こんにちは。K.Platinum代表の沼田です。
採用の相談を受けると、いちばん多いのがこの一言です。
「若手が全然採れないんですよ」
わかります。うちも同じ市場で戦っているので、痛いほど。でも、ちょっと意地悪な問いを返させてください。「若手が採れない」と言っているその会社、44歳のエンジニアが応募してきたら、どうしていますか?
たぶん、多くの会社が「うーん、ちょっと歳が…」と、書類の段階でそっと見送っている。今日は、その「なんとなくの見送り」が、実はすごくもったいないという話をします。うちが40代・50代を戦力に変えてきた実感を込めて。
「若手が採れない」の裏で、何が起きているか
まず市場の話から。
2026年5月時点で、情報処理・通信技術者の新規求人倍率は3.2倍。相変わらずの売り手市場です。ただ、中身が変わってきました。
面白いのが、若手(22〜25歳)の雇用は2024年以降で約20%減っていること。企業のジュニア(若手)採用の削減計画は54%にのぼるというデータもあります。「若手が採れない」んじゃなくて、市場全体で若手の椅子そのものが減っている局面なんです。AIが「新人がやっていた単純作業」をどんどん巻き取っているのが大きい。
その一方で、いま起きているのが40代・50代のミドルシニア層への再評価です。即戦力を求める企業が、年齢の枠を外してベテランに積極的にアプローチし始めている。副業でエンジニアを受け入れる企業も13.9%から17.0%へ増えました。
つまり、若手の奪い合いに全員が殺到している横で、経験者の市場はぽっかり空きつつある。ここに気づいているかどうかで、採用の勝ち筋がだいぶ変わります。
「ミドルシニア=高い・扱いにくい・新技術に弱い」という誤解
とはいえ、抵抗感があるのもわかります。40代・50代の採用というと、こんなイメージがつきまとう。
- 単価(給与)が高い
- プライドがあって扱いにくい
- 新しい技術についていけない
でも、これAI時代にはかなりズレた思い込みだと、僕は思っています。

考えてみてください。AIがいちばん得意なのは「手を速く動かすこと」です。コードを書く、資料を作る、調べる。これらは、若手が経験で差をつけていた領域でもありました。その部分を、AIがまるっと肩代わりし始めている。
じゃあ、これから人間の価値はどこに残るのか。「どこで止めるか」「何がおかしいか」を判断する力です。要件定義で「その要望、本当にシステムで解くべきですか?」と踏みとどまれる。障害が起きたときに「これは前にも似たパターンがあった」と勘が働く。顧客との折衝で、言葉にならない不安を汲み取れる。
これ全部、AIで代替されにくい、経験でしか身につかない知なんです。そして、その経験を厚く持っているのは、たいてい40代・50代のほう。皮肉なことに、AIが進化するほど、ベテランの「判断」の価値が上がっていく。「手が速い」で勝負する時代が終わりつつあるからこそ、経験者の相対的な価値が上がっているんです。
中堅・少人数だからこそ、ベテランが活きる
「それは分かるけど、大企業ならともかく、うちみたいな小さい会社でベテランを活かせるの?」——逆です。少人数の会社ほど、ミドルシニアが活きます。
大企業には、年齢に応じたポスト設計があります。「この歳ならこのくらいの役職で、部下が何人で」という枠がガチッと決まっている。だから中途のベテランは「肩書きをどうするか」でまず揉める。
うちみたいな17人の会社には、そんな枠がありません。だから肩書きじゃなく「仕事の中身」で、その人が即戦力になれる。1人が製造も流通も横断するような、守備範囲の広い働き方をしているので、経験のある人ほど、立ち上がりが速い。「あ、この業務は前職の◯◯と同じ構造ですね」と、初日から勘所を掴んでくれる。
僕がタイトルに「経験は"高い"じゃなく"早い"」と書いたのは、これです。ベテランを採るコストは、給与という「高さ」で見られがちですが、立ち上がりの"早さ"で見ると、むしろ安いことがある。若手を半年かけて育てる時間を、ベテランは数週間に縮めてくれる。
