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2026年7月22日

「AIを入れたら、今度はコストが見えなくなった」2026 — 月平均274万円・7割超が"経営課題"に、17人ITコンサルが中堅企業のAIコストを"誰が・何に・どれだけ"で可視化した順序

オフィス用品やAI関連のグラフィックに囲まれた中で、高額なAI利用料金の請求書を手にしたアニメ風の男性が、驚いた表情を浮かべている。画面の上部と両側には日本語のテキストが表示されている。.

こんにちは。ITコンサルティングと受託開発、それにプログラミングスクールをやっている会社の代表、沼田です。17人・フルリモートの小さな会社をやっています。

去年から今年にかけて、お客さんとの会話でいちばん増えた相談があります。少し前までは「AI、どう入れればいい?」でした。それがこの半年、こう変わってきたんです。「AI、入れたのはいいけど……うち、毎月いくら払ってるんだっけ?」。

導入の次に来たのは、請求書でした。今日は、AIのコストが"見えなくなる"という、地味だけど中堅企業にじわじわ効いてくる話を書きます。

「入れてよかった」の半年後に、コストが見えなくなる

AIコストは、もう経営課題になっている

まず、背筋が伸びる調査を紹介します。LayerXが2026年6月末に出した「企業のAI利用・コスト管理に関する実態調査2026」です。数字がなかなかにリアルでした。

AI利用コストが「すでに、または1年以内に経営課題になる」と答えた企業が、73.3%。月間のAI利用コストは平均で約274万円、64.8%が月50万円以上を使っている。そして僕がいちばん引っかかったのはここです。82.8%が"コストの把握そのもの"に課題を感じている

把握できない中身も具体的でした。「従業員の個人立替の実態が見えない(25.1%)」「請求額と利用内訳が結びつかない(24.2%)」。さらに65.5%が「AIエージェントの利用でコストが増えている」と答え、今後いちばん整備したい項目のトップは「AI利用額と成果・ROIを紐づけたデータ(21.8%)」でした。

要するに、多くの会社が「AIにいくら払っているかは分かる。でも、誰が、何に、それがどれだけ効いているのかが分からない」状態にいる。導入フェーズをなんとか越えた会社の目の前に、"コストが見えない"という次の壁が立っている、ということです。

なぜ、エージェント時代にコストが見えなくなるのか

「昔のITだって費用はかかっていたのに、なんで今さら見えなくなるの?」と思うかもしれません。ここには、AIならではの構造的な理由があります。

これまでの業務システムやSaaSは、たいてい定額でした。ユーザー1人あたり月いくら、と決まっている。使っても使わなくても金額はほぼ動かないから、予算も立てやすかった。

ところがAI、とくに生成AIやAIエージェントは、使った分だけ課金される従量制です。処理した文章の量(トークン)に応じて、請求が上下する。ここに、コストが見えなくなる罠が3つ重なります。

ひとつめは、入口がバラバラなこと。ChatGPTはA部門、別のツールはB部門、開発チームはまた別のAPI……と、契約も支払いも散らばる。全体像を一枚で見られる人がいなくなる。

ふたつめは、個人立替。「便利だから自分のカードでとりあえず契約した」が積み重なり、会社としては誰がいくら使っているか把握できない。調査でも4分の1がここに課題を挙げていました。

みっつめは、事後にしか分からないこと。従量制は、月末に請求が来て初めて「今月こんなに使ってたのか」と気づく。使っている最中に「今いくら」が見えないから、コントロールが効かない。とくにAIエージェントは、人が指示しなくても裏で何度もAIを呼ぶので、気づけば消費が膨らんでいる。

定額の世界の感覚のまま従量の世界に入ると、こうしてコストが霧の中に消えるわけです。

こうした「見えないコスト」を、お客さんと一緒に見えるようにしていくのが、うちの仕事のひとつです。同じ課題に本気で向き合うエンジニアを募集しています。気になる方はエンジニア募集の詳細を見る

17人ITコンサルの、AIコストの可視化の順序

見える化は、この順番でやる

うちがお客さんと一緒にやっている可視化の順序を、そのまま書きます。特別なツールはいりません。順番が大事です。

まず、入口を集約する。誰が、どのツールを、どの支払いで使っているかを一枚に棚卸しする。ここが散らばったままだと、この先の計算が全部ぼやけます。個人立替をやめて会社契約に寄せる、使うツールを絞る。地味ですが、これをやるだけで「そもそも何にお金が出ているか」が見えます。

次に、業務単位でひも付ける。「AIに月◯万円」ではなく、「見積書づくりに◯万円」「問い合わせ対応に◯万円」と、業務のかたまりにコストを結びつける。ここまで来ると、初めて「この業務、AIに払っている額に見合っているか?」を問えるようになります。

最後に、成果・ROIに結びつく支出だけを残す。業務ごとに見えたら、効いているものは伸ばし、効いていないものは絞る。調査でみんなが欲しがっていた「利用額と成果を紐づけたデータ」は、この順番を踏んで初めて手に入ります。

うち自身、17人で複数のAIを日常的に回しているので、他人事じゃありません。だからトークンの消費は案件ごとに記録する運用にしていて、「この案件でAIにどれだけ使い、その分ちゃんと成果が出たか」を後から追えるようにしています。17人と小さいからこそ、僕が全部の消費を把握できる。これは規模が小さいことの、数少ない特権です。

前職のスタートアップITコンサルにいた頃、ツールを次々入れては「なんとなく便利になった」で満足し、コストの実態を誰も説明できない現場を何度も見ました。だから独立して自分の会社を持ったとき、「かかったお金は、必ず業務と成果に紐づけて見る」を最初のルールにしました。24歳で起業して、この3期目(27歳)まで、地味だけどこれを守り続けています。

AIコストは、削るものではなく"見える化して成果に紐づける"もの

まとめます。AIのコストは、すでに7割超の企業で経営課題になり、月平均274万円まで膨らみ、8割超が"把握"そのものに苦しんでいる(LayerX 2026)。導入を越えた会社の次の壁は、コストが見えないことなんです。

ここで大事なのは、コストを闇雲に削ることではない、ということ。削ることが目的になると、効いている投資まで止めてしまう。やるべきは、まず見えるようにすること。入口を集約し、業務単位でひも付け、成果に結びつく支出だけを残す。可視化できて初めて、「このAIは続ける」「これはやめる」を、体感でなく数字で決められます。

うちも派手なことはしていません。順番を守って、AIのお金を業務と成果に結びつけて見ているだけ。でも、これをやるかやらないかで、来期のAI予算の質がまるで変わります。小さい会社ほど、見えない支出は効きます。だからこそ、AIコストは"見える化して成果に紐づける"。もし今、自社のAIが毎月いくらで、何に効いているか即答できないなら、まずは入口の棚卸しから始めてみてください。


沼田海斗(ぬまた・かいと)
株式会社K.Platinum代表。24歳で起業し、17人・フルリモートのチームでITコンサルティング、受託開発、プログラミングスクールを手がける。「かかったお金は、業務と成果に紐づけて見る」を創業時からのルールにしている。


K.Platinumでは一緒に働くエンジニアを募集しています。「実力で正当に評価される環境」に興味がある方は、ぜひ採用ページをご覧ください。

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