こんにちは、K.Platinum代表の沼田です。
去年、若手に「セキュリティ、そろそろ勉強しといてね」と言ったことがあります。
その後、何が起きたか。何も起きませんでした。
本人がサボったわけではありません。言われた側からすると、あれは指示ではなく感想です。何を、どこまで、いつまでに、どうやって。全部が抜けている。予算も日程も教材も出さずに「勉強しといて」と言った僕のほうに問題があった、というだけの話です。
そんな折に、総務省が10月にCTFの大会を開くという告知を見つけました。参加費は無料、初心者向けのワークショップ形式、会場でもオンラインでも参加できる。
これは、あの「勉強しといて」に日付と場所を入れられるということです。なので、勧めるかどうかを本気で考えました。この記事は、その検討の記録です。
何が開かれるのか — 10月3日(土)、無料、全国9会場+オンライン
まず事実から。以下は総務省 関東総合通信局が令和8年8月3日に出した報道資料の内容です。

- 名称: 全国型CTFコンテスト
- 日時: 2026年10月3日(土)12:00〜17:30(受付開始11:30)
- 参加費: 無料
- 参加方法: 会場参加またはオンライン参加を選択(オンラインはZoom)
- 主催: 総務省サイバーセキュリティ統括官室、および東北・関東・信越・北陸・東海・近畿・中国・四国・九州の9つの総合通信局
- 申込期限: 2026年9月25日(金)まで
- 運営事務局: 一般財団法人関西情報センター(KIIS)
- 申込フォーム: https://www.kiis.or.jp/form/?id=294
CTFというのは、Capture The Flag の略で、セキュリティの技術を使って隠された文字列(フラグ)を見つけ出す、クイズ形式の競技です。告知にもそう説明が付いています。
会場は全国9会場+オンラインです。関東局のページには東京会場の住所しか載っておらず、他地域は「他地域の会場もあります」としか書かれていないのですが、総務省本省の報道発表までたどると会場名が出ていました。
- 東京(本会場): AP浜松町 Room D+E+F(東京都港区浜松町2-4-1 パークビルB B1F)
- 地方会場(各8か所): 仙台/長野/金沢/名古屋/大阪/宇部/松山/博多
つまり、東京まで出てこないと参加できないイベントではありません。自分の地域に会場があるなら、まずそこを見てください。
会場参加の場合は、Wi-Fiにつながるノートパソコンの持参が必要です。手ぶらで行って端末を借りる形式ではない。
「初心者OK」を、額面どおり受け取っていいのか
無料のイベントで一番気にしたのはここです。初心者歓迎と書いてあって、実際に行くと経験者しかいないというのは、勉強会あるあるなので。
プログラムを読むと、こうなっていました。
- サイバーセキュリティに関する講演(講師は情報通信研究機構(NICT)ナショナルサイバートレーニングセンター長の園田道夫氏)
- CTFワークショップ
- 企業および団体の講演
- CTF演習
- 優秀者表彰
いきなり競技が始まるのではなく、講演 → ワークショップ → 演習の順です。告知にも「CTF経験者に限らず初めての方でも安心して参加できるよう、ワークショップ形式で基本的な概念や技術を習得していただく」と明記されています。
もうひとつ、地味に信用できると思ったのが、演習の説明に「時間の都合上、すべての問題を解くことはできません」と先に書いてあったことです。全部解けます、とは言っていない。解けなくても普通、という前提が最初から共有されているイベントは、初めての人が心を折られにくいと思います。
ちなみに第3部の企業・団体の講演は会場のみで、オンライン参加の人はここが休憩時間になります。オンラインで出るなら、そこは織り込んでおいたほうがいい。
締切より先に、「先着」が来る
ここが、僕がこの記事を9月の頭に書いている理由です。

申込期限は9月25日(金)。まだ3週間以上あります。
でも定員がこうなっています。
- 東京会場: 先着50名
- 他地域の各会場: 先着各30名
- オンライン: 先着450名
抽選ではなく先着です。つまり、9月25日は「まだ空いていれば申し込める日」であって、席がある日ではない。会場参加を考えているなら、実質的な締切はもっと手前にあります。
社内で「10月3日空いてる人いる?」と聞いて回って、返事を待って、それからまとめて申し込む——という進め方をすると、調整に成功した頃には会場が埋まっている可能性がある。オンラインは450名と枠が大きいので、迷っている段階ではまずオンラインで押さえる、というのが現実的な気がします。申込フォームはこちらです → https://www.kiis.or.jp/form/?id=294
