3つのAIを順番に通すこと自体は数分の作業ですが、その数分が、後工程での手戻りを大きく減らしてくれています。

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数字だけでは伝わらないこと
「従来比5〜20倍」という数字だけを聞くと、AIに仕事を奪われるような印象を持たれるかもしれません。ですが、現場で実際に起きているのはむしろ逆で、エンジニアが「考える」時間そのものは、ほとんど減っていません。減ったのは、清書や確認作業、単純な見落としを探す作業といった、経験がなくても本来できるはずの部分です。
浮いた時間は、お客様のビジネス課題そのものに向き合う時間に回っています。これは弊社が「業務整理→業務改善→システム化→AI導入」まで一気通貫で支援することを掲げているからこそ、意味のある変化だと考えています。手を動かす時間が減った分、なぜこの機能が必要なのか、この設計で本当に課題が解決するのかを考える時間が、以前よりはっきり増えました。ある案件では、浮いた時間を使って追加の業務ヒアリングを行い、当初の要望とは別の課題を見つけて改善提案につなげたこともあります。
入社したばかりのメンバーにとっても、この仕組みは助けになっています。経験が浅くても、ChatGPTが整理した仕様とCopilotの指摘を手がかりに、自分の実装のどこが甘いのかを早い段階で把握できるからです。「先輩に聞く前に、まず自分で気づける範囲が広がった」という声は、社内でもよく耳にします。教える側の負担が減ったぶん、教える内容もより本質的なところに絞れるようになり、育成のスピードにも良い影響が出ています。数字としての生産性だけでなく、一人ひとりが成長する速度そのものが上がっている感覚があります。
完成形ではなく、更新され続ける仕組み
この三段階のワークフローも、完成形ではありません。案件によって向き不向きがありますし、生成AIの側もどんどん進化しています。半年前にはうまくいかなかった使い方が、今では普通にこなせるようになっている、ということも珍しくありません。社内では定期的に「今のやり方で詰まっているところはないか」を持ち寄る場を設けていて、そこで出てきた課題から、新しい使い方が生まれることもよくあります。
だからこそ弊社では、特定のツールの使い方をそのままマニュアル化するのではなく、「工程のどこに詰まりがあるか」を見つける視点そのものを大事にしています。ツールが入れ替わっても、この視点さえ持っていれば、自分たちの手で新しい組み合わせを作っていけるはずだからです。実際、この記事で紹介した組み合わせも、半年後には形を変えている可能性は十分にあります。変化を前提にしたやり方だからこそ、新しい技術が出てくるたびに、まず自分たちで試してみる文化が根づいています。
まとめ
生成AIをどう使うかは、もはや特別なテーマではなく、日々の仕事の当たり前の一部になりつつあります。弊社が大事にしているのは、AIに使われるのではなく、工程そのものを見つめ直しながら、自分たちの手で使いこなしていく姿勢です。こうした試行錯誤を面白いと感じていただけるなら、きっと弊社の仕事にも馴染んでいただけると思います。ツールの使い方だけでなく、仕事の進め方そのものを一緒に作っていける方をお待ちしています。まずはカジュアルにお話をさせてください。AIをどう乗りこなすかを、他人事ではなく自分の手で考え続けたいという方には、きっと居心地の良い環境だと思います。
清水洋太(しみず・ようた)
株式会社K.Platinum所属。エンジニアが力を発揮できる環境づくりを大切にしている。
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