株式会社K.Platinum 清水洋太
転職活動をしていると、どこかで一度は突き当たる問いがあります。「顧客の課題を解く仕事に行くか、自社サービスをつくる会社に行くか」。求人票を並べて、どちらが自分のキャリアにとって正解なんだろうと悩む。私自身、面談の場で何度もこの相談を受けてきました。
この記事では、その二択に弊社がどう向き合っているのかをお話しします。先に結論を言ってしまうと、私たちは「どちらか」を選んでいません。顧客の課題に提案から入って一気通貫で解いていく仕事と、自分たちのプロダクトを企画してつくる仕事。その両方を、同じチームで回しています。読み終えたときに「そういう選び方もあるのか」と思ってもらえたら嬉しいです。
なぜ多くのエンジニアが、この二択で迷うのか
相談を聞いていると、悩みの中身はだいたい2つに整理できます。
ひとつは「顧客の課題を解く仕事は、リリースした先が見えにくい」という感覚です。要件を聞いて、設計して、つくって、届ける。技術の幅は確実に広がるし、業界も規模も違う現場を渡り歩ける。ただ、契約が終わったあとに、そのシステムが誰にどう使われ、どう育っていったのかを追いかける立場ではなくなることが多い。「自分ごと」になりきらないまま次の現場へ、という感覚が残る人は少なくありません。
もうひとつは、その裏返しです。自社サービスなら当事者として最後まで見届けられる。数字を見て、直して、また出す。けれど扱うドメインも技術スタックもひとつに絞られやすく、20代のうちに触れられる技術の幅はどうしても狭くなる。「腰を据えたい、でも視野は広げたい」という矛盾を抱えたまま、求人票を眺めることになります。
私たちがこの二択に答えを出さなかったのは、どちらの不満も、もっともだと思ったからです。弊社のメイン事業は、顧客のビジネス課題に提案活動から入り、業務整理から改善、システム化、AI導入までを一気通貫で支援するITコンサルティングです。戦略だけでも開発だけでもなく、業務・IT・マネジメントの三位一体で最後まで面倒を見る。この動き方をしていると、必然的に「じゃあこれ、プロダクトにしたほうが早いのでは」という場面に出会います。目の前の1社のためにつくった仕組みが、実は同じ悩みを抱えた何十社にも効くのではないか、と。
その気づきを、その場で終わらせない。だから私たちは、自分たちのプロダクトも持っています。
私たちがつくっている、自分たちのプロダクト
たとえば「PhotoMemorial」は、結婚式場などでゲストが撮った写真をリアルタイムに会場のスクリーンへ投影できるサービスです。専用アプリのインストールは不要で、不適切な写真を弾くモデレーション機能も備えています。式の最中に、招待客のスマホから届いた写真が次々と大画面に流れていく。当日の空気が変わる瞬間を、自分たちの手でつくれるプロダクトです。
「K.QUEST」は、社会人やエンジニア向けの個別学習ポータルです。私たちはプログラミングスクール事業も運営していて、未経験の方が最初の一歩でどこにつまずくのかを、現場としてずっと見てきました。その蓄積を、学ぶ人ごとに最適化した学習体験として仕組み化しています。ほかにも、SNSアカウントの運用を効率化するツールを継続開発しています。
顧客の課題を解く仕事との一番の違いは、決める人が自分たちであることだと思っています。「この機能は要らない」「ここは体験として妥協できない」を、要件定義書ではなくチームの会話で決める。出したあとにユーザーの反応がまっすぐ返ってきて、直すかどうかの判断も自分たちで下す。うまくいかなかったときに言い訳の余地がないぶん、学びの密度がまるで違います。
もちろん、いいことばかりではありません。仕様を決める責任は重いし、「誰も頼んでいない機能」をつくってしまう失敗もあります。それでも、その失敗を自分の判断として引き受けられる経験は、エンジニアとしての足腰を確実に強くしてくれます。

二刀流が成立する理由 ── 「課題から入る」筋肉は共通している
「両方やるなんて、器用貧乏になりませんか」と聞かれることがあります。私はそうは思っていません。二つの仕事は、実は同じ筋肉を使うからです。
