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2026年6月7日

エンジニア17人の小さな会社で、なぜ"全員経営者目線"が成立しているのか

ビジネスウェアに身を包んだ人々が大きな役員会議室のテーブルを囲み、壁に映し出されたデジタルデータ表と未来的なグラフィックに対峙している。.

「経営者目線で動いてくれ」――この言葉、どれだけのエンジニアをイラつかせてきただろう。
権限も情報もないのに目線だけ求められても、無理に決まっている。
じゃあ、なぜK.Platinumのエンジニア17人は本当に経営者目線で動けるのか。今日は仕掛けの話をする。


「経営者目線で動け」が空虚なスローガンになる構造的理由

僕は前職、スタートアップITコンサルでエンジニアをやっていた。20代半ばの頃の話だ。

その頃から「経営者目線で考えろ」「全員が経営者だ」みたいなフレーズは、いろんな会社で耳にしてきた。聞くたびに違和感があった。

なぜなら、そう言ってくる会社のほとんどで、エンジニアには次の3つが共有されていなかったからだ。

  1. 数字(PL・案件単価・採用コスト)
  2. 意思決定の権限(誰がどこまで決めていいのか)
  3. 採用や評価への関与(誰を仲間にするか)

数字を知らない、決めていいことがない、誰と働くかも選べない。それで「経営者目線」と言われても、できるわけがない。経営者目線とは、結局のところ「経営に関する情報・権限・責任を持っている人の目線」のことだ。情報も権限も渡さずに、目線だけ求めるのは精神論でしかない。

僕は24歳でK.Platinumを作った。3期目に入った今、従業員は17人。うち8人が高専出身。20代エンジニアが多い、平均年齢の若い会社だ。

それでも、ほぼ全員が「経営者目線」で動いている。少なくとも僕にはそう見える。なぜか。理由はシンプルで、経営者目線が成立するように、3つの仕掛けを作ってきたからだ。


仕掛け①:数字をすべて開示する――PL・単価・キャッシュまで全社員が見る

最初の仕掛けは、徹底的な情報開示だ。

K.Platinumでは、案件の単価・粗利・受注パイプラインの状態・採用にかかっているコスト・キャッシュの推移を、全社員が見られる状態にしてある。Slackと社内ダッシュボードで、月次の数字が淡々と流れていく。

「えっ、それって経営情報じゃないですか。普通隠すものでは?」とよく聞かれる。

確かに、多くの会社では数字は経営層と一部の幹部しか見れない。理由は2つある。1つは「不安にさせるから」、もう1つは「悪用されると怖いから」だ。

でも、僕はその2つとも、エンジニアを信用していない言い訳だと思っている。

数字を見せると、若手エンジニアでも自然に会話が変わる。「この案件、単価に対して工数かかりすぎてないですか?」「次の四半期、新規案件のパイプラインこれだと薄い気がするんですが」――こういう会話が、雑談レベルで出てくる。これは、数字を見ているからこそ出てくる。

逆に、数字を渡されないエンジニアは、自分の仕事と会社の経営が分断されたまま働く。それで「経営者目線で動け」と言われても、ピンとくるわけがない。

もちろん、開示にもラインはある。個人の評価情報や、特定顧客との交渉中の案件詳細は伏せている。でも「会社の体力」と「事業の構造」は全員が把握している。これが、僕らの一つ目の前提だ。


3つの仕掛け

仕掛け②:意思決定の権限を「役職」ではなく「案件」に紐づける

2つ目の仕掛けは、権限設計だ。

普通の会社は、意思決定の権限を「役職」に紐づける。部長は部の予算を決められる、課長は人事評価をできる、平社員は何も決められない、みたいな。

K.Platinumでは、意思決定の権限を「案件」に紐づけている。

具体的には、ある案件のリードエンジニア(プロジェクトマネージャー的なポジション)になると、その案件に関する大半の意思決定権が渡される。クライアントとの交渉、メンバーアサイン、技術選定、見積もり、契約条件の調整、サブコントラクターの選定。これらを、リードエンジニアが主導する。

僕や経営陣が出てくるのは、「リードエンジニアが判断に迷ったとき」と「会社全体に影響する取引(数千万単位の契約や、与信に影響する話)」だけ。日常の意思決定は、現場で完結する。

これは「権限委譲」というより、「最初から意思決定はそこでやるもの」と設計してある。だから、入社2年目でも、リードを任されれば数千万円規模の案件の方向性を決めている。

もちろん、いきなり放り投げるわけじゃない。最初の数案件はサブとして入ってもらい、意思決定の現場を見せる。徐々にリードに上げていく。経営者目線は「見て覚える」ものだと思っているから、座学で教えるより、隣で意思決定している人の判断を見せた方が早い。

