こんにちは。K.Platinum代表の沼田です。
求人を出したのに、応募が来ない。もっと言うと、見られてはいるのに、応募がゼロ。採用をやっていると、これがいちばん堪えます。反応がまったくないなら「そもそも届いていないんだな」と諦めもつきます。ところが、見られているのに来ないとなると、何が悪いのか分からなくなります。
この記事では、その原因のひとつを97本・970本・35%という3つの数字から読み解き、17人の会社が今日から書き直せる「数字の出し方」まで書きます。
先日、Shakeが2026年9月24日に公開した、最低賃金引き上げと中小企業の採用に関するデータを読みました。その中に、この「見られているのに応募ゼロ」を数字にした部分があって、自分たちの求人にも当てはまりそうだと感じたので、今日はそれを書きます。
※本記事は2026年9月時点の情報にもとづいています。引用元はShake社1社が持つ運用データ(107社)で、時給制の求人が中心です。ITコンサルやエンジニアの月給制の求人とは領域が違います。「業界全体の傾向」ではなく「ひとつの参考例」として読んでください。また、この記事は給与額を書くことをすすめるものではありません。
表示1,000回以上の求人970本のうち、97本は応募ゼロ
まず、いちばん印象に残った数字です。
表示が1,000回以上あった求人は970本ありました。そのうち、クリック率が5%以上あったのに、応募が1件もなかった求人が97本ありました。ほぼ10本に1本です。
クリック率が5%以上あるということは、タイトルや写真、冒頭の文は、ちゃんと目を引いています。見せ方が悪くて素通りされているわけではありません。それでも応募には至らない。
Shakeはこの原因を、見せ方ではなく「賃金の比較」だと見ています。最低賃金が上がり、よその求人の条件も動いている。求職者は開いて中身を読み、ほかの求人と並べて、そこで選ばれなかった、ということです。
つまり、クリックされるのに応募されない求人は、「興味を持たれた末に、比較されて負けている」求人だと読めます。
数字で条件を書いていた求人は、35%しかなかった

では、比較で勝つには何が要るのか。同じデータの中にヒントがありました。
求人5,578件のうち、条件を数字で書いていたものは35%でした。裏返すと、65%は数字で書いていません。
たとえば、「残業少なめ」「働きやすい職場」「柔軟なシフト」という書き方です。読む側からすると、「少なめ」がどのくらいなのか分かりません。比べようがないのです。
Shakeが挙げていた提案は、大きく3つでした。条件を数字で書くこと。手当に集中して見せること。時間の柔軟性を、数字で出すこと。例として、「月の残業は3時間以内」のような書き方が紹介されていました。
数字がない求人は、比較の土俵にすら上がれない。それが、書かないことのコストだと僕は受け取りました。
ITの求人で、給与以外に数字で書けるもの
ここからは、この話を自分たちの世界に置き換えて考えます。
冒頭にも書いたとおり、このデータは時給制の求人が中心です。ITコンサルやAI・RAG受託開発の求人は、月給制で、仕事の中身も違います。そのまま当てはめることはできません。
それでも、「比較される時に、数字がないと不利になる」という点は、共通すると思います。特に、IT系の求人票は「風通しがよい」「裁量が大きい」といった言葉が並びがちです。どの会社も同じ言葉を使うので、差が見えません。
また、このブログでは、平均の金額を並べて競う書き方はしません。金額の比べ合いは、17人の会社が勝負する場所ではないと考えているからです。だからこそ、給与以外で数字にできるものを探す必要があります。
思いつくものを挙げます。
一つ目は、時間です。月の平均残業時間、リモートで働ける日の割合、入社後の研修や学習に使える時間。これは働く人の生活に直結するので、比較の材料になります。
二つ目は、仲間の構成です。チームは何人で、そのうち高専卒はどのくらいか、未経験で入った人はどのくらいいるのか。「自分と似た人がいるか」は、応募の背中を押します。
三つ目は、仕事の中身です。どんな種類の案件がどのくらいの割合で、最初の3か月で何をやるのか。ここが数字になっていると、入社後のイメージが立ちます。
17人の会社が、数字にして出せること

では、うちの場合はどうか。ここは自分たちへの宿題として書きます。
まず、チームの人数と構成です。うちは17人なので、全員の顔が見えます。この規模を「小さい」と隠すのではなく、「全員と話せる人数」という事実として出す。これは数字にできます。
次に、案件の内訳です。ITコンサルとAI・RAG受託のそれぞれの割合を出せば、「どんな仕事をやる会社か」が一言で伝わります。
最後に、働き方の時間です。残業やリモートの実績は、実際の数字を確認してから載せるつもりです。ここは、盛ったり、目標の数字を書いたりはしません。実績と違う数字を書けば、入社後のミスマッチにつながります。期待と実際のズレは、早期の退職につながりやすいと考えているからです。
数字を出すことは、良いところを飾ることではなく、「約束」をすることだと思っています。書いた数字は、入社後にそのまま自分たちへの宿題になります。だから、出せる数字だけを、正直に出します。
数字を書くときに、気をつけたい3つのこと
数字は強い武器ですが、使い方を間違えると逆効果になります。書く前に、僕が決めているルールを3つ挙げます。
1つ目は、出典と期間を添えることです。「残業は少なめ」を「月3時間以内」に変えても、いつの、誰の数字なのかが分からなければ信用されません。「直近半年の実績」のように、一言添えるだけで説得力が変わります。
2つ目は、平均で誤魔化さないことです。人数の少ない会社では、一人の働き方で平均が大きく動きます。17人なら、なおさらです。平均と一緒に、幅や実際の運用も書いたほうが、正直だと思います。
3つ目は、悪い数字も隠さないことです。たとえば繁忙期の残業が増えるなら、その時期と程度も書く。良い数字だけを並べた求人は、比較されたあとに「本当かな」と疑われます。悪い数字が書いてあると、他の数字まで信じてもらいやすくなります。
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数字が出せない会社は、どうすればいいか
最後に、「うちは出せる数字がない」という会社向けに、ひとつだけ。
僕もはじめは、そう思いました。社員数も少なく、統計をとるほどのデータもないからです。でも、実際に書き出してみると、意外と数えられるものがありました。今月の案件の数。社内の勉強会の回数。面接から内定までの日数。どれも、小さな会社でも数えられます。
数字は大きくなくて構いません。大事なのは、「他社と比べられる形になっている」ことです。「面接から内定まで、最短で5日」のように、基準があるだけで、求職者は判断できます。
まとめ:見られているのに来ないなら、比べられる形にする
今日の内容を4点に整理します。
- 表示1,000回以上の求人970本のうち、97本はクリック率5%以上でも応募ゼロだった(Shake社1社のデータ)
- 求人5,578件のうち、条件を数字で書いていたのは35%。残りは比較しようがない書き方
- 給与額を競わない会社は、時間・仲間の構成・仕事の中身を数字にする
- 数字は「約束」。実績を確かめてから、出せるものだけを載せる
このデータは、ひとつの会社の、ひとつの領域の話です。それでも、「見られているのに来ない」という悩みは、多くの会社にとって他人事ではないと思います。まず自社の求人を、比べられる形に書き直すところから、始めてみませんか。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
沼田海斗
株式会社K.Platinum代表。
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