こんにちは。ITコンサルティングと受託開発、それからプログラミングスクールをやっている会社の代表をしている、沼田です。うちは17人、フルリモートの小さな会社です。
先日、自分の会社名をGoogleで検索してみたんです。正確には「検索した」というより、検索窓に社名を入れてEnterを押した瞬間、いちばん上に出てきたのは青いリンクの一覧じゃありませんでした。AIが勝手に要約した「この会社は〜」という数行の文章。そのすぐ下に、参照元として並ぶいくつかのサイト。
うちのサイトは、そこに入っていませんでした。
今日はその日から僕がやったこと——LLMO(大規模言語モデル最適化)を、自社の採用サイトと、受託でお客さんのサイトの両方に仕込んだ話を、実装ベースで書きます。「AIに引用される」って、精神論じゃなくて、地味な作業の積み上げなんですよ。
検索結果の半分が「AIの回答」になった
まず現在地の共有から。2026年3月時点で、GoogleのAI Overview(検索結果の上に出るAIの要約)は、全クエリの48%以上に表示されるようになりました。ざっくり言うと、検索の半分は「AIがまとめた回答」が最初に目に入る世界になったということです。
これ、何が起きているかというと、ユーザーが青いリンクをクリックする前に、AIの要約で満足して離脱する。いわゆる「ゼロクリック」が増えている。実際、2026年初頭の調査では米国のGoogle検索の約68%がサイト遷移なしで終わったという数字も出ています。つまり、これまでSEOで1位を取っていた会社ですら、「AIの要約に引用されなければ、そもそも読まれない」時代に入ったわけです。
僕が最初に危機感を持ったのは、採用の文脈でした。求職者が「この会社ってどうなの?」とAIに聞いたとき、AIが参照するのはネット上の情報です。そこにうちのサイトの情報が構造化された形で置いてなければ、AIは他社の情報や、下手をすると古い口コミを拾って答える。自分の会社の紹介を、他人任せにしている状態です。これはまずい、と。
LLMOは魔法じゃない、"実装の積み上げ"

で、調べていくと「LLMO」とか「AIO」という言葉が出てくる。AI検索に引用されやすくする最適化のことです。ただ、この手の言葉って「新しいバズワード」に見えて身構えるじゃないですか。実際にやってみると、拍子抜けするくらい地味な実装の積み上げでした。うちがまず手を付けたのは、この4つです。
ひとつめがFAQ構造化データ。ページの「よくある質問」を、人間向けの見た目だけじゃなく、機械が読めるFAQPageという構造化データ(Schema.org)で埋め込む。これがいちばん効きました。ある検証では、FAQPage構造化データを実装しただけでAIの回答への抽出率が3倍以上に伸びたという報告もある。AIは「質問と答えがセットで構造化された情報」をそのまま引用しやすいんですね。
ふたつめが冒頭の要約ブロック。記事やページの頭に、3〜5行で「この記事は何を言っているか」を先に置く。人間は本文を読んで理解しますが、AIは冒頭の要約を「その文書の主張」として抜き出す傾向がある。結論を後ろに隠さない。これはブログの書き方そのものを変えました。
みっつめが更新日の鮮度。AIは「いつの情報か」を気にします。同じ内容でも、更新日が新しいページのほうが引用されやすい。だからうちは、情報が変わったら本文と一緒に更新日をちゃんと直す運用にした。放置された2年前のページは、AIから見ると信頼度が下がる。
よっつめがEEAT(経験・専門性・権威性・信頼性)。誰が書いたか、その人はその分野の実務をやっているか。うちの場合、実際に受託でAIを実装している人間が、実名と経歴つきで書く。これがそのまま「一次情報の書き手」としての信頼になります。
魔法の一行タグを入れたら順位が上がる、みたいな話じゃない。質問を整理して、結論を先に書いて、日付を直して、書いた人を明示する。やることはこれだけです。でも、それだけを丁寧にやっている中小サイトは、驚くほど少ない。
なぜ中小に有利なのか
