こんにちは。ITコンサルティングと受託開発、それにプログラミングスクールをやっている会社の代表、沼田です。17人・フルリモートの小さな会社をやっていて、そのうち8人が高専卒です。
毎年、夏になると僕はソワソワします。というのも、高専生の進路って、けっこうこの夏のインターンで実質決まっていくからです。うちみたいな17人の会社にとって、夏は「どこで高専生に会うか」を本気で考える季節なんです。
今日は、大手が夏インターンを一斉に開けるこの時期に、規模のない中堅がどうやって高専生と出会うか、という話を書きます。
高専生の夏は、8〜9月のインターンで動く

まず状況の確認から。2026年の夏も、大手が高専生向けのインターンを一斉に開きます。たとえば富士電機は8月頭から9月末まで長い期間で募集していますし、半導体や電子機器メーカーも8〜9月に5〜10日間の実務型プログラムを軒並み用意しています。情報系や半導体の分野では、高専生の争奪が本格化する時期です。
なぜこの時期が効くかというと、高専生の多くは、夏の実務型インターンで「自分はこういう仕事がしたい」という実感を固めるからです。座学で聞いた話より、数日でも実際に手を動かした経験のほうが、進路の決め手になる。そしてその実感が、そのまま直接応募につながっていきます。
実際、高専では4年生の夏休みが「学外実習」としてカリキュラムに組み込まれている学校も多く、この時期に企業と接点を持つこと自体が、半ば当たり前の流れになっています。だからこそ、夏に「どこと出会うか」が効いてくるんです。
ここで中堅にとって厳しいのが、学校推薦の枠は、どうしても大手やメーカーに集中しがちだということ。名前が通っていて、受け入れ実績も豊富な会社に、推薦のルートが自然と向く。17人の会社は、その推薦の列にはなかなか並べません。
つまり夏は、高専生にとっては進路が動く大チャンスであると同時に、無名の中堅にとっては「気づかれないまま夏が終わる」リスクの高い季節でもあるんです。
だから、物量では戦わない
じゃあ、うちみたいな会社はどう戦うか。結論から言うと、物量では戦わない、です。
大手は、募集人数も、プログラムの数も、受け入れ体制も桁が違います。同じ土俵で「うちもインターンやります、たくさん来てください」とやっても、埋もれるだけ。予算も知名度も、勝負にならない。
代わりにうちが賭けているのは、"数"ではなく"濃さ"です。うちは受託とコンサルで、製造・流通・金融といった現場の課題に、上流から入っています。大企業のインターンだと、規模が大きいぶん、学生が触れられるのはどうしても全体の一部分になりがちです。一方うちは17人しかいないので、来てくれた学生に、実際に動いている案件の"一角"を、そのまま体験してもらえる。
「なんとなく会社を知る」インターンではなく、「この技術で、この現場の、この課題を、こう解いている」を数日で見てもらう。物量で負けるぶん、一人に届く経験の濃さで勝ちにいく。これが、規模のない会社の唯一の勝ち筋だと思っています。
17人ITコンサルの、夏インターンの設計

具体的に、うちが夏の接点づくりで意識していることを3つ書きます。
ひとつめは、数日で成果が見える実務テーマを用意すること。5〜10日という短い期間でも、「自分が何かを動かした」という手ごたえが残るように、最初からゴールの見えるテーマを切り出しておく。壮大な課題を渡して消化不良で終わらせるより、小さくても「できた」を持って帰ってもらうほうが、進路の実感につながります。
ふたつめは、現場に近い課題を出すこと。練習用の架空の題材ではなく、うちが実際に向き合っている製造・流通・金融の現場に近いテーマを扱う。高専生は、手を動かして本質を掴むのが得意な人が多い。だから「本物の手ざわり」がある課題ほど刺さります。ここはうちの本業と、高専生の強みが噛み合うところです。
みっつめは、インターンから自由応募への導線を、ちゃんと残しておくこと。推薦枠で会えないなら、夏に一度会った縁を、その後の直接応募につなげる設計にしておく。「あの会社、面白かったな」で終わらせず、また話せる関係を残す。数日の接点を、点で終わらせないことが大事です。
(うちのエンジニア採用ページも、条件を並べる場というより「まず一度話しませんか」の入り口のつもりで開けています。)
そして、これ全部を支えているのが、距離の近さです。うちは17人なので、インターンに来た学生と、代表である僕も現場のメンバーも、普通に近い距離で話せる。「誰と働くのか」が、その場でまるごと見える。大手の整ったプログラムには出せない手ざわりが、ここにあります。
前職のスタートアップITコンサルにいた頃から、僕は「有名だから」ではなく「この人たちと、この仕事がしたいから」で会社を選ぶ人のほうが、入ってから伸びると感じてきました。だから独立して自分の会社を持ったとき、採用でも見栄を張るのをやめました。24歳で起業して、この3期目(27歳)まで、高専生に対しては一貫して「規模ではなく、触れられる実務の濃さで会いに行く」を貫いています。
数で並ばず、実務の濃さと距離の近さで会う夏にする
まとめます。2026年の夏も、大手は8〜9月に高専向けインターンを一斉に開き、情報系・半導体で争奪が起きます。推薦枠は大手に集中し、無名の中堅は放っておくと"気づかれないまま"夏が終わる。
でも、だからこそ、物量で並んではいけない。うちみたいな会社が勝てるのは、"数"ではなく"濃さ"の土俵です。数日で成果が見える実務テーマを用意し、現場に近い本物の課題を出し、そのあとの自由応募まで導線を残す。そして何より、代表も現場も近い距離で、丸ごと見てもらう。
高専生の夏は、インターンで動きます。大手の物量に数で挑むのではなく、実務の濃さと距離の近さで、一人ひとりに深く会う。それが、8人が高専卒の17人ITコンサルなりの、この夏の戦い方です。もし進路に迷っている高専生がいたら、規模の大きさだけでなく、「入ったら、誰と、どんな現場に触れられるか」で会社を見てみてほしいと思います。
沼田海斗(ぬまた・かいと)
株式会社K.Platinum 代表。ITコンサルティング・受託開発・プログラミングスクールを、17人・フルリモートのチームで手がける。規模の大きさではなく、触れられる実務の濃さと距離の近さで人と出会うことを大切にしている。
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