案件のアサイン自体も、エンジニア側が手を挙げて選べる仕組みにしてある。だから「やらされ仕事」になりにくく、自分の意思決定の延長として案件を取りにいく感覚が生まれる。


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仕掛け③:採用と評価をエンジニア自身が回す

3つ目の仕掛けは、採用と評価へのエンジニアの関与だ。

K.Platinumでは、採用面接にエンジニアが必ず入る。書類スクリーニングから面談、内定の意思決定まで、現場のエンジニアが主導する。僕が最終面接に出ることはあっても、「現場が良いと言うなら採る、ダメと言うなら採らない」を原則にしている。

理由は2つ。

1つ目は、自分が一緒に働く人を、自分で選びたいから。これは僕自身がそうしたいと思うし、エンジニアもそうだろう。「上が決めた人と組まされる」ストレスは、想像以上にパフォーマンスを下げる。

2つ目は、採用が「経営行為」だから。会社は、人を採るたびに変わる。誰を採るか、どんな順序で採るか、どこに投資するか。これらは、経営の中核的な意思決定だ。これをエンジニアに渡さないままで、経営者目線を求めるのは無理がある。

評価も同じ思想で設計している。年に2回の評価サイクルで、ピアレビュー(同僚評価)を必ず入れる。「上司が部下を評価する」一方向ではなく、「同じ案件で組んだメンバーがお互いを評価する」構造にしている。

評価は給与に直結するから、ここに関与すると、当然「給与の仕組み」も理解する必要が出てくる。だから給与テーブルも全公開している。「あの人がこのレンジにいるのはなぜか」を、自分で解像度高く理解できる。

採用と評価。この2つを現場に渡している会社は、僕の知る限りそんなに多くない。でも、ここを渡さないと、本当の意味での経営者目線は育たないと思っている。


仕組みで作る

17人だからできるのか、17人で回るように設計したのか

ここまで読んで、「それは17人の小さな会社だから成立しているんでしょ」と思った人もいると思う。

半分正解で、半分違う。

確かに、17人だからこそ情報開示のコストが低いし、意思決定の現場も近い。100人になったら、同じやり方では回らない。

でも、僕の見方は逆だ。「17人で回るように設計したから、3期目で17人なのに案件が回せている」

普通のITコンサルや受託開発で、17人で同じ案件規模を回そうとすると、たぶん回らない。意思決定が経営層にボトルネックして、現場が動けなくなる。だから、人を増やして役職を作って、「上に判断を上げる」構造を作る。

僕は逆をやった。最初から「経営層に判断が上がってこない」構造にした。だから、現場で意思決定が完結し、僕が雑務に追われない。その分、僕は新規案件の獲得や、組織全体の方向づけに時間を使える。

これは「権限委譲」という名前で語られることが多いけど、僕の感覚では権限"委譲"じゃない。最初から、意思決定はそこにあるべきだ、と設計している。

将来、会社が大きくなるとどうなるか。たぶん、現在のフラット構造のまま100人にはできない。どこかで「事業部」みたいな単位を切る必要が出てくる。でも、その時も「事業部長に権限を委譲する」のではなく、「事業部内で意思決定が完結する設計にする」つもりだ。

「経営者目線」は精神論ではなく、組織設計の問題だ。情報を渡し、権限を渡し、採用と評価を渡す。この3つができれば、エンジニアは勝手に経営者目線で動き出す。できないなら、何人いても同じだ。


まとめ:仕組みで作る、ということ

「経営者目線で動け」が嫌いな人は、たぶん僕と同じ感覚を持っている。

その言葉が嫌いなのは、エンジニアとしての姿勢の問題じゃない。情報も権限も渡さずに、目線だけ求めてくる構造が嫌いなんだ。

K.Platinumは、その構造を反転させた会社にしようと思って作ってきた。3期目の今、まだ完璧じゃないし、毎月新しい課題が出てくる。でも、エンジニア17人がそれぞれ「自分が会社を作っている」感覚で動いている、という手応えはある。

もし、あなたが「もっと裁量を持って働きたい」「自分の判断で動きたい」「会社の意思決定に関わりたい」と感じているなら、一度カジュアル面談で話しましょう。逆に、あなた自身がどんな構造で働きたいか、聞かせてください。

僕らが作っているのは、エンジニアが経営者目線で動ける構造です。


沼田 海斗(ぬまた かいと)
株式会社K.Platinum代表。沖縄高専卒、トヨタ自動車、スタートアップITコンサル勤務を経て、24歳でK.Platinumを設立。3期目・27歳。資本金は設立時10万円から現在2,000万円。「エンジニアの能力を可視化し、稼げるエンジニアを量産する」ことをテーマに、17人(うち高専出身者8名)のチームでITコンサル事業を展開中。


K.Platinumでは一緒に働くエンジニアを募集しています。「実力で正当に評価される環境」に興味がある方は、ぜひ採用ページをご覧ください。

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