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2026年8月24日

辞める理由から「給料」が落ちた2026 — 12位から2位に上がったのは「自分の持ち味を出せない」だった

モダンなオフィスで、ビジネススーツ姿の2人の若い男性がホワイトボードに書かれた情報について話し合っている。彼らの頭上には日本語の文字が見える。.

こんにちは。K.Platinum代表の沼田です。

若手が辞めたと聞くと、経営者の頭にまず浮かぶのは「うちは給料が安いからかな」だと思います。僕も、最初はそう思っていました。

でも今年出た調査を読んで、その前提がけっこう雑だったな、と反省しています。


「給料が理由で辞める」が、6位まで落ちていた

リクルートマネジメントソリューションズが2026年6月19日に発表した「若手の離職実態調査2026」(社会人1〜3年目対象)に、こういう数字がありました。

実際に辞めた人の、離職理由

  • 1位:労働環境・条件がよくない … 22.4%
  • 2位:仕事で自分の能力や持ち味を発揮できない … 21.6%(前回12位)
  • 6位:給与水準に満足できない … 8.0%(前回2位・18.4%)

「持ち味を発揮できない」が12位から2位まで一気に上がって、代わりに「給与水準」が2位から6位まで落ちた。しかも18.4%が8.0%なので、半分以下です。

ここだけ見ると「若者はお金じゃなくなった」みたいな、よくある話に着地しそうになります。でも同じ調査には、もう一つ数字がありました。


「思う理由」と「辞めた理由」は、別物だった

思う理由 ≠ 辞める理由

同じ調査で、「辞めたいと思ったことがある人」にその理由を聞いた結果はこうです。

  • やりがい・意義を感じない … 21.8%
  • 給与水準に満足できない … 19.5%

給与、しっかり上位にいます。

つまりこういうことです。

人は「やりがいがない」「給料が安い」で辞めたいと思い、
「持ち味を発揮できない」で実際に辞める。

これ、僕がこの調査で一番おもしろいと思ったところです。

ちなみに在職者の62.2%が「会社を辞めたいと思ったことがある」と答えていて、これは2023年調査の58.8%とほぼ同水準。3年間、ほとんど動いていません。「辞めたい」と思う人の量は変わっていないのに、実際に足が動く引き金だけが入れ替わったということになります。

だから、辞めたいと思わせている理由を潰しても、辞める人は減らない。逆もそうで、給料を上げても「持ち味が出せない」が放置されていたら、辞める人は辞めます。

多くの会社が「離職対策」でやっているのは、たぶん前者です。エンゲージメントサーベイを取って、不満の上位に出た項目を潰す。でもサーベイに出るのは「思う理由」のほうなんですよね。


なぜズレるのか

僕なりの解釈はこうです。

「やりがいがない」「給料が安い」は、不満です。不満は、口に出せるし、たまるし、飲みの席で言える。でも不満だけでは、人はなかなか動かない。転職は面倒だし、リスクもあるので。

「自分の持ち味が発揮できない」は、不満というより手応えの欠如です。ここにいても自分が上手くならない、伸びない、使われていない。これは飲みの席では言いにくい。言うと「実力不足では」と返ってきそうだからです。

そして手応えの欠如は、時間とともに焦りに変わります。焦りは、不満と違って期限を持っています。「このままだと3年後にまずい」という形で、はっきり足を動かす。

だから、口に出される不満を潰す作業だけをやっていると、静かに焦っている人から順にいなくなる。しかも辞める瞬間に「持ち味が発揮できなくて」とは言わないので、退職面談では「新しいことに挑戦したくて」になる。会社側は最後まで理由を知らないまま終わります。


僕らが最初に直したのは、評価制度でも給与テーブルでもなかった

うちは17人の会社です。制度をいじる余地は、正直そんなに広くありません。

その中で最初に直したのは、アサインの決め方でした。

それまでは、正直に言うと「空いている人」で決めていました。案件が来る、スケジュールを見る、手が空いている人を当てる。合理的だし、17人だと物理的にそうするしかない場面もあります。

これを、「この人の持ち味がどこで出るか」で決める方向に変えました。

具体的には、案件を割り振る前に、その案件で一番難しくなりそうな部分がどこかを先に特定します。顧客との要件の握りが難しいのか、既存システムの解読が難しいのか、納期の中で判断を積み上げるのが難しいのか。そのうえで「ここが難所だから、この人が向いている」で決める。

全部の案件でできているわけではありません。手が足りなくて「空いている人」で決める日も普通にあります。でも、そういう時は本人に「今回は手が足りないから当てた」と正直に言うようにしました。理由を伏せて当てると、「自分は誰でもいい枠に入れられた」と受け取られるので。

17人だからできる、という話ではないと思っています。むしろ逆で、17人だとごまかせないんです。誰がどこで力を発揮したかが全員に見えてしまうので、持ち味と関係ないアサインを続けると、本人より先に周りが気づく。