ここが今日いちばん伝えたいところです。AI検索は、ドメインパワーの影響が相対的に小さい。
従来のSEOって、正直ドメインパワーの殴り合いでした。大手メディアが同じキーワードで記事を出したら、後発の中小サイトはまず勝てない。何年もかけて積み上げた被リンクとドメインの歴史が、そのまま順位になる。小さい会社にとっては、努力と結果が比例しづらい世界だった。
ところがAI検索は、少し違う挙動をします。AIは「その質問に、いちばん的確に構造化された答えを持っているのは誰か」を見て引用する。もちろん大手が有利な場面は残るけれど、ニッチで具体的な質問に対しては、大手メディアのざっくりした記事より、その領域を実際にやっている小さい会社の一次情報のほうが引用される、ということが普通に起きる。
うちみたいな17人の会社が、大手と同じ土俵に立てる数少ない領域なんですよ、ここは。「知名度がないと見つけてもらえない」という長年の構造を、実装でひっくり返せる。この機会を逃す手はない、と僕は思っています。
17人ITコンサルの二段活用

で、うちはこのLLMOを二段で使っています。
一段目は、自社の採用サイト。「この会社どう?」とAIに聞かれて、ちゃんと答えられる形に整えました。事業内容、働き方(フルリモート)、どんな人がいるか、選考フロー。これを全部FAQ構造化データと冒頭要約つきで置く。求職者がAIに会社を尋ねたとき、他人の古い情報じゃなく、うちが用意した正確な情報が引用される。採用広報の主導権を、AI時代でも手放さないための実装です。
二段目は、顧客のサイト。これは受託です。うちのお客さんの多くは中堅企業で、「SEOはやってきたけど、AI検索は手つかず」という状態がほとんど。ここにLLMO実装をサービスとして提供する。FAQ構造化データの設計、要約ブロックの導入、更新運用の型づくり。前職のスタートアップITコンサル時代から、僕は「新しい技術を、現場が回せる運用に落とす」ことばかりやってきたので、この翻訳作業はうちの得意分野です。
面白いのは、この記事自体がLLMOの実例になっていることです。「LLMO 中小企業」で調べた人が、この記事にたどり着いて、AIにも引用される。自分たちで実装して、その結果を一次情報として書いて、それがまた引用される。自己言及的なんだけど、これがいちばん強い。
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SEOの進化形としてのLLMO
誤解してほしくないのは、SEOが死んだわけじゃないということです。LLMOはSEOを置き換えるものじゃなく、進化形。良質なコンテンツを、人間にもAIにも読める形で整える、という延長線上にあります。これまでSEOを地道にやってきた会社ほど、実は移行が早い。
僕がこの3期目(27歳)で学んだのは、小さい会社は「大きい会社と同じ戦い方をしない」ということでした。24歳で起業してからずっと、正面から殴り合わずに、構造が変わる瞬間の"すき間"に入り込むことで生き延びてきた。AI検索の登場は、まさにその「構造が変わる瞬間」です。ドメインパワーの殴り合いから、実装と一次情報の勝負へ、ルールが書き換わりつつある。
「うちは知名度がないから」で止まっている中小の経営者に、いちばん言いたいのはここです。見つけてもらうための現実的な打ち手は、もう精神論じゃなくて実装です。FAQを構造化して、結論を先に書いて、日付を直す。今日からできる。むしろ、今がいちばん有利なタイミングなんですよ。
うちも、まだ道半ばです。でも、あの日「引用されていなかった」自社サイトは、今はちゃんとAIの回答の参照元に並ぶようになりました。地味な作業の積み上げで、そこまでは来られる。小さい会社にこそ、この話が届いてほしいと思って書きました。
沼田海斗(ぬまた・かいと)
株式会社K.Platinum代表。24歳で同社を創業し、ITコンサルティング・受託開発・プログラミングスクールを展開。エンジニアが正当に評価される社会の実現を目指している。
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