17人のうちが、実際にやっている受け入れ設計
抽象論だけだと嘘くさいので、うちがベテランを受け入れるときに具体的にやっていることを3つ書きます。

① 「部下を持つ」でなく「1人で複数業務を横断」で入ってもらう
ベテランを採ると、つい「マネージャーとして部下を持たせよう」と考えがちです。でもうちは、まずプレイヤーとして、複数の業務を1人で横断してもらう。管理より、その人の経験そのものを現場で使ってもらうほうが、はるかに早く価値が出る。マネジメントは、本人が望めば後から。
② AIツールのキャッチアップは、若手が"逆メンター"につく
「新しい技術に弱い」問題は、仕組みで解けます。うちでは、AIツールの使い方は若手がベテランに教える——いわゆる逆メンター制です。ベテランは業界知識と判断を、若手はAIの使いこなしを、お互いに教え合う。これ、やってみると両方が伸びます。若手は「教えることで理解が深まる」し、ベテランは「変なプライドなくAIに触れる」。歳下から教わるのを嫌がる人は、そもそもうちに合わないので、そこは入口で見ます。
③ 多業界の経験を、横展開できる案件に当てる
うちは製造・流通・金融・電力と、複数業界のITコンサルをやっています。長く働いてきた人は、たいてい複数の業界・システムを見てきている。その経験を、「1つの業界に閉じない」うちの案件構成にそのままぶつけられる。ベテランの引き出しの多さが、そのまま武器になる場所を用意する、ということです。
「こういう環境なら、自分の経験がまだ活きるかもしれない」と感じた方は、K.Platinumの採用ページも覗いてみてください。どんな案件で、どんなふうにベテランに活躍してもらっているかを、具体的に載せています。
落とし穴も、正直に書いておく
いいことばかり書くとフェアじゃないので、失敗しやすいポイントも。
ミドルシニア採用でこじれるのは、たいてい「前職のやり方への固執」と「過去の成功体験の押し付け」です。「昔はこうやって上手くいった」が、いまのAI前提の進め方と噛み合わないことがある。
だからうちは、入社してすぐに「うちのやり方 × AI前提」をすり合わせる短い期間を、意図的に設けます。ベテランを否定するのではなく、「あなたの経験は最大限使いたい。ただ、道具立ては今のうちのやり方に合わせてほしい」と、最初にはっきり握る。ここを曖昧にすると、お互い不幸になります。逆に、ここさえ握れれば、経験者は本当に頼りになります。
若手が足りないのでなく、経験を切り捨てているだけかもしれない
まとめます。
「若手が採れない」は、半分は市場の事実です。若手の椅子は、AIによって実際に減っている。でも残りの半分は、採る側が、経験者という選択肢を最初から外しているだけかもしれません。
44歳の応募を「歳が…」で見送る前に、一度考えてみてほしいんです。その人が持っている、要件定義の勘、障害対応の場数、顧客との呼吸——それは、いま採用市場でいちばん希少になりつつある「AIで代替されない判断力」そのものです。
僕は24歳で起業して、いま3期目・27歳です。会社でいちばん若い部類の人間が代表をやっています。だからこそ、歳で人を測ることの馬鹿らしさを、採用のたびに感じます。若手が足りないのではなく、経験を「高い」と切り捨てているだけかもしれない。うちは、そこを拾いにいく会社でありたいと思っています。
K.Platinumでは、年齢に関係なく、経験と判断力を武器にできるITコンサルタント/エンジニアを募集しています。40代・50代で「まだまだ現場で勝負したい」という方も、ぜひ一度話しましょう。逆メンターの若手が、AIのキャッチアップは全力で伴走します。
沼田海斗(ぬまた・かいと)
株式会社K.Platinum代表。24歳で起業し、現在3期目。「エンジニアが正当に評価される社会」の実現を掲げ、年齢や経歴の枠にとらわれない採用と組織づくりに取り組んでいる。
K.Platinumでは一緒に働くエンジニアを募集しています。「実力で正当に評価される環境」に興味がある方は、ぜひ採用ページをご覧ください。