ちなみに、こういう「持ち味がどこで出るか」から仕事を決めるやり方に関心がある方は、採用ページに会社の考え方を少しだけ書いています。


「相性」を「進め方」に翻訳すると、打ち手が出る

相性は、4つに分解できる

この調査には、もう一つ地味だけど効く数字がありました。

定着した人と離職した人で最も差が大きかった項目が、「私と職場の上司の仕事の進め方は合っている」だったそうです(在職者3.3 / 離職者2.8)。

「上司との相性」と言われると、だいたい詰みます。人柄の話にした瞬間、打ち手がなくなるからです。「気が合わない」に対して会社ができることは、ほぼありません。

でも調査で聞かれているのは「仕事の進め方」です。ここが重要で、進め方の話にすれば、分解できて、合わせにいけます。

うちで明示的に握るようにしたのは、この4つです。

① レビューの頻度
毎日見てほしいのか、詰まった時だけでいいのか。これがズレていると、片方は「放置された」、もう片方は「細かく口を出された」になります。同じ人でも案件によって変わるので、着手時に毎回聞きます。

② 決め方
自分で決めて事後報告でいいのか、決める前に相談したいのか。これを握らずに進めると、「勝手に決めた」と「なんで聞いてこなかった」が同時に発生します。

③ 報告の粒度
どこまで細かく共有するか。粗い報告を好む人と、細かい共有で安心する人がいて、これは優劣ではなく好みです。

④ 詰まったときの逃がし方
これが一番大事だと思っています。詰まった時に、どのタイミングで、誰に、どう言えばいいのか。ここが決まっていないと、若手はギリギリまで一人で抱えます。うちは「2時間詰まったら、解けてなくても投げる」を明示しています。解決を求める投げ方じゃなくていい、詰まっている事実だけ投げてくれ、と。

この4つを最初に口に出して合わせるだけで、「なんとなく合わない」の相当な部分が消えました。相性という言葉を使っている限り打ち手はゼロですが、進め方に翻訳すると4つになります。


「前向きな理由で残る人」が増えたのは、小さい会社には追い風

同じ調査の中で、僕が一番ポジティブに受け取ったのがこの変化でした。

「辞めたいと思ったが、思いとどまった理由」が、この数年で入れ替わっています。

  • 会社のビジョンへの共感 … 0.9% → 6.9%
  • 成長できる環境 … 3.3% → 8.6%
  • やりがい・意義 … 2.8% → 8.4%

一方で、「転職はリスクがあるから」みたいな消極的な理由は下がっている。

つまり、「動けないから残る」から「残りたいから残る」へ、理由が入れ替わりつつあるということです。

これは、知名度や規模で勝てない会社にはむしろ有利な変化だと思っています。「大手だから安心」で引き止められる時代なら、うちみたいな17人の会社は勝ち目がない。でも「ここにいると成長できるか」「この会社の向かう先に納得しているか」で残る人が増えているなら、それは規模と関係なく作れるものです。

むしろ小さいほうが作りやすい。ビジョンに共感しているかどうかは、社長と週に何回話すかで決まる部分がかなりあるので。


落とし穴を3つ

① やりがいを語って、持ち味を活かさないのが最悪

これが一番やりがちです。「うちは裁量がある」「成長できる」と語ることには誰も反対しないので、言葉だけ先に立派になる。でも実際のアサインが「空いている人で決める」ままだと、期待値だけ上げて手応えを渡さないことになります。入る前の期待と、入った後の実感のギャップは、何もしなかった場合より大きなダメージになります。

② 1on1を増やしても、進め方が合っていなければ苦痛が増えるだけ

離職対策として1on1を導入する会社は多いですが、進め方がズレたままの上司と話す時間を増やしても、それは改善ではなく負荷です。先に4項目を握る。話す時間を増やすのは、そのあとの話です。

③ 「辞めたい」と言われた時点で、だいたい手遅れ

前述のとおり、辞める引き金は「持ち味を発揮できない」であって、これは口に出されません。口に出されるのは不満のほうです。辞めたいと相談された時点では、すでに焦りのフェーズが数ヶ月続いていると考えたほうがいい。そこから待遇の話で引き止めても、理由が違うので効きません。


まとめ

この調査を読んで僕が受け取ったメッセージは、シンプルにこれです。

給料は「辞めたい」を作るが、「辞める」を決めるのは持ち味が使われているかどうか。

だから離職対策の入口は、評価制度でも給与テーブルでもなく、誰にどの仕事を渡しているかにあります。そして「上司と合わない」は、人柄ではなく進め方の話に翻訳すれば、レビュー頻度・決め方・報告の粒度・詰まったときの逃がし方の4つに分解できて、そこには打ち手があります。

17人の会社にできることは限られています。制度で殴ることはできません。でも、一人ひとりの持ち味がどこで出るかを把握して、そこに仕事を置くことは、17人だからこそできる。というより、17人だとやらないとすぐバレる。

うちは、上流の要件定義から実装、顧客折衝までを一人が通しで持つ体制でやっています。工程で細かく分業していないぶん、「自分の持ち味がどこで効いたか」が案件ごとにはっきり見える。手応えを取りに来たい人には、たぶん合う環境です。

一度話してみたい方は、カジュアル面談からどうぞ。持ち味がどこで出るタイプの人なのか、こちらも面談の場で本気で聞きにいきます。


沼田海斗 / 株式会社K.Platinum 代表取締役

高専卒。スタートアップITコンサルを経て、24歳で起業。現在3期目。製造・流通・金融領域のITコンサルティングと受託開発、プログラミングスクール「ジゴカツ」を運営。社員17名、うち高専出身者8名。


K.Platinumでは、一緒に働く仲間を募集しています。
裁量を持って上流から実装まで手を動かしたい方、自分の持ち味が効く場所で働きたい方は、ぜひ採用ページをご覧ください。

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