こんにちは。ITコンサルティングと受託開発、それにプログラミングスクールをやっている会社の代表、沼田です。17人・フルリモートの小さな会社をやっています。うちは高専卒のメンバーが多くて、採用でも高専生を本気で追いかけています。
7月に入りました。高専採用をやっている人からすると、この時期は「一段落」に見えるかもしれません。大手の一巡目はだいたい終わったし、内々定も出揃った。でも、僕らみたいな中小にとっては、ここからが本番なんですよ。二巡目が、静かに動き出す。
今日は、この7月の局面で、うちみたいな17人の会社が高専生に「選ばれる」ために、何を差し出しているか——待遇でも規模でもなく、「最初の3年で触れる技術の幅」を武器にしている話を書きます。
7月、二巡目が動き出す
まず前提の共有から。高専生の就職市場は、とにかく人が足りません。2026年卒の高専生に対する求人倍率は、20倍を超えています。一人の学生に、20社以上が求人を出している計算です。もはや「採る」というより「選んでもらう」市場です。
そのなかで、スケジュール感がまた独特なんですよ。高専は学校推薦が基本で、動きが早い。一巡目の内々定は、だいたい5月末から6月上旬にかけて出揃ってしまう。大手や地元の有名企業は、この一巡目でごっそり優秀層を押さえます。
じゃあ中小はもう終わりかというと、そうじゃない。ここから7月にかけて、二巡目や自由応募の局面が来る。一巡目で第一志望に届かなかった学生、あるいは「推薦より自分で選びたい」と自由応募で動く学生が出てくる。この層に、うちみたいな会社が出会えるかどうか。7月は、中小にとって"二回戦のゴング"なんです。

中小が、張り合ってはいけない土俵
ただし、二巡目に入ったからといって、大手と同じ戦い方をしたら一瞬で負けます。ここを間違えると、いくら求人倍率が高くても人は採れない。
待遇で張り合ってはいけない。規模で張り合ってはいけない。知名度で張り合ってはいけない。この3つは、17人の会社が大手と殴り合っても勝てない土俵です。「うちは大手ほど給料は出せないし、名前も知られていない」——これは事実なので、隠さず認めます。認めたうえで、別の土俵に持ち込む。
僕が高専生と話していて感じるのは、彼らが本当に見ているのは、初任給の額そのものより「この会社に入って、自分がどう伸びるか」なんです。技術者として、3年後にどんな景色が見えているか。ここに、中小が勝てる余地が、はっきりある。
もうひとつ、中小がやりがちな失敗を書いておきます。それは、大手の採用手法を"縮小コピー"してしまうこと。立派な会社説明資料を作り、待遇を並べ、福利厚生をアピールする。でも、それは全部、大手のほうが上手にやれる領域です。同じ土俵で見劣りする資料を出すくらいなら、最初から別の話をしたほうがいい。うちは会社案内のスライドより、「今動いている案件で、あなたが最初に触る技術」の話を長くします。学生が知りたいのは、会社の沿革じゃなくて、自分の3年後だから。
選ばれるオファーの中身は、「技術の幅」と「配属ガチャなし」

じゃあ、うちが差し出しているオファーの中身は何か。突き詰めると2つです。
ひとつめは、最初の3年で触れる技術の幅。大きい会社は、分業が進んでいます。新人は、大きなシステムの一部分をずっと担当することが多い。それはそれで深い経験になるけれど、「幅」は出にくい。一方うちみたいな17人の会社は、一人が上流から下流まで触ります。お客さんの課題を聞くところから、設計、実装、AIの組み込み、運用まで。入って3年で、大手なら10年かけて触るかどうかの領域を、ひととおり経験できる。技術者としての初速が、まったく違うんです。
ふたつめは、配属ガチャがないこと。これ、学生に刺さります。大手に入ると、希望した部署に行けるとは限らない。「入ってみないと何をやるかわからない」——この不安は、高専生ほど強く持っています。彼らは技術がやりたくて高専に行った人たちなので、「技術と関係ない部署に飛ばされる」のが一番怖い。うちは17人なので、そもそもガチャの引きようがない。「あなたは入ったら、この技術に、この人と一緒に触ります」と、顔と内容がはっきり見える。この"見える化"が、規模の小ささを強みに変えてくれる。
待遇でも規模でもなく、「入って最初の3年で、どれだけ技術の幅に触れられるか」「それが配属ガチャなしで確約されているか」。これが、うちが二巡目で差し出しているオファーの中身です。
(うちが実際にどんな案件で、どんな技術に触れているかは、採用ページにまとめています。「3年後の自分」を具体的に想像したい高専生は、のぞいてみてください。)
17人ITコンサルの、口説き方
具体的な口説き方も書いておきます。うちは面接で、抽象的な「成長できます」を絶対に言いません。あれは、学生からすると一番信じられない言葉です。
代わりに、「入って最初の半年で、具体的にこの案件のこの部分に触ります」と、実物で見せる。今うちで動いている受託案件を例に、「1年目でここまで、2年目でここまで、3年目にはこういう役割になっている先輩がいます」と、実在のキャリアパスを名前つきで見せる。うちは小さいから、全メンバーの成長の軌跡を、僕が具体的に語れる。これは大手の人事にはできない芸当です。
それから、二巡目で会った学生には「一巡目で決まらなかったこと」を、絶対にマイナスに扱いません。むしろ、自分で納得いくまで選ぼうとしている証拠だと捉えます。推薦で流れで決めるより、自由応募で「この会社の技術が面白そうだ」と自分の意思で来てくれた学生のほうが、入ってからの熱量が高い。だからうちは、二巡目こそ本気で口説く。時期で学生の価値を測らないことも、小さい会社が信頼を勝ち取る一手だと思っています。
前職のスタートアップITコンサルにいた頃、僕自身が「幅広く上流から触れた経験」でものすごく伸びた実感があります。だから、それを次の世代にそのまま渡したい。24歳で起業して、この3期目(27歳)でずっと考えてきたのは、「小さい会社だからこそ渡せる経験がある」ということでした。分業されていないこと、一人が全部見ること。これはハンデじゃなくて、若い技術者にとっては最高の学びの環境なんです。
7月に提示すべきは、"待遇"でなく"3年後の自分"
まとめます。高専求人倍率20倍超、一巡目は6月上旬に出揃い、7月は二巡目・自由応募の局面。ここが中小の本番です。でも、大手と同じ「待遇・規模・知名度」で張り合ったら勝てない。
中小が二巡目で提示すべきなのは、初任給の額じゃなくて「3年後の自分」です。最初の3年でどれだけ技術の幅に触れられるか。それが配属ガチャなしで確約されているか。この2つを、抽象論じゃなく実物で見せられる会社が、20倍の市場でも選ばれます。
うちも、毎年ここで必死に口説いています。名前を知られていないぶん、中身で勝負するしかない。でも、中身で選んでくれた学生は、入ってからの伸びも、定着も、驚くほどいい。7月、二巡目が動くこの時期に、高専生を追いかけている中小の方へ。差し出すべきは待遇じゃなく、「うちに来たら、3年でここまで技術に触れられる」という、具体的な未来ですよ。
沼田海斗(ぬまた・かいと)
株式会社K.Platinum代表。24歳で起業し、ITコンサルティング・受託開発・プログラミングスクールを展開。高専卒メンバーの多い17人・フルリモートの組織で、エンジニアが最初の3年で最大限に伸びられる環境づくりにこだわっている。
K.Platinumでは一緒に働くエンジニアを募集しています。「実力で正当に評価される環境」に興味がある方は、ぜひ採用ページをご覧ください。

