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2026年10月25日

内定式の前に、理系の8割は決まっている — 2027卒の内定率85.6%、理系男子89.3%vs文系男子80.8%。17人の会社が内定式で渡すもの

アニメ風のビジネスマンが机に座り、ノートパソコンを見つめている。カレンダーには1日が丸で囲まれている。その上には80%はすでに決まっているという文字が書かれている。.

内定式の日、内定者はこれから会社を「選ぶ」のでしょうか。それとも、もう選び終えているのでしょうか。

こんにちは。K.Platinum代表の沼田です。

10月1日は、多くの会社で内定式が開かれる日です。うちは17人の会社なので、大企業のように大きな会場で式典をやるわけではありません。それでも毎年この時期になると、「内定を出した人に、この日、何を渡せるだろう」と考えます。

そんな時期に、マイナビキャリアリサーチLabが更新している「2027年卒 就職内定率(内々定率)の状況」を読みました。9月14日の更新で、8月末時点の数字が載っています。読んでみると、理系と文系で、内定の進み方にはっきり差がありました。今日はその数字と、17人の会社としてどう受け止めたかを書きます。

※本記事は2026年9月時点の情報にもとづいています。引用元はマイナビの「大学生キャリア意向調査」で、対象は大学生です。高専生や専門学校生のデータは含まれておらず、「高専も同じ」とは言えない点はご了承ください。また、10月1日より前の数字は、正確には「内々定率」にあたります。


8月末時点で、もう85.6%が内定を持っている

まず全体の数字です。2027年卒の就職内定率(内々定率を含む)は、8月末時点で85.6%でした。

月ごとの推移を並べると、こうなります。3月1日時点で46.0%、3月末で58.7%、4月末で70.9%、5月末で76.4%、6月末で81.2%、7月末で83.7%、そして8月末で85.6%です。

この数字を見て思ったのは、「内定式の日に、就活が始まる」わけではまったくない、ということでした。就活生の側から見ると、内定式は「決まった会社に集まる日」であって、選ぶ作業のほうはとっくに終わっています。4月末の時点で、すでに7割が内定を持っています。

なお、マイナビの注記にあるとおり、各月の回答者は同じ人ではありません。ですから「一人の学生が3月から8月にかけて何社もらったか」を追った数字ではなく、その月時点の学生全体の状況として見る必要があります。


理系男子89.3%、文系男子80.8%。約8.5ポイントの差

理系のほうが、早く決まる

今回いちばん気になったのは、属性別の数字です。

8月末時点の内定率は、理系男子が89.3%、理系女子が88.1%、文系女子が86.2%、文系男子が80.8%でした。理系男子と文系男子を比べると、約8.5ポイントの差です。理系は男女とも88%を超えていて、文系の男女より上にいます。

なぜ理系のほうが進みが早いのか、この調査からは理由までは分かりません。ここから先は僕の推測ですが、推薦や研究室経由の採用、職種別採用といった、早い段階で決まりやすい入口が理系には多いのかもしれません。ただ、これは断定できることではないので、あくまで「そうかもしれない」程度に受け取ってください。

はっきり言えるのは、エンジニアや技術職を採りたい会社にとって、理系の学生は「秋に慌てて動いても、すでに決まっている」割合が高い、ということです。

うちは、ITコンサルやAI・RAGの受託開発をやる会社です。採りたい人は理系の人が中心になります。つまり、10月1日を過ぎてから「来年の新卒、どうしよう」と考え始めても、遅いことが多いと思っています。


内定式に、17人の会社が出せる3つのもの

では、規模の小さい会社が内定式でできることは何でしょうか。大企業のように、豪華な式典や大量の内定者イベントは組めません。僕らが出せるのは、次のようなものだと思っています。

一つ目は、ロールモデルが実在すること。 うちは社員のうち8人が高専の卒業生で、僕自身も沖縄高専の出身です。「高専を出て、この会社で、こういう仕事をしている人がいる」ということを、顔の見える形で伝えられます。大企業の内定式では、内定者が先輩社員の顔を全員覚えることは難しいですが、17人なら全員と話せます。

