こんにちは。K.Platinum代表の沼田海斗です。
僕は24歳でこの会社を立ち上げて、今は3期目・27歳。社員は17人で、製造業・流通・金融の中堅企業を相手に、ITコンサル+受託開発+ジゴカツ(プログラミングスクール)の3本柱でやっています。
会社の構造上、採用面接は最初から代表の僕が出ます。もう何百人と会ってきました。今日は、その面接の現場が2026年にガラッと変わった話を書きます。きっかけは、候補者がAIで"面接対策"まで作り込んでくるようになったことです。
1. 全員が"優等生の答え"を持ってくる面接
少し前まで、面接には「準備してきた人」と「してこない人」の差がありました。志望動機を練ってきた人、企業研究をしてきた人は、それだけで少し光って見えた。
2026年、この差が消えました。理由ははっきりしていて、候補者がChatGPTやPerplexityで、企業研究から面接の想定問答、模範解答まで、全部作ってくるからです。
「なぜ弊社を志望したんですか?」と聞くと、驚くほど整った答えが返ってくる。会社の強みも、事業内容も、正確に押さえている。文章として、非の打ち所がない。でも、聞いていて、その人が全然見えてこない。
最初は戸惑いました。みんな優等生の答えを持ってくる。準備の差がつかない。じゃあ、面接で何を見ればいいのか。「用意された答え」を上手に言えることは、もう評価軸にならない。この事実を受け入れるところから、僕らの面接の作り替えが始まりました。
2. 暗記された答えが、見えなくするもの
そもそも、面接で本当に知りたいことって何だっけ、と考え直しました。

きれいな志望動機が知りたいわけじゃない。僕が知りたいのは、その人と一緒に働いたときに、どう考えて、どう動く人なのかです。具体的には、こんなところ。
考え方の筋道。何かを判断するとき、どういう順番で考えるのか。前提をどう置くのか。
詰まったときの動き。分からない問題にぶつかったとき、固まるのか、手を動かすのか、人に聞くのか。
前提の疑い方。与えられた条件を鵜呑みにするのか、「そもそもこれ、合ってます?」と問い直せるのか。
ここが、その人の"仕事の地力"です。ところが、AIが作った模範解答は、この地力を、きれいに覆い隠してしまう。準備された答えは、考える過程を全部すっ飛ばして、結論だけを差し出してくる。だから、答えが立派であればあるほど、その人の中身が見えなくなる。
面接官として、これは怖いことです。整った答えに納得して採用したら、実際に働き始めたら全然違った、が起きうる。答えの完成度と、地力は、もう相関しない。
3. その場でしか出ない反応を引き出す問い
じゃあ、どうするか。答えはシンプルで、その場でしか答えられない問いを投げることです。AIで事前に用意できない質問なら、模範解答は効きません。
僕らが使っている問いの型は、3つあります。

① 用意できない具体を聞く。「一般的にどうか」ではなく、「あなたが実際にやったこの件で、どこで詰まって、どう抜けたか」を、どこまでも具体的に掘る。AIは一般論は書けても、その人が本当に経験した細部までは書けません。具体を3階層掘ると、経験の有無が一発で分かります。
② 途中で条件を変える。候補者が答えを組み立てたところで、「じゃあ、予算が半分だったら?」「納期が1週間だったら?」と前提を動かす。用意してきた答えが使えなくなった瞬間に、その場で考え直せるかどうかが見える。ここで固まる人と、楽しそうに組み替える人で、はっきり差が出ます。
③ 「なぜそうした」を掘る。やったこと自体ではなく、その判断の理由を聞く。「なぜその技術を選んだのか」「他の選択肢はなかったのか」。理由を自分の言葉で語れる人は、考えて動いている。借り物の答えは、2回「なぜ」を重ねると崩れます。
この3つは、AIで武装した候補者にこそ効きます。準備できない領域に、あえて面接を持っていく。用意された答えの"外側"を見に行くわけです。