こういう「誰に何をどこまで用意するか」を毎回まじめに議論している会社です。 K.Platinumはエンジニアを募集しています。働く環境と募集条件を見る
対象者は「中学生・高校生・高専生・専修生・専門学校生・大学生・大学院生・若手社会人(3年目まで)等」、そして「上記以外の方も参加可能」。弾かれるわけではないが、想定の中心は若手という設計です。4年目以降が多いうちの会社が全員で行くイベントではなく、入って間もない人に向いている、と読みました。
勧めるのか、「行ってこい」と言うのか
ここからが、制度の話ではなく会社の話です。
開催は土曜日です。
これをどう扱うかで、会社の姿勢が全部出ると思っています。選択肢は、だいたい3つしかない。
(A)業務として行かせる。 土曜なので休日出勤の扱いになる。労働時間として管理し、振替なり手当なりを出す。会社が育成として買う、という意思表示になります。
(B)業務ではないが、支援する。 参加費は無料なので、支援できるのは交通費と、あとは「行くなら金曜の夜に無理な締切を置かない」という配慮くらい。気持ちだけ応援して、前日に炎上案件を放り込む会社は、応援していないのと同じです。
(C)情報だけ流して、あとは本人に任せる。 一見いちばん自由ですが、上長が何も言わない状態で土曜に自主的に手を挙げるのは、若手にはハードルが高い。
正直に書くと、うちはまだ(A)と(B)の間で結論が出ていません。「若手を出します」と、この記事で先に宣言するつもりもありません。本人の予定があるし、案件の状況もある。会社が勝手に決めて発表する話ではないので。
ただ、(C)だけは選ばないでおこうとは決めました。去年の「勉強しといて」が(C)だったからです。情報を渡しただけで育成した気になるのは、いちばん楽で、いちばん効かない。
高専の話を、ひとつだけ
僕は高専の出身です。
高専にいると、ロボコンにしろプロコンにしろ、技術を競技として扱う文化が身の回りにあります。授業とは別に、放課後に手を動かす場所がある。
それが、社会人になるとぱたっと途切れる。技術が「業務」になって、点数がつかなくなるからだと思います。悪いことではないけれど、競技だから覚えられることは確かにあった気がしていて。
セキュリティ研修を座学でやると、正直、半年後にはほとんど残りません。自分で手を動かして、解けた/解けなかったがその場ではっきりする形式は、記憶の残り方が違う。これは僕の実感で、データがあるわけではありませんが。
今回の対象者に高専生が明記されているのを見て、そこは素直にいいなと思いました。在学中から出られて、就職して3年目までなら続けて出られる。途切れないように制度が組んであるなら、途切れさせるのは会社側の都合でしかない。
まとめ
- 総務省と9つの総合通信局が、2026年10月3日(土)12:00〜17:30に全国型CTFコンテストを開催する(全国9会場+オンライン)
- 参加費無料、CTF未経験者向けのワークショップ形式、会場参加はWi-Fi接続可能なノートPCの持参が必要
- 対象は学生および若手社会人(3年目まで)等だが、それ以外の人も参加可能
- 申込期限は9月25日(金)、ただし抽選ではなく先着(東京50名/他地域各30名/オンライン450名)
- 会社としては、業務にするか・支援するか・任せるかを先に決めておかないと、告知を流して終わる
「セキュリティを勉強しといて」には日付がありません。10月3日には日付があります。 そこが違うだけで、あとは同じ話だと思っています。
※ 本記事は2026年9月4日時点の公開情報(総務省 関東総合通信局 令和8年8月3日 報道資料「『全国型CTFコンテスト』の開催」ほか)にもとづきます。会場・定員の残数・参加資格・申込方法は変更される場合があるため、申込前に必ず公表資料と申込ページで最新の内容をご確認ください。なお各会場では写真撮影が行われ、参加者が写り込んだ写真が総務省ウェブサイト等に掲載される場合がある旨も告知されています。
参考:
- 総務省 関東総合通信局「『全国型CTFコンテスト』の開催」(令和8年8月3日) https://www.soumu.go.jp/soutsu/kanto/press/2026/0803ji.html
- 総務省「全国型CTFコンテストについて」/「CTF(Capture The Flag)について」(参考資料PDF)
- 申込フォーム(一般財団法人関西情報センター) https://www.kiis.or.jp/form/?id=294
沼田海斗(ぬまた・かいと)
株式会社K.Platinum 代表。高専出身。「エンジニアが正当に評価される社会」を掲げて会社を立ち上げ、育成と評価の仕組みづくりに向き合っている。
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