二つ目は、入社後の最初の案件のイメージを、具体的に渡せること。 「どんな仕事をやるのか」が曖昧な内定は、不安の元になります。うちなら、AIやRAGを使った受託案件のうち、どんなものから関わってもらうのか、誰の隣で動くのか、といったことを、内定の段階で話せます。

三つ目は、内定者との連絡を、人数が少ない分だけ濃くできること。 内定者が一人か二人であれば、全員と1対1で話す時間が取れます。大規模な会社にはできない、小さな会社の強みだと思っています。

もちろん、これらは全部「やろうと思えばできる」ことで、やらなければ意味がありません。内定式の日を、形だけのイベントで終わらせるか、入社への安心を渡す日にするか。そこは会社側の姿勢次第です。

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内定辞退を防ぐのは、条件よりも「入社後の景色」

内定式で、何を渡すか

内定率85.6%という数字は、裏を返せば、多くの学生が「複数の内定を持っている、もしくは持ったうえで最終判断をしている」ことを意味します。内定を出したら終わり、ではなく、そこから入社までの間に会社を選び続けてもらう期間が始まります。

僕自身、24歳で起業してから、採用では何度も「選ばれる側」の立場を経験してきました。内定を出したのに辞退されることもあります。そのたびに感じるのは、辞退の理由は給与や条件だけではない、ということです。「この会社に入ったら、自分は何をやるのか」が見えないまま時間が過ぎていくのが、いちばん不安なのだと思います。

そのために、僕らがやりたいと思っていることを、3つだけ書いておきます。

  • 内定者に、配属の予定と、最初に関わる案件の種類を伝える
  • 内定から入社までの連絡の頻度を、あらかじめ決めておく
  • 内定者が現場の社員と話せる場を、内定式とは別に作る

どれも特別なことではありません。ただ、17人の会社だからこそ、一人ひとりに対して本気でやれる範囲だと思っています。


「もう決まっている」市場で、これから動く会社の現実的な選択肢

ここまでの数字を見ると、「今から新卒採用を考えても手遅れなのでは」と思われるかもしれません。僕はそうは思っていません。ただ、動き方は変える必要があると考えています。

まず、内定率が85.6%ということは、残りの約14%は、まだ内定を持っていない、もしくは持っていても納得していない学生ということになります。ここには、就活の軸が定まらなかった人、途中で志望を変えた人、まだ本気で会社を探している人が含まれているはずです。この層に、「早く決めた人が知らなかった会社」として出会ってもらえる余地は、まだあります。

もう一つは、すでに内定を持っている学生への情報発信です。内定を持っている学生も、入社の最終判断はまだ先という人が少なくありません。このタイミングで採用ブログを読んでもらい、「この会社も見てみたい」と思ってもらうこともあり得ます。うちがこの採用ブログを書き続けているのは、そういう出会いが、いつどこで起きるか分からないからです。

ただし、ここで一つ注意しています。「内定を持っている学生に、うちに来てください」と迫るのは、僕は違うと思っています。他社の内定を持っている人に対して、圧をかけるような動きは、その人の判断を歪めます。うちができるのは、正直に情報を出して、判断材料を増やすことまでです。

秋の採用は、早い者勝ちの競争に見えて、実際には「選ぶ側が、最後の1社を決める時間」でもあります。その時間に、誠実な情報を置いておけるかどうか。17人の会社にできるのは、結局そこだと思っています。


まとめ

  • 2027年卒の内定率は8月末時点で85.6%。就活のほとんどは、内定式の前に動いている
  • 理系男子89.3%、理系女子88.1%、文系女子86.2%、文系男子80.8%で、理系のほうが進みが早い(大学生調査)
  • 技術職を採りたい会社は、秋に動き出しても間に合わないことが多い
  • 小さな会社が内定式で出せるのは、ロールモデルの顔、最初の案件のイメージ、内定者との濃い連絡
  • 内定を出したあとの「入社までの時間」こそ、選び続けてもらう期間

内定式は、採用の終わりではなく、入社までの関係づくりの始まりです。10月1日を前に、うちも内定者に何を渡せるかを、もう一度見直しています。


沼田海斗(ぬまた・かいと)
株式会社K.Platinum代表。沖縄高専の出身で、24歳で起業。AI・RAGの受託開発やITコンサルを手がけながら、エンジニアが力を発揮できる採用と環境づくりに取り組んでいる。


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