顧客の課題を解く仕事で最初にやることは、コードを書くことではありません。「この会社は本当は何に困っているのか」を、業務フローを描きながらほどいていく作業です。担当者が「システムを入れたい」と言っていても、話を聞くと本当の問題は二重入力の運用にあった、というのはよくあること。この、要望の奥にある課題を掘り当てる動き方が、そのままプロダクト企画に効きます。「誰の、どの瞬間の、どんな不便を消すのか」を言語化できないプロダクトは、だいたい使われません。
逆方向にも効きます。自分たちのプロダクトで、ユーザーが離脱する瞬間や、思ったより刺さらなかった機能を目の当たりにした経験は、提案の場での説得力を変えます。「一般論として、この機能はこう使われます」ではなく「私たちも同じ設計にして外しました。理由はこうです」と言える。設立から2年あまりで20以上の開発プロジェクトに関わってきましたが、提案が通る瞬間はたいてい、この手触りのある一言が効いています。
だから弊社では、顧客の課題を解くプロジェクトに入っているメンバーが自社プロダクトの議論にも顔を出しますし、その逆もあります。片方で得た知見がもう片方に流れ込む前提で、チームを分けすぎないようにしています。
── K.Platinumでは、受託と自社開発の両方に関わりながらキャリアを積みたいエンジニアを募集しています。案件の入り方や働き方など、具体的な条件はエンジニア募集要項からご覧いただけます。
「やってみたい」から始めるために、用意していること
とはいえ、入社していきなり「プロダクトを企画してみて」と放り出されたら困ってしまいますよね。手を挙げやすくするために、いくつか意識していることがあります。
ひとつは、距離の近さです。従業員は約12名、平均年齢は27.5歳。思いついたことを持っていく先が明確で、返事が返ってくるまでが速い。「まず小さく試してみよう」までの距離が短いのは、この規模の一番の利点だと思っています。
ふたつめは、時間の使い方の自由度です。フルフレックス(コアタイムなし)で原則リモート、完全週休2日制で年間休日は123日、副業も相談可としています。集中したい日はまとめて手を動かし、そうでない日は学びに充てる。働く時間を自分で設計できることが、新しいことに手を出す余白を生みます。
みっつめは、学びを個人戦にしないことです。オンライン勉強会やLT会を定期的に開いていて、詰まったところや試してうまくいったことを共有する場があります。加えて、生成AIを開発プロセスに組み込む取り組みも全社で進めていて、下書き・生成・レビューの役割分担を整えることで、一人のエンジニアが射程に入れられる範囲そのものが広がりました。「人数が少ないからできない」ではなく「少人数でもここまで届く」を、道具の力で押し上げている実感があります。
実力主義・成果主義を掲げている会社なので、手を挙げた人にはちゃんと機会が回ります。年次や肩書きよりも、やってみた事実のほうが評価される場所です。
「どちらか」で選ばなくていい
顧客の課題を解く仕事か、自社サービスか。この二択で迷っている方に伝えたいのは、その問いの立て方自体を変えてもいい、ということです。大事なのは契約形態ではなく、課題を見つけるところから、届けて直すところまでを自分の手で通せるかどうか。それが通せる環境なら、受託と自社の線引きは、思っているほど重要ではありません。
弊社はまだ小さな会社です。整っていないところもたくさんあります。でも、だからこそ「これ、つくってみませんか」と言った人がそのままつくり手になれる余地があります。もし、目の前の実装だけで終わらせたくない、届いたあとまで見届けたい ── そう思っているなら、私たちは同じ景色を見られる気がします。
まずはカジュアルにお話しするところからで構いません。あなたが今つくりたいと思っているものの話を、聞かせてください。
清水洋太(しみず・ようた)
株式会社K.Platinum所属。エンジニアが力を発揮できる環境づくりを大切にしている。
K.Platinumでは一緒に働くエンジニアを募集しています。「実力で正当に評価される環境」に興味がある方は、ぜひ採用ページをご覧ください。

