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2026年7月23日

「いきなり開発」した会社が伸び悩んだ2026 — 月5万の"顧問型"から入った企業は成功率3倍だった、17人ITコンサルが中堅に最初に売るもの

スーツ姿のビジネスマン2人が、街並みが見渡せるオフィスで都市計画図について話し合っている。テーブルの上には、アイコンやチェックリスト、マグカップが置かれている。上部やいくつかの物には日本語のテキストが表示されている。.

こんにちは。ITコンサルティングと受託開発、それにプログラミングスクールをやっている会社の代表、沼田です。17人・フルリモートの小さな会社をやっています。

この一年、中堅企業の経営者からいちばん増えた相談があります。少し前は「AI、どう入れればいい?」でした。それが最近、こう変わってきたんです。「AIツール、入れたんですけど……うち、ぜんぜん動いてないんですよね」。

入れたのに、動かない。今日は、この"動かないAI"の正体と、それをどう避けるかという話を書きます。結論から言うと、成否を分けているのは、能力でも予算でもなく、入り方でした。

「入れたのに動かない」の正体は、能力でも予算でもない

導入率12%、止まる理由は"何から"だった

まず、背中を押される調査を紹介します。Leachが2026年に出した「中小企業AI導入実態調査2026」です。数字がなかなかにシビアでした。

中小企業の生成AI導入率は、まだ12%。8割以上がまだ入れていない。そして入れられない最大の障壁は、お金でも人材でもなく、「何から始めればいいか分からない」でした。能力の問題でも予算の問題でもなく、"最初の一歩をどこに置くか"で止まっている会社が、いちばん多いんです。

僕がいちばん引っかかったのはここです。調査では、月数万円規模の低コストな"顧問型"(月5万円〜)で課題整理から入った企業の定着・成功率が、いきなりシステム開発に着手した企業の約3倍だった、と出ています。同じAIを入れても、入り方で成功率が3倍変わる。これはかなり大きい差です。

つまり、多くの会社は「AIをどう作るか」で悩む前に、「どこに効かせるか」で失敗している。逆に言えば、そこさえ間違えなければ、能力や予算が特別でなくても前に進める、ということでもあります。

なぜ「いきなり開発」は伸び悩むのか

「じゃあ早く作ればいいじゃないか」と思うかもしれません。でも、いきなり開発から入ると、けっこうな確率で伸び悩みます。理由はシンプルです。

いきなり開発する、というのは、要件が固まる前に金型を作るようなものだからです。何に効かせたいのかが曖昧なまま「とりあえずAIで自動化しよう」と作り始めると、できあがった頃には「これ、そんなに困ってなかったな」となる。動くけれど、誰も使わないシステムが残ります。

しかもAIは、この"効く場所を外すダメージ"が普通のシステムより大きい。従来の業務システムなら、多少ズレていても「まあ入力が楽になった」くらいの効果は残ります。でもAIは、はまれば劇的に効くぶん、外すと丸ごと無駄になりやすい。派手に投資して、派手に外す、が起きやすいんです。

「うちはAIに詳しくないから」と気後れしている会社ほど、実は正しい。詳しくないなら、なおさら最初に大きく作ってはいけない。詳しくないうちは、小さく試して、効く場所を探す。これが鉄則です。

顧問型が効くのは、"作る前に効く場所を決める"から

顧問型スタートが成功率3倍を叩き出したのは、順番が違うからです。

いきなり開発が「作る→効くか確かめる」なのに対して、顧問型は「効く場所を決める→小さく検証する→効いたところにだけ投資する」という順番で進みます。

具体的には、こうです。まず、日々の業務のどこに時間とストレスがかかっているかを言葉にする(課題の言語化)。次に、その中でAIが効きそうな一点を、お金をかけずに小さく試す(小さく検証)。そこで手ごたえが出て初めて、本番のシステムに投資する(効く1業務に投資)。

大事なのは、最初の二つには、ほとんどお金がかからないことです。高いのは「作る」フェーズだけ。だから顧問型は、いちばんお金のかかる工程を、いちばん確実になってから始められる。これが成功率を押し上げている正体だと思います。

17人ITコンサルが、中堅に最初に売っているもの

ここからは、うちが実際にお客さんと何をやっているかを、そのまま書きます。特別なツールはいりません。順番が全部です。

まず、業務を棚卸しする。「AIで何かしたい」ではなく、「毎週これに何時間取られている」を洗い出す。ここが曖昧なままだと、この先の全部がぼやけます。

次に、効く工程を見極める。棚卸しした中から、"毎日ある・答え合わせができる・失敗しても痛くない"業務を一つ選ぶ。いきなり基幹業務に入れない。小さくて地味な一点から始めます。

そして、PoC(お試し)の合否基準を先に決める。「なんとなく便利になった」で終わらせないために、「この作業が◯割速くなったら本番化する」を、始める前に決めておく。ここを決めずに試すと、延々と"実験中"のまま終わります。

最後に、合格したものだけ本番化する。基準を超えた業務だけ、しっかり作り込む。超えなかったものは潔く止める。

うち自身、17人で複数のAIを日常的に回していますが、まさにこの順番でやっています。案件ごとにトークンの消費を記録して、「この業務にAIをどれだけ使い、その分ちゃんと成果が出たか」を後から追える運用にしている。17人と小さいからこそ、僕が全部を把握できる。これは規模が小さいことの、数少ない特権です。

前職のスタートアップITコンサルにいた頃、要件が固まる前に大きく作り始めて、途中で「そもそも何を解きたかったんだっけ」と迷子になる現場を、何度も見ました。だから独立して自分の会社を持ったとき、「作る前に、効く場所を決める」を最初のルールにしました。24歳で起業して、この3期目(27歳)まで、地味だけどこれを守り続けています。

——こういう「順番で考える」進め方を面白いと思う方へ。K.Platinumでは、手を動かす前に"どこに効かせるか"から一緒に考えるエンジニアを募集しています。興味がある方はエンジニア募集の詳細をどうぞ。

ITコンサルが最初に売るのは、工数でなく"判断"

作る前に、効く場所を決める

まとめます。中堅企業のAI導入は、まだ12%しか進んでいない。止まっている理由は能力でも予算でもなく、「何から始めればいいか分からない」。そして顧問型で課題整理から入った企業は、いきなり開発した企業より成功率が約3倍だった(Leach 2026)。

ここで大事なのは、最初に買うべきは"システム"ではない、ということです。最初に必要なのは、「どこに効かせるか」「何を作らないか」を決める判断のほう。ITコンサルが本当に売っているのは、実は工数ではなく、この判断だと僕は思っています。

うちも派手なことはしていません。作る前に効く場所を決めて、小さく試して、効いたところにだけ投資する。順番を守っているだけです。でも、これをやるかやらないかで、AI投資の成否はまるで変わります。もし今、「AIを入れたのに動いていない」なら、もう一度作り直す前に、"入り方"を疑ってみてください。作る前に、効く場所を決める。ここからです。


沼田海斗(ぬまた・かいと)
株式会社K.Platinum 代表。24歳で起業し、ITコンサルティング・受託開発・プログラミングスクールを展開。17人・フルリモートの組織で、中堅企業のAI活用支援に取り組む。「作る前に、効く場所を決める」が信条。


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