4. 17人ITコンサルがやっている面接の作り替え
もう一つ、僕らが最近やっていることがあります。「AIを使ってもいい」という前提で、その使い方を見る面接です。
たとえば、その場で小さなお題を渡して、「AIを使って構いません。どう進めますか」と言う。すると、面白いくらい差が出ます。丸ごとAIに投げて出てきたものをそのまま出す人。AIに何を任せ、どこを自分で判断するかを切り分けられる人。AIの答えを「これ、本当に合ってる?」と疑える人。
2026年の実務は、AIを使うのが当たり前です。だから、「AIを禁止した状態でどれだけできるか」を見ても、実務とズレる。それより、AIを使う前提で、その人がどこに価値を足せるかを見るほうが、入社後の姿に近い。
これは、僕らが普段お客さんに言っていることと、実は同じです。AIが「作る」を肩代わりする時代に、人に残るのは「何を任せ、どこを握るかを設計する力」。面接でも、そこを見る。選考の軸を、実務の軸と地続きにする。ここを合わせておかないと、面接で光った人が、現場で光らない、が起きます。
余談ですが、K.Platinumではこの「AIを使いこなしつつ、自分の頭で考えられる」エンジニアを募集しています。続きを読む前に気になった方は、採用ページものぞいてみてください。
5. 面接で見る軸=求める人物像=育てる方向
最後に、いちばん大事な話を。
面接で何を見るかは、単なる選考テクニックの話じゃありません。「面接で見る軸」は、そのまま「会社が求める人物像」であり、「入社後に伸ばす方向」でもある。この3つは、地続きでなければいけません。
僕らが面接で「その場の思考」を見るのは、入社後もそこを伸ばしてほしいからです。用意された正解を上手に出す人より、前提を疑い、条件が変わっても考え直し、自分の言葉で理由を語れる人。そういう人が、AI時代のITコンサルとして伸びる。だから、面接でもそこを見るし、入社後もそこを育てる。
面接の作り替えは、採用の小手先の話に見えて、実は「うちはどういう人と働きたいのか」を言語化し直す作業なんです。AIが候補者を武装させてくれたおかげで、僕らは「答えの上手さ」に惑わされなくなった。むしろ、本当に見たいものが、くっきりしてきた。そういう意味では、AIに感謝しているくらいです。
まとめます。
- 候補者がAIで模範解答まで作る時代、「用意された答えの上手さ」は評価軸にならない
- 本当に見たいのは、考え方の筋道・詰まったときの動き・前提の疑い方=仕事の地力
- その場でしか答えられない問い(用意できない具体/条件を変える/なぜを掘る)で地力を見る
- 「AIを使ってよい前提」でその使い方を見る=選考の軸を実務の軸と地続きにする
- 面接で見る軸=求める人物像=育てる方向。3つを一致させる
採用観点 — 用意された答えより、その場で考える人と働きたい
最後に採用の話を。
ここまで書いてきたことは、そのまま「僕らがどういう人と働きたいか」です。用意された正解を上手に言える人より、その場で一緒に考えられる人。
僕らが採りたいのは、こんな人。
- 分からないことに、固まらず手を動かせる人
- 与えられた前提を「そもそも合ってる?」と問い直せる人
- AIを使いこなしつつ、その答えを鵜呑みにせず疑える人
3つ全部が完璧じゃなくて大丈夫。面接では、答えの完成度は見ていません。一緒に考えている時間が面白いかどうか、を見ています。
会社の構造上、面接は最初から代表の僕が出ます。用意してきた答えは、いったん脇に置いて、その場で一緒に考える時間を楽しめる人と会いたいです。
沼田海斗(ぬまた・かいと)
株式会社K.Platinum代表。24歳で創業し、製造業・流通・金融の中堅企業を相手にITコンサル・受託開発・プログラミングスクール「ジゴカツ」を展開。採用面接には今も代表自ら出続けている。
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